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42話 胸のざわざわ
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42話 胸のざわざわ
透弥side
それからも、じゅんくんの体調不良はずっと続いた。
おかしいと思いながらも、何回か病院に行こうって言ったけど、じゅんくんに距離を取られているみたいで、病院行けって言いにくくなっていた時だった。
みんなで食事に行こうってなったけど、じゅんくんは食事に行かなくて、レッスン終わりにじゅんくん以外のみんなで食事に行くことになった。その頃の雪は、俺にぴったりとくっついていて、付き合い始めを楽しんでいるように思えた。
みんなで食事に行くはずだったのに、それぞれ急用が出来て、雪もまた事務所から呼び出され、俺はひとりぶらぶらと歩いている時に、じゅんくんが病院へ入って行くのを見かけた。
その時の俺は、じゅんくんは体調が悪くて、病院を受診するんだなくらいにしか思わなかった。
じゅんくんが向かった先が、まさか【苦恋花病科】だったなんて、その時の俺が知るはずもなく、あのトイレで拾った花びらとも何も結びつかなかった。
そして、病院を受診したはずなのに、顔色は悪いまま、ツアーが始まった。ツアー初日の北海道のホテルでもやっぱり体調が悪いじゅんくんが気になって仕方がなかった。
体調も常に悪いみたいだし、やっぱり何かがおかしい。
何がおかしいのかはわからないけど、何かがおかしいことだけはわかった。
そんな中、ツアー初日の北海道でじゅんくんと同じ部屋になったけど、雪は不満を爆発させて、機嫌が悪くなっていた。
雪は可愛い。
大きな瞳に、男の子とは思えない可愛らしい顔立ちで、事務所も雪を推している!
雪に告白されて、雪は可愛いし、嫌いじゃなかったし、断る理由もなかったから、そのままお試しって言われて、強引に付き合うことになった。
付き合うって言っても、一緒にご飯行って、一緒にレッスンから帰って…
今までと何も変わらなかった。
可愛い後輩と先輩の関係の延長線にあると、この時の俺は思っていた。
それでも、雪はそんな風には思っていなかったのかもしれない。
じゅんくんとの久しぶりの同室になんだか、ワクワクした。
じゅんくんが先にお風呂に入って、俺もお風呂を終えて、ごろんとベッドに横になって、久しぶりにじゅんくんとゆっくり話がしたかった。昔みたいに朝まで…とは、いかなくても、だらだらと他愛もないつまらない話をさも面白いことの様に話すのが好きだったから。
でも、じゅんくんはもう寝るからと言って、眠ろうとした、けど…
俺が話を振ったら、次から次へと話し出して、結局二時間も話してた。
朝起きたら、なんだかじゅんくんの顔色が良くて、俺も嬉しくなった。
雪とだいちゃんとじゅんくんと、4人朝食を一緒に食べてたら、雪が俺とじゅんくんのやり取りを見て、不思議がっていた。
でも、これが俺とじゅんくんの当たり前で、おかずや好きなものをお互いにあげ合うのが日常だった。
そしたら、みるみるじゅんくんの顔色が悪くなっていって、ガタンって立ち上がり『初日だからビジュ整えるって』って、先に部屋に帰ってしまった。
俺も立ち上がり、後を追いかけようとしたら、だいちゃんが『俺が追いかけるからっ、まだ、のこってるから、食べてから来たら?』って、じゅんくんの後を追っていった。
それから、雪はご機嫌になって、俺と残った朝食を一緒に食べた。
部屋に戻ると、じゅんくんは鏡の前で格闘してた。でも、どこか悲しげで顔色も悪くて…
『体調やっぱ悪いの?』って声をかけたら、
『大丈夫だって!!お前いつからそんなに心配性になったんだよ?』って言われて
『じゅんくんが心配だから』って言ったら、今にも泣きだしそうな顔してた。
その時の顔がなぜか、俺の胸をぎゅっと締め付けた。
それから、リハして、本番が始まった。
じゅんくんはライブが始まってしまえば、調子が悪そうなとこなんて見せないくらいに、走ったり踊ったりしていた。
じゅんくんと一緒に踊るのが好きだ!
息が合って、ぴったりで…何とも言えないくらいに楽しい!
そんな楽しいライブを終えて、俺は雪に食事に誘われた。
【ふたりで】って強調されて…だいちゃんやじゅんくんも誘って、みんなでワイワイ楽しく食事がしたかったけど、雪が【ふたり】を強く望んだので、ふたりで少しお酒を呑んで食事をした。
なかなか帰りたがらない雪を明日もライブあるからって、説得して部屋に返した。
どうにか雪を部屋まで送って、自分の部屋に戻るとじゅんくんはもう眠っていた。
せっかくじゅんくんと久しぶりに同じ部屋になれて、昔みたいに、遊びたかったのに…少し残念な気がした。
最近不機嫌な雪のご機嫌をとるためにも、雪と一緒にご飯に行かないわけにはいかなかったので、この結果は仕方がないと思っていた。
渋々、じゅんくんと一緒に遊ぶのを諦めて、お風呂にでも入ろうかと思った瞬間。
見つけてしまった。
床に落ちている、一枚の花びら。
その花びらは、真っ青で…海よりも空よりも深い青い色をしていた。
あの日、トイレで拾ったあの花びらと同じ、深い青い色の花びら…。
え?
…これって、レッスン初日にトイレで見たあの青い花びらと一緒?
なんだかわからないけど、
ベッドの足元に落ちていた青い花びらを拾いあげて角度を変えてじっくり見ていると、胸がざわざわと警鐘を鳴らした。
このざわざわ感…なんだろう?
深い青が綺麗で…あの日見た、花びらと同じだと思った。
こんなところに花びらが?
しかも、こんなに真っ青な花びらは珍しく、そうあるもんじゃない!
なぜだろう…
胸の奥がざわざわするのは?
花びらをしばらく見つめて、答えが出ないざわざわをどうする事も出来なくて、その花びらを捨てようとゴミ箱を見ると、下の方に真っ青な花びらがたくさん捨てられていた???
何?
これはどういう事?
透弥side
それからも、じゅんくんの体調不良はずっと続いた。
おかしいと思いながらも、何回か病院に行こうって言ったけど、じゅんくんに距離を取られているみたいで、病院行けって言いにくくなっていた時だった。
みんなで食事に行こうってなったけど、じゅんくんは食事に行かなくて、レッスン終わりにじゅんくん以外のみんなで食事に行くことになった。その頃の雪は、俺にぴったりとくっついていて、付き合い始めを楽しんでいるように思えた。
みんなで食事に行くはずだったのに、それぞれ急用が出来て、雪もまた事務所から呼び出され、俺はひとりぶらぶらと歩いている時に、じゅんくんが病院へ入って行くのを見かけた。
その時の俺は、じゅんくんは体調が悪くて、病院を受診するんだなくらいにしか思わなかった。
じゅんくんが向かった先が、まさか【苦恋花病科】だったなんて、その時の俺が知るはずもなく、あのトイレで拾った花びらとも何も結びつかなかった。
そして、病院を受診したはずなのに、顔色は悪いまま、ツアーが始まった。ツアー初日の北海道のホテルでもやっぱり体調が悪いじゅんくんが気になって仕方がなかった。
体調も常に悪いみたいだし、やっぱり何かがおかしい。
何がおかしいのかはわからないけど、何かがおかしいことだけはわかった。
そんな中、ツアー初日の北海道でじゅんくんと同じ部屋になったけど、雪は不満を爆発させて、機嫌が悪くなっていた。
雪は可愛い。
大きな瞳に、男の子とは思えない可愛らしい顔立ちで、事務所も雪を推している!
雪に告白されて、雪は可愛いし、嫌いじゃなかったし、断る理由もなかったから、そのままお試しって言われて、強引に付き合うことになった。
付き合うって言っても、一緒にご飯行って、一緒にレッスンから帰って…
今までと何も変わらなかった。
可愛い後輩と先輩の関係の延長線にあると、この時の俺は思っていた。
それでも、雪はそんな風には思っていなかったのかもしれない。
じゅんくんとの久しぶりの同室になんだか、ワクワクした。
じゅんくんが先にお風呂に入って、俺もお風呂を終えて、ごろんとベッドに横になって、久しぶりにじゅんくんとゆっくり話がしたかった。昔みたいに朝まで…とは、いかなくても、だらだらと他愛もないつまらない話をさも面白いことの様に話すのが好きだったから。
でも、じゅんくんはもう寝るからと言って、眠ろうとした、けど…
俺が話を振ったら、次から次へと話し出して、結局二時間も話してた。
朝起きたら、なんだかじゅんくんの顔色が良くて、俺も嬉しくなった。
雪とだいちゃんとじゅんくんと、4人朝食を一緒に食べてたら、雪が俺とじゅんくんのやり取りを見て、不思議がっていた。
でも、これが俺とじゅんくんの当たり前で、おかずや好きなものをお互いにあげ合うのが日常だった。
そしたら、みるみるじゅんくんの顔色が悪くなっていって、ガタンって立ち上がり『初日だからビジュ整えるって』って、先に部屋に帰ってしまった。
俺も立ち上がり、後を追いかけようとしたら、だいちゃんが『俺が追いかけるからっ、まだ、のこってるから、食べてから来たら?』って、じゅんくんの後を追っていった。
それから、雪はご機嫌になって、俺と残った朝食を一緒に食べた。
部屋に戻ると、じゅんくんは鏡の前で格闘してた。でも、どこか悲しげで顔色も悪くて…
『体調やっぱ悪いの?』って声をかけたら、
『大丈夫だって!!お前いつからそんなに心配性になったんだよ?』って言われて
『じゅんくんが心配だから』って言ったら、今にも泣きだしそうな顔してた。
その時の顔がなぜか、俺の胸をぎゅっと締め付けた。
それから、リハして、本番が始まった。
じゅんくんはライブが始まってしまえば、調子が悪そうなとこなんて見せないくらいに、走ったり踊ったりしていた。
じゅんくんと一緒に踊るのが好きだ!
息が合って、ぴったりで…何とも言えないくらいに楽しい!
そんな楽しいライブを終えて、俺は雪に食事に誘われた。
【ふたりで】って強調されて…だいちゃんやじゅんくんも誘って、みんなでワイワイ楽しく食事がしたかったけど、雪が【ふたり】を強く望んだので、ふたりで少しお酒を呑んで食事をした。
なかなか帰りたがらない雪を明日もライブあるからって、説得して部屋に返した。
どうにか雪を部屋まで送って、自分の部屋に戻るとじゅんくんはもう眠っていた。
せっかくじゅんくんと久しぶりに同じ部屋になれて、昔みたいに、遊びたかったのに…少し残念な気がした。
最近不機嫌な雪のご機嫌をとるためにも、雪と一緒にご飯に行かないわけにはいかなかったので、この結果は仕方がないと思っていた。
渋々、じゅんくんと一緒に遊ぶのを諦めて、お風呂にでも入ろうかと思った瞬間。
見つけてしまった。
床に落ちている、一枚の花びら。
その花びらは、真っ青で…海よりも空よりも深い青い色をしていた。
あの日、トイレで拾ったあの花びらと同じ、深い青い色の花びら…。
え?
…これって、レッスン初日にトイレで見たあの青い花びらと一緒?
なんだかわからないけど、
ベッドの足元に落ちていた青い花びらを拾いあげて角度を変えてじっくり見ていると、胸がざわざわと警鐘を鳴らした。
このざわざわ感…なんだろう?
深い青が綺麗で…あの日見た、花びらと同じだと思った。
こんなところに花びらが?
しかも、こんなに真っ青な花びらは珍しく、そうあるもんじゃない!
なぜだろう…
胸の奥がざわざわするのは?
花びらをしばらく見つめて、答えが出ないざわざわをどうする事も出来なくて、その花びらを捨てようとゴミ箱を見ると、下の方に真っ青な花びらがたくさん捨てられていた???
何?
これはどういう事?
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