青より青く

白夜

文字の大きさ
上 下
41 / 60

41話 青い花びら 

しおりを挟む
41話 青い花びら 



透弥side


ツアーが終わって、数日経ったある日。

じゅんくんと踊った最高のステージの余韻は今もまだ残っていて、観客の拍手とやり切ったような安堵したじゅんくんの何とも言えない表情を想い出す。


カーテンの隙間から差し込む、眩しい光を見つめて、

『いい天気っ!!』
パッと起き上がり、カーテンをサッと開けると、そこに広がっていたのは、あのツアーの最終日みたいな、晴れ渡った真っ青な空だった。





そして、俺はこの日…。




何よりも深い青を見た

どこまでも深くて…

澄んだ青はとても綺麗で…

残酷だった

真っ青な空の青よりも、もっと青くて

海の青よりももっと澄んでいた

藍色よりももっと悲しくて

涙色よりも

もっと苦しい


何よりも

俺の心を貫いた

心に刺さる青い色

それは、君が残した

世界一美しい青だった…


世界で一番綺麗な青だった…


その青に包まれて

俺は堕ちていく

どこまでも…堕ちていく。






なぜ?俺は何もできなかったのだろう…

もっと、何かできたかもしれない。

いや、気が付くのが遅すぎたんだ。

後悔が深い青に染まっていった。






遡ること数か月前。

ずっとやりたかったバックダンサーに合格した。
それも、ずっと一緒にやって来たじゅんくんと一緒に合格していた。
念願だったバックのお仕事に浮かれていた。

そして、その記念すべきレッスン初日に、じゅんくんの顔色が悪いことに気が付いた。
いつも一緒に居るからわかる。今日はなんだか、体調が悪そうだ。

付き合い始めた雪と話していても、何となくじゅんくんの体調が気になる。

『う゛っ、う゛っ…』

口元を押さえて、トイレに駆け込んんで行く、じゅんくんの背中を見てた。

あれ、絶対に体調悪いよな?

雪と話をしながらも、トイレに駆け込んだじゅんくんが気になる。なかなか戻って来ないじゅんくんが、心配になって

『雪、ごめん。なんか、じゅんくん体調悪そうだから、ちょっと様子見てくる』

そう言ってトイレに行った。


トイレの外まで聞こえるような『う゛っおえっ』って声を聞いて、

トイレのドアをノックをして
『じゅんくん?大丈夫?…体調悪いの?』って入っていった。


『大丈夫…なんでもない…』て、じゅんくんが言って、トイレから出て来た。

でも、全然大丈夫そうな顔してないし、顔色もすごく悪くて…

ずっと一緒に居たからわかる。

こんな事今まで一度も無かった。

『でも、顔色悪いけど?無理しないで…病院いこうか?俺、一緒に行くよ』と告げた。

なんだか、いつものじゅんくんじゃない気がして、病院に行かなきゃいけない気がしたから…。

でも、じゅんくんはそれを必要以上に拒んだ。

顔色の悪いじゅんくんを放ってはおけなくて、今にも倒れそうなじゅんくんの背中に手を、回して、背中を擦った。

しばらく擦っていると、少し顔色が良くなって来たみたいだ。

しばらくすると、雪がトイレに入って来て、俺たちを鋭く見て

『どうしたの?もう、レッスン始まるけど?』って、不機嫌そうに言った。


最近付き合い出した、俺への独占欲なのか…?

『え?なにふたり?なんか…あやしい!』
雪は嫉妬心を露わにしてた。

じゅんくんが、背中擦ってもらってただけって言ったら、雪は納得して、じゅんくんは雪の手を取ってレッスン場へ戻っていった。

俺も、ふたりの後を追ってレッスン場に戻ろうとしたら…

トイレの床に、青いものが落ちていた。

人差し指と親指でそっと拾いあげると、それは、真っ青な綺麗な花びらだった。

花の知識がなくて、なんの花かわからないけど、とにかく、真っ青で、今まで見たこともないような綺麗な深い青い花びらだった。


なんで、こんなところにって思ったけど、その時はキレイな花びらだなくらいにしか思わなかったし、気にも留めなかった。











しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

こじらせΩのふつうの婚活

深山恐竜
BL
宮間裕貴はΩとして生まれたが、Ωとしての生き方を受け入れられずにいた。 彼はヒートがないのをいいことに、ふつうのβと同じように大学へ行き、就職もした。 しかし、ある日ヒートがやってきてしまい、ふつうの生活がままならなくなってしまう。 裕貴は平穏な生活を取り戻すために婚活を始めるのだが、こじらせてる彼はなかなかうまくいかなくて…。

愛をなくした大公は精霊の子に溺愛される

葉月めいこ
BL
マイペースなキラキラ王子×不憫で苦労性な大公閣下 命尽きるその日までともに歩もう 全35話 ハンスレット大公領を治めるロディアスはある日、王宮からの使者を迎える。 長らく王都へ赴いていないロディアスを宴に呼び出す勅令だった。 王都へ向かう旨を仕方なしに受け入れたロディアスの前に、一歩踏み出す人物。 彼はロディアスを〝父〟と呼んだ。 突然現れた元恋人の面影を残す青年・リュミザ。 まっすぐ気持ちを向けてくる彼にロディアスは調子を狂わされるようになる。 そんな彼は国の運命を変えるだろう話を持ちかけてきた。 自身の未来に憂いがあるロディアスは、明るい未来となるのならとリュミザに協力をする。 そしてともに時間を過ごすうちに、お互いの気持ちが変化し始めるが、二人に残された時間はそれほど多くなく。 運命はいつでも海の上で揺るがされることとなる。

幸せの温度

本郷アキ
BL
※ラブ度高めです。直接的な表現もありますので、苦手な方はご注意ください。 まだ産まれたばかりの葉月を置いて、両親は天国の門を叩いた。 俺がしっかりしなきゃ──そう思っていた兄、睦月《むつき》17歳の前に表れたのは、両親の親友だという浅黄陽《あさぎよう》33歳。 陽は本当の家族のように接してくれるけれど、血の繋がりのない偽物の家族は終わりにしなければならない、だってずっと家族じゃいられないでしょ? そんなのただの言い訳。 俺にあんまり触らないで。 俺の気持ちに気付かないで。 ……陽の手で触れられるとおかしくなってしまうから。 俺のこと好きでもないのに、どうしてあんなことをしたの? 少しずつ育っていった恋心は、告白前に失恋決定。 家事に育児に翻弄されながら、少しずつ家族の形が出来上がっていく。 そんな中、睦月をストーキングする男が現れて──!?

愛しているかもしれない 傷心富豪アルファ×ずぶ濡れ家出オメガ ~君の心に降る雨も、いつかは必ず上がる~

大波小波
BL
 第二性がアルファの平 雅貴(たいら まさき)は、30代の若さで名門・平家の当主だ。  ある日、車で移動中に、雨の中ずぶ濡れでうずくまっている少年を拾う。  白沢 藍(しらさわ あい)と名乗るオメガの少年は、やつれてみすぼらしい。  雅貴は藍を屋敷に招き、健康を取り戻すまで滞在するよう勧める。  藍は雅貴をミステリアスと感じ、雅貴は藍を訳ありと思う。  心に深い傷を負った雅貴と、悲惨な身の上の藍。  少しずつ距離を縮めていく、二人の生活が始まる……。

仔犬のキス 狼の口付け ~遅発性オメガは義弟に執心される~

天埜鳩愛
BL
ハピエン約束! 義兄にしか興味がない弟 × 無自覚に翻弄する優しい義兄  番外編は11月末までまだまだ続きます~  <あらすじ> 「柚希、あの人じゃなく、僕を選んで」   過剰な愛情を兄に注ぐ和哉と、そんな和哉が可愛くて仕方がない柚希。 二人は親の再婚で義兄弟になった。 ある日ヒートのショックで意識を失った柚希が覚めると項に覚えのない噛み跡が……。 アルファの恋人と番になる決心がつかず、弟の和哉と宿泊施設に逃げたはずだったのに。なぜ? 柚希の首を噛んだのは追いかけてきた恋人か、それともベータのはずの義弟なのか。 果たして……。 <登場人物> 一ノ瀬 柚希 成人するまでβ(判定不能のため)だと思っていたが、突然ヒートを起こしてΩになり 戸惑う。和哉とは元々友人同士だったが、番であった夫を亡くした母が和哉の父と再婚。 義理の兄弟に。家族が何より大切だったがあることがきっかけで距離を置くことに……。 弟大好きのブラコンで、推しに弱い優柔不断な面もある。 一ノ瀬 和哉 幼い頃オメガだった母を亡くし、失意のどん底にいたところを柚希の愛情に救われ 以来彼を一途に愛する。とある理由からバース性を隠している。 佐々木 晶  柚希の恋人。柚希とは高校のバスケ部の先輩後輩。アルファ性を持つ。 柚希は彼が同情で付き合い始めたと思っているが、実際は……。 この度、以前に投稿していた物語をBL大賞用に改稿・加筆してお届けします。 第一部・第二部が本篇 番外編を含めて秋金木犀が香るころ、ハロウィン、クリスマスと物語も季節と共に 進行していきます。どうぞよろしくお願いいたします♡ ☆エブリスタにて2021年、年末年始日間トレンド2位、昨年夏にはBL特集に取り上げて 頂きました。根強く愛していただいております。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

冴えないおじさんが雌になっちゃうお話。

丸井まー(旧:まー)
BL
馴染みの居酒屋で冴えないおじさんが雌オチしちゃうお話。 イケメン青年×オッサン。 リクエストをくださった棗様に捧げます! 【リクエスト】冴えないおじさんリーマンの雌オチ。 楽しいリクエストをありがとうございました! ※ムーンライトノベルズさんでも公開しております。

処理中です...