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27話 お好み焼き味

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27話 お好み焼き味




惇希side




『ちゅーしよっか?』


は?…


はぁーー?


全く意味わかんない!!


どの流れでそうなる?
なんで?そうなる?

戸惑う俺の唇を奪って、唇が重なる。

数秒唇が重なっていたかと思うと、角度を変えて何度も唇が重なる。

っちゅ、っちゅっちゅ…
…ちゅ、っちゅっちゅ…

リップ音がなって、俺は瞳を丸くしたままそのキスを受け入れてた。

はあ?

なに?

なんのキス?

このキス…なに?

昼間のアレ…が、繰り返されてる?

戸惑う俺なんて気にならないみたいに、キスはさらに深くなる。

口内に侵入してきた透弥の舌先は、柔らかく、心地いい。

まるで生気を分け与えてもらっているかのようで、カラダが軽くなっていく。

昼間かけられた魔法みたいに、少しずつ痛みやだるさが薄れていく…

舌先が俺の舌先を絡めとって、透弥の舌の動きに翻弄され

少しづつ、体力が戻って来るのがわかる


くちゅっ♡くちゅっちゅっちゅ♡
…っちゅ、っちゅぱ、くちゅっ♡…っ///

口内で唾液が混ざり合って、その唾液をコクンって飲み干すと、一気にカラダが軽くなる


胸の痛みや足の痛みさえも、魔法にかかったみたいに、すぅっと消えていった。

『っ…はぁ、ンンっ♡…ん、ンンっ♡』
気持ち良くて、吐息が漏れ始めた時

唇が離れて
『冷めないうちに食べよ♡』

透弥が何食わぬ顔でそう言った

……っ///

えっ///

もう終わり?なんて思ってしまう自分がいて…

なんか、すごく…複雑な気持ち

あんなちゅーはもうえろいキス!!

その気にさせといて、はいっ終わりって…

さらーっと、しれーっと流されて、キスしたけど…

透弥っ!!このキスなんだよ!!

俺の気持なんか全く知らない透弥は

『はいっ!』って、割りばしを口に咥えて、パキンって割ってそれを俺の渡してきて…思わず受け取って、起き上がった。

あ、…簡単に起き上がれた…。

認めたくないけど、やっぱ…

ちゅーしたからか?

透弥の唾液飲み込むと、すごくカラダが軽くなって、みるみる回復していくのがわかる。

そして、あんなえろいキスしておきながら、しれぇっとお好み焼き食べ始めた透弥

全く意味が分からない!

あのキスなんだよっ!!

付き合ってもいないふたりがキスをして、お好み焼きを食べるっていう状況は普通なのか?

この状況はいったいなんなんだ?

首をひねりながら、お好み焼きを一口頬張った

『…う、うまっ』

『そうだろ?美味いだろ?広島で有名なお好み焼き屋のテイクアウトなんだよ!大阪のいいけど、広島もいいっ!どっちもそれぞれいいっ!!』


『そうだな…』

さっきまでのキスなんて、無かったみたいに昔と何も変わらない距離感で、ふたりでお好み焼きを食べた。

俺も俺だよな…

あんなキスされて、なにも言わずにお好み焼き食べ始めるって…

透弥とは、何度も一緒にお好み焼きを食べた。
ダンスレッスンの帰りにお好み焼き食べに行ったこともあったし、透弥の家で透弥が作ったお好み焼き食べた事もあった

でも、きっとこれが2人で食べる最後のお好み焼きになるだろう…

透弥と食べる、最後のお好み焼き

『…美味いな。…ありがとう』
俺は、今までの分も噛みしめながら言った。

『どういたしまして。今度は、俺は作ってあげる!帰ったら、俺の家で昔みたいにお好み焼き食べよ』

『…そうだな…』
俺は、言葉を濁した。
守れなさそうな約束は、できればしたくなかった。
沢山の嘘をついたのに、これ以上、嘘をつきたくなくて…どこか矛盾しているようだけど…

きっと、もう、透弥と次のお好み焼きは、もうないから。


お好み焼き食べ終わると透弥は、腕時計をチラっと見て

『お好み焼き食べたし、そろそろ部屋戻ろっかな』と、言って立ち上がった。

『おん、サンキュー。美味かった!』

うん、っと透弥は頷いて、入り口の方へ歩きだしだして手を振ったかと思うと

『あっ、忘れた!!』

そう言って、俺に駆け寄り、またキスをした。


っちゅ、…っちゅくちゅ♡
っちゅ、っちゅぱ、くちゅん♡

舌を絡ませて、口内をなぞるみたいなえっちなキス。

さっき、お好み焼き食べたばっかで…
お好み焼きのソースの味がしてて…

なんだか恥ずかしくなった。

『ンン!…おいっ!…何してんだよ!!』

『ちゅーした♡』
可愛く答えた透弥

でも、なんでキスしたのかは聞けなくて…

『お好み焼き食ったばっかだろ!』

『お好み焼きの味したね♡美味しかった。おやすみぃ~』

透弥はにこにこしながら部屋を出て行って、俺もしばらく顔がにやけていたんだと思う。

しばらくして大輝が戻って来て

『なに?なんかいいことあった?顔にやけてるけど?』
って、言われた。

それは、まぁ~好きな人からキスされたら

誰でもにやけちゃうんじゃない?

『なんでもないっ♡』

それだけ大輝に伝えて

俺は、ご機嫌でカラダも軽く、心地よい眠りに就いた。

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