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20話 痛みと戦う
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20話 痛みと闘う
惇希side
それから、みんなで外にご飯を食べに行って、雪と一緒に部屋に戻った。
雪ともう一泊。
ここに泊まる。
他愛もない話をして、寝るまでの時間を過ごした。それは、すごく久しぶりで楽しい時間だった。
疲れたカラダも気にならないくらいに、話に夢中になった。
『前に一緒に新幹線見にいったじゃん?あん時のさ変な人覚えてる?あの人!!さっきこのホテルにいたのわかった?』
『まじか?でっかいカメラもって、ひげもしゃもしゃな人だろ?なんで、こんなとこにいるんだよ(笑)』
『そうそうそうそう!じゅんくんしばらく真似してなかった?カメラ構える真似してさぁ~。ははっ』
『あんな個性的な人、真似してくれって言ってるようなもんだろ、雪と行った旅行の思い出、あの変なおじさんで塗り替えられてる!!ははっ。』
ふたりでいっぱい笑って、アホみたいにくだらない話をいっぱいした。
透弥の話をしなければ、雪と気が合うし、ほんとに可愛くて、楽しい後輩だ。
透弥と雪が付き合ってからは、こういう時間なかったから、なんか前に戻ったみたいで嬉しかった。
じゅんくん、じゅんくんって俺を慕ってくれて、ほんとに可愛い後輩が出来たって、俺もすごく嬉しかった。
今まで、そんなに仲良くなった後輩いなかったから。
だから、雪には笑ってて欲しい。
可愛い後輩の笑顔を奪いたくはない。
奪っちゃダメなんだ。
先輩として、雪の友達として…仲がいいから余計に、そんな事で亀裂を生みたくない。
それくらい大切な後輩だ。
『そうやって、笑ってる顔の方がいいよ!その方が可愛い!!』
『どんな顔してても、僕は可愛いけどね!!』
自信満々で、時々毒を吐く様に毒舌になるけど、それも可愛いから許されてしまう程、雪は可愛い。事務所も、雪を推しているのがよくわかる。
ダンスも上手いし、顔も可愛いとなれば…推さない理由はない。
俺たちよりも若いし、事務所も雪を全面的に表に出してる。
それでも、妬みやいじめがおきないのは、雪のこのあっけらかんとした性格と自信に満ち溢れたあざとい可愛さにあるのだろう。それに、これほどまでの可愛さなら、誰も文句が言えない。
女の子と言ってもいいくらいに、可愛らしい大きな瞳に、細く華奢なカラダ。小さい頃はよく女の子に間違われていたと言っていた。
沢山おしゃべりをしてから、俺たちは眠った。
久しぶりに雪とおしゃべりを楽しんだのに…
眠っていたら、ズキンズキンと胸の奥が痛みだして、
『う゛っ…イっ…ツゥっ…』
胸を押さえた。
ドクドクと心臓の鼓動に合わせて、ズキズキと痛む胸の奥。
堪らずにうずくまって、心臓を押さえるけど痛みは引かず、一定のリズムで俺に痛みを与え続ける。
ズキンっ…ズキンっ…
隣で気持ちよさそうに眠る雪を起こさないように、布団を頭まで被り痛みに耐える。
『ッ…っ///』
時折、ズキンっと激しい痛みに襲われながらも、口にタオルを咥えて、声を殺し苦痛に耐えた。
ズキズキと痛みを与えられて、どうする事も出来ない状況。痛みにひたすら耐えることしかできなくて、ただひたすら布団の中で、痛みに耐えた。
終わりのない続く痛みに、もう、いっそこのまま死んでしまった方が楽なのでは?と、良くない考えが頭の中を支配する。
それでも、透弥と最後まで踊りたいから…
ぐっと、タオルを噛みしめて、終わりの見えない痛みに耐えた。
痛みとの闘いは、朝まで続いて…ほとんど眠ることが出来なくて、痛みに耐えた全身からは冷や汗が流れ、しっとり濡れて、ぐったりとした脱力感に支配された。
『ん、ん~。あ~よく寝た!ん?じゅんくん?…じゅんくん!大丈夫?』
雪の声が聞こえて、
『ん、ふぁ~。おはようっ…っ…。』
痛みを隠して笑顔で言った。
『…じゅんくん…汗っ。すごいけど?大丈夫?…具合悪いの?だいちゃんか藤野くん呼ぼうか?』
『布団…かぶって…たから、汗…かいたんじゃないかな…なっ…、大丈夫だからっ…』
雪が不安そうに俺を見ていた。
その視線から逃れるように、
『汗…かいたから、シャワー…浴びて…くるっ』
逃げようとしたら、急に腕掴まれて
『なんか隠してる?それ、大丈夫なやつじゃないよね?』
『…なに…言って…そんなわけない。…大丈夫だって…。』
俺の腕を掴んでいる雪の手をぎゅっと握って、大丈夫だからって、とんとんと軽く叩いて、その手を解いた。
『…ほんとに、大丈夫なの?…僕には、とても大丈夫そうには見えない…』
『なにも、…心配する事ないっって…。ほら、雪も支度始めないと、遅れちゃよ?』
そう言って、俺は浴室に逃げ込んで、鍵をかけてぐたっと力なく座り込んだ。
…どうにか、騙せたと…思う。
いや、騙せたのかはわからないけど、この場をしのいだ。
このままじゃ、ほんまに…あと2か月なんて…持たない。
どうすればいい?
そうやって、これからあと2か月乗り切ればいい?
惇希side
それから、みんなで外にご飯を食べに行って、雪と一緒に部屋に戻った。
雪ともう一泊。
ここに泊まる。
他愛もない話をして、寝るまでの時間を過ごした。それは、すごく久しぶりで楽しい時間だった。
疲れたカラダも気にならないくらいに、話に夢中になった。
『前に一緒に新幹線見にいったじゃん?あん時のさ変な人覚えてる?あの人!!さっきこのホテルにいたのわかった?』
『まじか?でっかいカメラもって、ひげもしゃもしゃな人だろ?なんで、こんなとこにいるんだよ(笑)』
『そうそうそうそう!じゅんくんしばらく真似してなかった?カメラ構える真似してさぁ~。ははっ』
『あんな個性的な人、真似してくれって言ってるようなもんだろ、雪と行った旅行の思い出、あの変なおじさんで塗り替えられてる!!ははっ。』
ふたりでいっぱい笑って、アホみたいにくだらない話をいっぱいした。
透弥の話をしなければ、雪と気が合うし、ほんとに可愛くて、楽しい後輩だ。
透弥と雪が付き合ってからは、こういう時間なかったから、なんか前に戻ったみたいで嬉しかった。
じゅんくん、じゅんくんって俺を慕ってくれて、ほんとに可愛い後輩が出来たって、俺もすごく嬉しかった。
今まで、そんなに仲良くなった後輩いなかったから。
だから、雪には笑ってて欲しい。
可愛い後輩の笑顔を奪いたくはない。
奪っちゃダメなんだ。
先輩として、雪の友達として…仲がいいから余計に、そんな事で亀裂を生みたくない。
それくらい大切な後輩だ。
『そうやって、笑ってる顔の方がいいよ!その方が可愛い!!』
『どんな顔してても、僕は可愛いけどね!!』
自信満々で、時々毒を吐く様に毒舌になるけど、それも可愛いから許されてしまう程、雪は可愛い。事務所も、雪を推しているのがよくわかる。
ダンスも上手いし、顔も可愛いとなれば…推さない理由はない。
俺たちよりも若いし、事務所も雪を全面的に表に出してる。
それでも、妬みやいじめがおきないのは、雪のこのあっけらかんとした性格と自信に満ち溢れたあざとい可愛さにあるのだろう。それに、これほどまでの可愛さなら、誰も文句が言えない。
女の子と言ってもいいくらいに、可愛らしい大きな瞳に、細く華奢なカラダ。小さい頃はよく女の子に間違われていたと言っていた。
沢山おしゃべりをしてから、俺たちは眠った。
久しぶりに雪とおしゃべりを楽しんだのに…
眠っていたら、ズキンズキンと胸の奥が痛みだして、
『う゛っ…イっ…ツゥっ…』
胸を押さえた。
ドクドクと心臓の鼓動に合わせて、ズキズキと痛む胸の奥。
堪らずにうずくまって、心臓を押さえるけど痛みは引かず、一定のリズムで俺に痛みを与え続ける。
ズキンっ…ズキンっ…
隣で気持ちよさそうに眠る雪を起こさないように、布団を頭まで被り痛みに耐える。
『ッ…っ///』
時折、ズキンっと激しい痛みに襲われながらも、口にタオルを咥えて、声を殺し苦痛に耐えた。
ズキズキと痛みを与えられて、どうする事も出来ない状況。痛みにひたすら耐えることしかできなくて、ただひたすら布団の中で、痛みに耐えた。
終わりのない続く痛みに、もう、いっそこのまま死んでしまった方が楽なのでは?と、良くない考えが頭の中を支配する。
それでも、透弥と最後まで踊りたいから…
ぐっと、タオルを噛みしめて、終わりの見えない痛みに耐えた。
痛みとの闘いは、朝まで続いて…ほとんど眠ることが出来なくて、痛みに耐えた全身からは冷や汗が流れ、しっとり濡れて、ぐったりとした脱力感に支配された。
『ん、ん~。あ~よく寝た!ん?じゅんくん?…じゅんくん!大丈夫?』
雪の声が聞こえて、
『ん、ふぁ~。おはようっ…っ…。』
痛みを隠して笑顔で言った。
『…じゅんくん…汗っ。すごいけど?大丈夫?…具合悪いの?だいちゃんか藤野くん呼ぼうか?』
『布団…かぶって…たから、汗…かいたんじゃないかな…なっ…、大丈夫だからっ…』
雪が不安そうに俺を見ていた。
その視線から逃れるように、
『汗…かいたから、シャワー…浴びて…くるっ』
逃げようとしたら、急に腕掴まれて
『なんか隠してる?それ、大丈夫なやつじゃないよね?』
『…なに…言って…そんなわけない。…大丈夫だって…。』
俺の腕を掴んでいる雪の手をぎゅっと握って、大丈夫だからって、とんとんと軽く叩いて、その手を解いた。
『…ほんとに、大丈夫なの?…僕には、とても大丈夫そうには見えない…』
『なにも、…心配する事ないっって…。ほら、雪も支度始めないと、遅れちゃよ?』
そう言って、俺は浴室に逃げ込んで、鍵をかけてぐたっと力なく座り込んだ。
…どうにか、騙せたと…思う。
いや、騙せたのかはわからないけど、この場をしのいだ。
このままじゃ、ほんまに…あと2か月なんて…持たない。
どうすればいい?
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