17 / 60
17話 俺の味方
しおりを挟む
17話 俺の味方
惇希side
雪と透弥がキスする事を考えたら、ズキズキと…胸が痛んで
一気に込み上げる吐き気…
う゛っ…
『う゛っ…ごめっ…』
口元を押さえて、トイレに駆け込む
『っう゛っ…うぇっ…ぉえっ…』
『じゅんくん?…大丈夫?』
鍵をかけていたので、中に入って来ることは無くて、雪はドアの向こう側で俺を心配している
…大丈夫…そう言わなければいけないのに…
出てくるのは、言葉ではなくて
深い青色の薔薇の花びら
次から次へと零れ落ち、その薔薇の青はどんどん深くなっていく
押さえた口元からも、はらはらと薔薇の花びらが零れ落ちて、周囲を花びらが舞っていた。
『っ…おぇっ…う゛っ…うぇっ…』
止まらない吐き気に、どんどん体力は奪われて、目の前が霞んで見えた。
『じゅんくんっ!じゅんくんっ!…どうしようっ…開けてっ!!…大丈夫?…ねぇ
大丈夫?っここ、開けてっ!!』
ドアの向こう側では、雪が戸惑っていて、その様子がうつろな俺にさえ、手に取るように分かった。
雪…ごめん…。
心配してもらえる資格なんてないのに…
『…だいちゃんっ…来て!直ぐに』
そんな事を言っていたと思う。
少しずつ遠のいていく意識の中で、雪が大輝に助けを求めているのがわかった。
しばらくすると、ドンドンっとドアをノックする音が聞こえて
『じゅんくんっ!大丈夫?俺!大輝!!だから、開けて!!雪は今、俺の部屋でふじさんといるから!俺ひとりだから。ここ開けて!』
…残った力を振り絞って、這っていって鍵に手を伸ばした。
カチっ
鍵を開けるとすぐに、ドアが開いて、大輝が俺を抱きかかえた。
『なにしてんのっ!!こうなる前に言えって言ったよね?…こんなに吐いて…苦しかっただろ?なんで、もっと早く助けを呼ばないの?』
大輝は、俺が散らした花びらを見回して言った。
『…突然、だった…から…。吐くの…止まらなくなって…うっ…』
まだ少し残る吐き気と胸の痛みが、さらに体力を失わせた
『立てる?…ダメそうだな…』
大輝は、俺の腕を肩にかけて、抱えるようにベッドへ運んでくれた
『…どうしたらいいの?これ、なんか治療法とか薬とかある?』
『…少ししたら、落ち着くから…大丈夫…うっ…』
『大丈夫そうには見えないって!!…病院行く?』
『…行っても…仕方ない。薬も…治療もなにもないんだって…』
『………』
大輝は、黙って俺を見ていた。
『…少し、すれば…落ち着くから…大丈夫…。雪は?』
『…雪なら大丈夫。少しびっくりしてたみたいだけど…。今はふじさんといるよ。…あっ…』
『大丈夫…雪が…。俺の事、心配してて…。不安にさせちゃったから。大丈夫なら良かった…』
『じゅんくんの事、すごく心配してたよ。だから、俺の事呼んで助けてって』
雪…心配かけてごめん。
『…どうする?…雪と同じ部屋辛いなら、代わる?』
『ううん…俺が、悪いから。罪悪感…。雪はなんにも悪くない。…雪、部屋に戻って来てもかまわないよ』
『でも…』
大輝は心配そうに俺を見て、それでも俺は大丈夫だと、首を振ると、大輝はぁ~とため息を吐いた。
『そうやって強がるところ、じゅんくんの悪いところだよ…そんなに強がって、辛いの自分でしょ?』
『…仕方ないだろ?…これが俺なんだから。今更、変えられないって。雪…部屋に戻って来ても大丈夫…あっ!トイレ!花びらまみれだ…』
立ち上がろうとしたら、倦怠感が強くて、起き上がることが出来なくて
起き上がろうとした肩を掴まれて
『…俺がやっておくから、休んでて。そんなんで明日、大丈夫?』
『少し休めば…大丈夫だと思う…』
大輝は、また、はぁ~っと、ひとつ大きなため息ついて花びらを片づけにトイレに向かった。
大輝、ありがとう。
お前がいてくれてよかった。
迷惑かけて、ごめん。
あと少しだから…。
あと少しだけ…。
わがまま、言ってもいいかな?
惇希side
雪と透弥がキスする事を考えたら、ズキズキと…胸が痛んで
一気に込み上げる吐き気…
う゛っ…
『う゛っ…ごめっ…』
口元を押さえて、トイレに駆け込む
『っう゛っ…うぇっ…ぉえっ…』
『じゅんくん?…大丈夫?』
鍵をかけていたので、中に入って来ることは無くて、雪はドアの向こう側で俺を心配している
…大丈夫…そう言わなければいけないのに…
出てくるのは、言葉ではなくて
深い青色の薔薇の花びら
次から次へと零れ落ち、その薔薇の青はどんどん深くなっていく
押さえた口元からも、はらはらと薔薇の花びらが零れ落ちて、周囲を花びらが舞っていた。
『っ…おぇっ…う゛っ…うぇっ…』
止まらない吐き気に、どんどん体力は奪われて、目の前が霞んで見えた。
『じゅんくんっ!じゅんくんっ!…どうしようっ…開けてっ!!…大丈夫?…ねぇ
大丈夫?っここ、開けてっ!!』
ドアの向こう側では、雪が戸惑っていて、その様子がうつろな俺にさえ、手に取るように分かった。
雪…ごめん…。
心配してもらえる資格なんてないのに…
『…だいちゃんっ…来て!直ぐに』
そんな事を言っていたと思う。
少しずつ遠のいていく意識の中で、雪が大輝に助けを求めているのがわかった。
しばらくすると、ドンドンっとドアをノックする音が聞こえて
『じゅんくんっ!大丈夫?俺!大輝!!だから、開けて!!雪は今、俺の部屋でふじさんといるから!俺ひとりだから。ここ開けて!』
…残った力を振り絞って、這っていって鍵に手を伸ばした。
カチっ
鍵を開けるとすぐに、ドアが開いて、大輝が俺を抱きかかえた。
『なにしてんのっ!!こうなる前に言えって言ったよね?…こんなに吐いて…苦しかっただろ?なんで、もっと早く助けを呼ばないの?』
大輝は、俺が散らした花びらを見回して言った。
『…突然、だった…から…。吐くの…止まらなくなって…うっ…』
まだ少し残る吐き気と胸の痛みが、さらに体力を失わせた
『立てる?…ダメそうだな…』
大輝は、俺の腕を肩にかけて、抱えるようにベッドへ運んでくれた
『…どうしたらいいの?これ、なんか治療法とか薬とかある?』
『…少ししたら、落ち着くから…大丈夫…うっ…』
『大丈夫そうには見えないって!!…病院行く?』
『…行っても…仕方ない。薬も…治療もなにもないんだって…』
『………』
大輝は、黙って俺を見ていた。
『…少し、すれば…落ち着くから…大丈夫…。雪は?』
『…雪なら大丈夫。少しびっくりしてたみたいだけど…。今はふじさんといるよ。…あっ…』
『大丈夫…雪が…。俺の事、心配してて…。不安にさせちゃったから。大丈夫なら良かった…』
『じゅんくんの事、すごく心配してたよ。だから、俺の事呼んで助けてって』
雪…心配かけてごめん。
『…どうする?…雪と同じ部屋辛いなら、代わる?』
『ううん…俺が、悪いから。罪悪感…。雪はなんにも悪くない。…雪、部屋に戻って来てもかまわないよ』
『でも…』
大輝は心配そうに俺を見て、それでも俺は大丈夫だと、首を振ると、大輝はぁ~とため息を吐いた。
『そうやって強がるところ、じゅんくんの悪いところだよ…そんなに強がって、辛いの自分でしょ?』
『…仕方ないだろ?…これが俺なんだから。今更、変えられないって。雪…部屋に戻って来ても大丈夫…あっ!トイレ!花びらまみれだ…』
立ち上がろうとしたら、倦怠感が強くて、起き上がることが出来なくて
起き上がろうとした肩を掴まれて
『…俺がやっておくから、休んでて。そんなんで明日、大丈夫?』
『少し休めば…大丈夫だと思う…』
大輝は、また、はぁ~っと、ひとつ大きなため息ついて花びらを片づけにトイレに向かった。
大輝、ありがとう。
お前がいてくれてよかった。
迷惑かけて、ごめん。
あと少しだから…。
あと少しだけ…。
わがまま、言ってもいいかな?
44
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説
愛しているかもしれない 傷心富豪アルファ×ずぶ濡れ家出オメガ ~君の心に降る雨も、いつかは必ず上がる~
大波小波
BL
第二性がアルファの平 雅貴(たいら まさき)は、30代の若さで名門・平家の当主だ。
ある日、車で移動中に、雨の中ずぶ濡れでうずくまっている少年を拾う。
白沢 藍(しらさわ あい)と名乗るオメガの少年は、やつれてみすぼらしい。
雅貴は藍を屋敷に招き、健康を取り戻すまで滞在するよう勧める。
藍は雅貴をミステリアスと感じ、雅貴は藍を訳ありと思う。
心に深い傷を負った雅貴と、悲惨な身の上の藍。
少しずつ距離を縮めていく、二人の生活が始まる……。
【完結】イケメン騎士が僕に救いを求めてきたので呪いをかけてあげました
及川奈津生
BL
気づいたら十四世紀のフランスに居た。百年戦争の真っ只中、どうやら僕は密偵と疑われているらしい。そんなわけない!と誤解をとこうと思ったら、僕を尋問する騎士が現代にいるはずの恋人にそっくりだった。全3話。
※pome村さんがXで投稿された「#イラストを投げたら文字書きさんが引用rtでssを勝手に添えてくれる」向けに書いたものです。元イラストを表紙に設定しています。投稿元はこちら→https://x.com/pomemura_/status/1792159557269303476?t=pgeU3dApwW0DEeHzsGiHRg&s=19
魚上氷
楽川楽
BL
俺の旦那は、俺ではない誰かに恋を患っている……。
政略結婚で一緒になった阿須間澄人と高辻昌樹。最初は冷え切っていても、いつかは互いに思い合える日が来ることを期待していた昌樹だったが、ある日旦那が苦しげに花を吐き出す姿を目撃してしまう。
それは古い時代からある、片想いにより発症するという奇病だった。
美形×平凡

愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。

【完結】下級悪魔は魔王様の役に立ちたかった
ゆう
BL
俺ウェスは幼少期に魔王様に拾われた下級悪魔だ。
生まれてすぐ人との戦いに巻き込まれ、死を待つばかりだった自分を魔王様ーーディニス様が助けてくれた。
本当なら魔王様と話すことも叶わなかった卑しい俺を、ディニス様はとても可愛がってくれた。
だがそんなディニス様も俺が成長するにつれて距離を取り冷たくなっていく。自分の醜悪な見た目が原因か、あるいは知能の低さゆえか…
どうにかしてディニス様の愛情を取り戻そうとするが上手くいかず、周りの魔族たちからも蔑まれる日々。
大好きなディニス様に冷たくされることが耐えきれず、せめて最後にもう一度微笑みかけてほしい…そう思った俺は彼のために勇者一行に挑むが…
シャルルは死んだ
ふじの
BL
地方都市で理髪店を営むジルには、秘密がある。実はかつてはシャルルという名前で、傲慢な貴族だったのだ。しかし婚約者であった第二王子のファビアン殿下に嫌われていると知り、身を引いて王都を四年前に去っていた。そんなある日、店の買い出しで出かけた先でファビアン殿下と再会し──。
孤独な王弟は初めての愛を救済の聖者に注がれる
葉月めいこ
BL
ラーズヘルム王国の王弟リューウェイクは親兄弟から放任され、自らの力で第三騎士団の副団長まで上り詰めた。
王家や城の中枢から軽んじられながらも、騎士や国の民と信頼を築きながら日々を過ごしている。
国王は在位11年目を迎える前に、自身の治世が加護者である女神に護られていると安心を得るため、古くから伝承のある聖女を求め、異世界からの召喚を決行した。
異世界人の召喚をずっと反対していたリューウェイクは遠征に出たあと伝令が届き、慌てて帰還するが時すでに遅く召喚が終わっていた。
召喚陣の上に現れたのは男女――兄妹2人だった。
皆、女性を聖女と崇め男性を蔑ろに扱うが、リューウェイクは女神が二人を選んだことに意味があると、聖者である雪兎を手厚く歓迎する。
威風堂々とした雪兎は為政者の風格があるものの、根っこの部分は好奇心旺盛で世話焼きでもあり、不遇なリューウェイクを気にかけいたわってくれる。
なぜ今回の召喚されし者が二人だったのか、その理由を知ったリューウェイクは苦悩の選択に迫られる。
召喚されたスパダリ×生真面目な不憫男前
全38話
こちらは個人サイトにも掲載されています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる