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15話 隠せない隠し事
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15話 隠せない隠し事
惇希side
俺が勝手にキスをするんじゃない、透弥がしてくれるキス…
『…じゅんくんっ…っ』
腰に回された透弥の手にぐっと力が入って…
ゆっくりと透弥の唇が近づいて来る。
胸の中はとろとろに蕩けてて、心が甘いこの瞬間に溶けてしまいそうだった。
…でも…。
…………っちゅっ♡
寸前のところで俺は、自分の手を透弥の唇と自分の唇の間に挟んだ!
『えー?なんで?』
透弥が驚いていると
『アホかっ!誰がお前とちゅーするかっ!ほら、準備していくぞ!!』
心臓が止まりそうだった。
嬉しくて、嬉しくて、とろとろになってしまいそうな心を寸前のところで静止させた。
透弥がくれるキスに、期待して…俺って馬鹿だ!
透弥は雪と付き合ってるんだぞ!!
透弥から…キスしたら…
透弥が悪者になるだろ!!
透弥を浮気者にするわけにはいかない!
俺が勝手にキスする分には、透弥はなんも悪くない!でも、透弥からキスをしてしまったら…
透弥が悪者になってしまうだろ?
透弥に、雪を裏切るような行為はさせられない!!
それでも、覚えていてもいいかな?
俺の腰をぐっと引き寄せて、キスする前の透弥のあの色っぽい顔を…
覚えていてもいいよな?
透弥…一体、どんなつもりで俺にキスしようとしてたんだ?
雪が居ながら、俺と…?ってことなのか。
もしかして…なんて
ある訳もない【もしかして】を何度も考えてしまう。
だめっ!だめっ!だめっ!だめっ!…
そんなのダメだっ!!
そんな考え捨てななくちゃダメだ!!
全ての邪念を振り払うように、元気いっぱいに
『透弥!!今日も目一杯楽しむぞ~!!ほら、行くぞ~』
透弥は、眩しいくらいの笑顔で、にこぉ~って笑って
『おうっ!!』って答えた。
昨日と同様に、朝食の為に部屋を出ると
『ふ~じ~の~く~ん!おはよぉ!!』
天使が現われて、透弥に微笑んだ。
ズキンと痛む胸をそっと押さえて、何でもないフリをした。
天使は、俺にも微笑んで
『あ、じゅんくんもおはよっ!』
『おう!おはよう』
罪悪感いっぱいで、答えた。
ごめんな、雪。
でも、二回目のキスは回避したから…。
それで許して。
俺は、雪を裏切ってしまったけど、透弥は雪を裏切ってないから…。
ズキン…と、痛む胸と、ヒリヒリとする掌…
唇をぎゅっと噛んで、堪えていると
『朝食別にする?』って、部屋から出て来た大輝に声をかけられた。
『あ、おはよ。…大丈夫…』
『ほんとに?』
大輝が心配そうに俺の顔を見てるから
『全然、大丈夫!よゆ~よゆ~』
なんて、少し強がってみた
雪と透弥は、だいぶ前を歩いて行って、俺たちはふたりのだいぶ後ろをついて行った。
すると、突然
『で?昨日…なんかあった?』って大輝がにやにやしながら、俺に尋ねた。
『っ///はぁ?な、なに言って///、なんでっ///はぁ?な、なにっ言ってっんだよ』
まさかそんな事言われるって思ってなくてっ、動揺を隠せない。
『慌てると、余計に怪しいよ、ふふっ』
大輝は、爽やかに八重歯をのぞかせて笑った。
『な、なんもないって!あ、あるわけないだろっ!!』
『はははっ。じゅんくんってわかりやすっ!そんなんじゃ、すぐに雪にバレちゃうよ?雪って案外鋭いからさ。』
『…うん、気を付ける…』
『ふふっ。やっぱり、なんかあったんだ?』
『……っ///……』
言葉を発すれば発するほど、大輝に見透かされてるみたいで、もう、何も言えなくなってた
『いいよ、いいんじゃない?キスのひとつやふたつ』
『えっ!な、なんでっ///キスっしたってっ///』
『ははっ。そんな反応したら、バレるよ?』
俺をからかっているのか、まるで誘導尋問みたいに核心をついて来る。
『俺が…勝手にしただけだから!!透弥は寝てただけだしっ!!あいつは全然悪くない!俺が勝手にした事だから!浮気したとか、そんなんじゃ全然ないしっ。透弥は雪を裏切ってない!!』
『…そっか、そういう手があるのか!ふむふむ、俺も雪が寝てる間にちゅーくらいしとけばよかったぁ~。ははっ』
大輝はケラケラと笑ってた。
同じような状況に置かれてるふたりだから…なんか通じるものがあるのかな?
叶わない恋をしているふたりだから…
こんな事話せるのかな。
『こっちっ!こっち!』
先に行って席を確保していた雪が、大声で俺たちを呼んだ。
大輝は、一歩大きく前に出て、今行くって雪に思いっきり手を振った。
そして、俺を見ずに背中で
『しっかりと隠しとけよ!!雪を悲しませたら、許さないから!』
そう言った。
それは、大輝が俺の友達であると同時に、雪に想いを寄せていると認識するには充分なくらい、真剣な声だった。
『わかってる』
ちゃんとわかってるよ。
ちゃんとわかってるから。
雪を悲しませるようなことはしない。
雪の事も大好きだから!
だから、透弥からのキスを拒んだんだ。
雪を悲しませるようなことはしたくない。
惇希side
俺が勝手にキスをするんじゃない、透弥がしてくれるキス…
『…じゅんくんっ…っ』
腰に回された透弥の手にぐっと力が入って…
ゆっくりと透弥の唇が近づいて来る。
胸の中はとろとろに蕩けてて、心が甘いこの瞬間に溶けてしまいそうだった。
…でも…。
…………っちゅっ♡
寸前のところで俺は、自分の手を透弥の唇と自分の唇の間に挟んだ!
『えー?なんで?』
透弥が驚いていると
『アホかっ!誰がお前とちゅーするかっ!ほら、準備していくぞ!!』
心臓が止まりそうだった。
嬉しくて、嬉しくて、とろとろになってしまいそうな心を寸前のところで静止させた。
透弥がくれるキスに、期待して…俺って馬鹿だ!
透弥は雪と付き合ってるんだぞ!!
透弥から…キスしたら…
透弥が悪者になるだろ!!
透弥を浮気者にするわけにはいかない!
俺が勝手にキスする分には、透弥はなんも悪くない!でも、透弥からキスをしてしまったら…
透弥が悪者になってしまうだろ?
透弥に、雪を裏切るような行為はさせられない!!
それでも、覚えていてもいいかな?
俺の腰をぐっと引き寄せて、キスする前の透弥のあの色っぽい顔を…
覚えていてもいいよな?
透弥…一体、どんなつもりで俺にキスしようとしてたんだ?
雪が居ながら、俺と…?ってことなのか。
もしかして…なんて
ある訳もない【もしかして】を何度も考えてしまう。
だめっ!だめっ!だめっ!だめっ!…
そんなのダメだっ!!
そんな考え捨てななくちゃダメだ!!
全ての邪念を振り払うように、元気いっぱいに
『透弥!!今日も目一杯楽しむぞ~!!ほら、行くぞ~』
透弥は、眩しいくらいの笑顔で、にこぉ~って笑って
『おうっ!!』って答えた。
昨日と同様に、朝食の為に部屋を出ると
『ふ~じ~の~く~ん!おはよぉ!!』
天使が現われて、透弥に微笑んだ。
ズキンと痛む胸をそっと押さえて、何でもないフリをした。
天使は、俺にも微笑んで
『あ、じゅんくんもおはよっ!』
『おう!おはよう』
罪悪感いっぱいで、答えた。
ごめんな、雪。
でも、二回目のキスは回避したから…。
それで許して。
俺は、雪を裏切ってしまったけど、透弥は雪を裏切ってないから…。
ズキン…と、痛む胸と、ヒリヒリとする掌…
唇をぎゅっと噛んで、堪えていると
『朝食別にする?』って、部屋から出て来た大輝に声をかけられた。
『あ、おはよ。…大丈夫…』
『ほんとに?』
大輝が心配そうに俺の顔を見てるから
『全然、大丈夫!よゆ~よゆ~』
なんて、少し強がってみた
雪と透弥は、だいぶ前を歩いて行って、俺たちはふたりのだいぶ後ろをついて行った。
すると、突然
『で?昨日…なんかあった?』って大輝がにやにやしながら、俺に尋ねた。
『っ///はぁ?な、なに言って///、なんでっ///はぁ?な、なにっ言ってっんだよ』
まさかそんな事言われるって思ってなくてっ、動揺を隠せない。
『慌てると、余計に怪しいよ、ふふっ』
大輝は、爽やかに八重歯をのぞかせて笑った。
『な、なんもないって!あ、あるわけないだろっ!!』
『はははっ。じゅんくんってわかりやすっ!そんなんじゃ、すぐに雪にバレちゃうよ?雪って案外鋭いからさ。』
『…うん、気を付ける…』
『ふふっ。やっぱり、なんかあったんだ?』
『……っ///……』
言葉を発すれば発するほど、大輝に見透かされてるみたいで、もう、何も言えなくなってた
『いいよ、いいんじゃない?キスのひとつやふたつ』
『えっ!な、なんでっ///キスっしたってっ///』
『ははっ。そんな反応したら、バレるよ?』
俺をからかっているのか、まるで誘導尋問みたいに核心をついて来る。
『俺が…勝手にしただけだから!!透弥は寝てただけだしっ!!あいつは全然悪くない!俺が勝手にした事だから!浮気したとか、そんなんじゃ全然ないしっ。透弥は雪を裏切ってない!!』
『…そっか、そういう手があるのか!ふむふむ、俺も雪が寝てる間にちゅーくらいしとけばよかったぁ~。ははっ』
大輝はケラケラと笑ってた。
同じような状況に置かれてるふたりだから…なんか通じるものがあるのかな?
叶わない恋をしているふたりだから…
こんな事話せるのかな。
『こっちっ!こっち!』
先に行って席を確保していた雪が、大声で俺たちを呼んだ。
大輝は、一歩大きく前に出て、今行くって雪に思いっきり手を振った。
そして、俺を見ずに背中で
『しっかりと隠しとけよ!!雪を悲しませたら、許さないから!』
そう言った。
それは、大輝が俺の友達であると同時に、雪に想いを寄せていると認識するには充分なくらい、真剣な声だった。
『わかってる』
ちゃんとわかってるよ。
ちゃんとわかってるから。
雪を悲しませるようなことはしない。
雪の事も大好きだから!
だから、透弥からのキスを拒んだんだ。
雪を悲しませるようなことはしたくない。
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