15 / 60
15話 隠せない隠し事
しおりを挟む
15話 隠せない隠し事
惇希side
俺が勝手にキスをするんじゃない、透弥がしてくれるキス…
『…じゅんくんっ…っ』
腰に回された透弥の手にぐっと力が入って…
ゆっくりと透弥の唇が近づいて来る。
胸の中はとろとろに蕩けてて、心が甘いこの瞬間に溶けてしまいそうだった。
…でも…。
…………っちゅっ♡
寸前のところで俺は、自分の手を透弥の唇と自分の唇の間に挟んだ!
『えー?なんで?』
透弥が驚いていると
『アホかっ!誰がお前とちゅーするかっ!ほら、準備していくぞ!!』
心臓が止まりそうだった。
嬉しくて、嬉しくて、とろとろになってしまいそうな心を寸前のところで静止させた。
透弥がくれるキスに、期待して…俺って馬鹿だ!
透弥は雪と付き合ってるんだぞ!!
透弥から…キスしたら…
透弥が悪者になるだろ!!
透弥を浮気者にするわけにはいかない!
俺が勝手にキスする分には、透弥はなんも悪くない!でも、透弥からキスをしてしまったら…
透弥が悪者になってしまうだろ?
透弥に、雪を裏切るような行為はさせられない!!
それでも、覚えていてもいいかな?
俺の腰をぐっと引き寄せて、キスする前の透弥のあの色っぽい顔を…
覚えていてもいいよな?
透弥…一体、どんなつもりで俺にキスしようとしてたんだ?
雪が居ながら、俺と…?ってことなのか。
もしかして…なんて
ある訳もない【もしかして】を何度も考えてしまう。
だめっ!だめっ!だめっ!だめっ!…
そんなのダメだっ!!
そんな考え捨てななくちゃダメだ!!
全ての邪念を振り払うように、元気いっぱいに
『透弥!!今日も目一杯楽しむぞ~!!ほら、行くぞ~』
透弥は、眩しいくらいの笑顔で、にこぉ~って笑って
『おうっ!!』って答えた。
昨日と同様に、朝食の為に部屋を出ると
『ふ~じ~の~く~ん!おはよぉ!!』
天使が現われて、透弥に微笑んだ。
ズキンと痛む胸をそっと押さえて、何でもないフリをした。
天使は、俺にも微笑んで
『あ、じゅんくんもおはよっ!』
『おう!おはよう』
罪悪感いっぱいで、答えた。
ごめんな、雪。
でも、二回目のキスは回避したから…。
それで許して。
俺は、雪を裏切ってしまったけど、透弥は雪を裏切ってないから…。
ズキン…と、痛む胸と、ヒリヒリとする掌…
唇をぎゅっと噛んで、堪えていると
『朝食別にする?』って、部屋から出て来た大輝に声をかけられた。
『あ、おはよ。…大丈夫…』
『ほんとに?』
大輝が心配そうに俺の顔を見てるから
『全然、大丈夫!よゆ~よゆ~』
なんて、少し強がってみた
雪と透弥は、だいぶ前を歩いて行って、俺たちはふたりのだいぶ後ろをついて行った。
すると、突然
『で?昨日…なんかあった?』って大輝がにやにやしながら、俺に尋ねた。
『っ///はぁ?な、なに言って///、なんでっ///はぁ?な、なにっ言ってっんだよ』
まさかそんな事言われるって思ってなくてっ、動揺を隠せない。
『慌てると、余計に怪しいよ、ふふっ』
大輝は、爽やかに八重歯をのぞかせて笑った。
『な、なんもないって!あ、あるわけないだろっ!!』
『はははっ。じゅんくんってわかりやすっ!そんなんじゃ、すぐに雪にバレちゃうよ?雪って案外鋭いからさ。』
『…うん、気を付ける…』
『ふふっ。やっぱり、なんかあったんだ?』
『……っ///……』
言葉を発すれば発するほど、大輝に見透かされてるみたいで、もう、何も言えなくなってた
『いいよ、いいんじゃない?キスのひとつやふたつ』
『えっ!な、なんでっ///キスっしたってっ///』
『ははっ。そんな反応したら、バレるよ?』
俺をからかっているのか、まるで誘導尋問みたいに核心をついて来る。
『俺が…勝手にしただけだから!!透弥は寝てただけだしっ!!あいつは全然悪くない!俺が勝手にした事だから!浮気したとか、そんなんじゃ全然ないしっ。透弥は雪を裏切ってない!!』
『…そっか、そういう手があるのか!ふむふむ、俺も雪が寝てる間にちゅーくらいしとけばよかったぁ~。ははっ』
大輝はケラケラと笑ってた。
同じような状況に置かれてるふたりだから…なんか通じるものがあるのかな?
叶わない恋をしているふたりだから…
こんな事話せるのかな。
『こっちっ!こっち!』
先に行って席を確保していた雪が、大声で俺たちを呼んだ。
大輝は、一歩大きく前に出て、今行くって雪に思いっきり手を振った。
そして、俺を見ずに背中で
『しっかりと隠しとけよ!!雪を悲しませたら、許さないから!』
そう言った。
それは、大輝が俺の友達であると同時に、雪に想いを寄せていると認識するには充分なくらい、真剣な声だった。
『わかってる』
ちゃんとわかってるよ。
ちゃんとわかってるから。
雪を悲しませるようなことはしない。
雪の事も大好きだから!
だから、透弥からのキスを拒んだんだ。
雪を悲しませるようなことはしたくない。
惇希side
俺が勝手にキスをするんじゃない、透弥がしてくれるキス…
『…じゅんくんっ…っ』
腰に回された透弥の手にぐっと力が入って…
ゆっくりと透弥の唇が近づいて来る。
胸の中はとろとろに蕩けてて、心が甘いこの瞬間に溶けてしまいそうだった。
…でも…。
…………っちゅっ♡
寸前のところで俺は、自分の手を透弥の唇と自分の唇の間に挟んだ!
『えー?なんで?』
透弥が驚いていると
『アホかっ!誰がお前とちゅーするかっ!ほら、準備していくぞ!!』
心臓が止まりそうだった。
嬉しくて、嬉しくて、とろとろになってしまいそうな心を寸前のところで静止させた。
透弥がくれるキスに、期待して…俺って馬鹿だ!
透弥は雪と付き合ってるんだぞ!!
透弥から…キスしたら…
透弥が悪者になるだろ!!
透弥を浮気者にするわけにはいかない!
俺が勝手にキスする分には、透弥はなんも悪くない!でも、透弥からキスをしてしまったら…
透弥が悪者になってしまうだろ?
透弥に、雪を裏切るような行為はさせられない!!
それでも、覚えていてもいいかな?
俺の腰をぐっと引き寄せて、キスする前の透弥のあの色っぽい顔を…
覚えていてもいいよな?
透弥…一体、どんなつもりで俺にキスしようとしてたんだ?
雪が居ながら、俺と…?ってことなのか。
もしかして…なんて
ある訳もない【もしかして】を何度も考えてしまう。
だめっ!だめっ!だめっ!だめっ!…
そんなのダメだっ!!
そんな考え捨てななくちゃダメだ!!
全ての邪念を振り払うように、元気いっぱいに
『透弥!!今日も目一杯楽しむぞ~!!ほら、行くぞ~』
透弥は、眩しいくらいの笑顔で、にこぉ~って笑って
『おうっ!!』って答えた。
昨日と同様に、朝食の為に部屋を出ると
『ふ~じ~の~く~ん!おはよぉ!!』
天使が現われて、透弥に微笑んだ。
ズキンと痛む胸をそっと押さえて、何でもないフリをした。
天使は、俺にも微笑んで
『あ、じゅんくんもおはよっ!』
『おう!おはよう』
罪悪感いっぱいで、答えた。
ごめんな、雪。
でも、二回目のキスは回避したから…。
それで許して。
俺は、雪を裏切ってしまったけど、透弥は雪を裏切ってないから…。
ズキン…と、痛む胸と、ヒリヒリとする掌…
唇をぎゅっと噛んで、堪えていると
『朝食別にする?』って、部屋から出て来た大輝に声をかけられた。
『あ、おはよ。…大丈夫…』
『ほんとに?』
大輝が心配そうに俺の顔を見てるから
『全然、大丈夫!よゆ~よゆ~』
なんて、少し強がってみた
雪と透弥は、だいぶ前を歩いて行って、俺たちはふたりのだいぶ後ろをついて行った。
すると、突然
『で?昨日…なんかあった?』って大輝がにやにやしながら、俺に尋ねた。
『っ///はぁ?な、なに言って///、なんでっ///はぁ?な、なにっ言ってっんだよ』
まさかそんな事言われるって思ってなくてっ、動揺を隠せない。
『慌てると、余計に怪しいよ、ふふっ』
大輝は、爽やかに八重歯をのぞかせて笑った。
『な、なんもないって!あ、あるわけないだろっ!!』
『はははっ。じゅんくんってわかりやすっ!そんなんじゃ、すぐに雪にバレちゃうよ?雪って案外鋭いからさ。』
『…うん、気を付ける…』
『ふふっ。やっぱり、なんかあったんだ?』
『……っ///……』
言葉を発すれば発するほど、大輝に見透かされてるみたいで、もう、何も言えなくなってた
『いいよ、いいんじゃない?キスのひとつやふたつ』
『えっ!な、なんでっ///キスっしたってっ///』
『ははっ。そんな反応したら、バレるよ?』
俺をからかっているのか、まるで誘導尋問みたいに核心をついて来る。
『俺が…勝手にしただけだから!!透弥は寝てただけだしっ!!あいつは全然悪くない!俺が勝手にした事だから!浮気したとか、そんなんじゃ全然ないしっ。透弥は雪を裏切ってない!!』
『…そっか、そういう手があるのか!ふむふむ、俺も雪が寝てる間にちゅーくらいしとけばよかったぁ~。ははっ』
大輝はケラケラと笑ってた。
同じような状況に置かれてるふたりだから…なんか通じるものがあるのかな?
叶わない恋をしているふたりだから…
こんな事話せるのかな。
『こっちっ!こっち!』
先に行って席を確保していた雪が、大声で俺たちを呼んだ。
大輝は、一歩大きく前に出て、今行くって雪に思いっきり手を振った。
そして、俺を見ずに背中で
『しっかりと隠しとけよ!!雪を悲しませたら、許さないから!』
そう言った。
それは、大輝が俺の友達であると同時に、雪に想いを寄せていると認識するには充分なくらい、真剣な声だった。
『わかってる』
ちゃんとわかってるよ。
ちゃんとわかってるから。
雪を悲しませるようなことはしない。
雪の事も大好きだから!
だから、透弥からのキスを拒んだんだ。
雪を悲しませるようなことはしたくない。
23
お気に入りに追加
45
あなたにおすすめの小説
こじらせΩのふつうの婚活
深山恐竜
BL
宮間裕貴はΩとして生まれたが、Ωとしての生き方を受け入れられずにいた。
彼はヒートがないのをいいことに、ふつうのβと同じように大学へ行き、就職もした。
しかし、ある日ヒートがやってきてしまい、ふつうの生活がままならなくなってしまう。
裕貴は平穏な生活を取り戻すために婚活を始めるのだが、こじらせてる彼はなかなかうまくいかなくて…。
愛をなくした大公は精霊の子に溺愛される
葉月めいこ
BL
マイペースなキラキラ王子×不憫で苦労性な大公閣下
命尽きるその日までともに歩もう
全35話
ハンスレット大公領を治めるロディアスはある日、王宮からの使者を迎える。
長らく王都へ赴いていないロディアスを宴に呼び出す勅令だった。
王都へ向かう旨を仕方なしに受け入れたロディアスの前に、一歩踏み出す人物。
彼はロディアスを〝父〟と呼んだ。
突然現れた元恋人の面影を残す青年・リュミザ。
まっすぐ気持ちを向けてくる彼にロディアスは調子を狂わされるようになる。
そんな彼は国の運命を変えるだろう話を持ちかけてきた。
自身の未来に憂いがあるロディアスは、明るい未来となるのならとリュミザに協力をする。
そしてともに時間を過ごすうちに、お互いの気持ちが変化し始めるが、二人に残された時間はそれほど多くなく。
運命はいつでも海の上で揺るがされることとなる。
幸せの温度
本郷アキ
BL
※ラブ度高めです。直接的な表現もありますので、苦手な方はご注意ください。
まだ産まれたばかりの葉月を置いて、両親は天国の門を叩いた。
俺がしっかりしなきゃ──そう思っていた兄、睦月《むつき》17歳の前に表れたのは、両親の親友だという浅黄陽《あさぎよう》33歳。
陽は本当の家族のように接してくれるけれど、血の繋がりのない偽物の家族は終わりにしなければならない、だってずっと家族じゃいられないでしょ? そんなのただの言い訳。
俺にあんまり触らないで。
俺の気持ちに気付かないで。
……陽の手で触れられるとおかしくなってしまうから。
俺のこと好きでもないのに、どうしてあんなことをしたの? 少しずつ育っていった恋心は、告白前に失恋決定。
家事に育児に翻弄されながら、少しずつ家族の形が出来上がっていく。
そんな中、睦月をストーキングする男が現れて──!?
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
愛しているかもしれない 傷心富豪アルファ×ずぶ濡れ家出オメガ ~君の心に降る雨も、いつかは必ず上がる~
大波小波
BL
第二性がアルファの平 雅貴(たいら まさき)は、30代の若さで名門・平家の当主だ。
ある日、車で移動中に、雨の中ずぶ濡れでうずくまっている少年を拾う。
白沢 藍(しらさわ あい)と名乗るオメガの少年は、やつれてみすぼらしい。
雅貴は藍を屋敷に招き、健康を取り戻すまで滞在するよう勧める。
藍は雅貴をミステリアスと感じ、雅貴は藍を訳ありと思う。
心に深い傷を負った雅貴と、悲惨な身の上の藍。
少しずつ距離を縮めていく、二人の生活が始まる……。
仔犬のキス 狼の口付け ~遅発性オメガは義弟に執心される~
天埜鳩愛
BL
ハピエン約束! 義兄にしか興味がない弟 × 無自覚に翻弄する優しい義兄
番外編は11月末までまだまだ続きます~
<あらすじ>
「柚希、あの人じゃなく、僕を選んで」
過剰な愛情を兄に注ぐ和哉と、そんな和哉が可愛くて仕方がない柚希。
二人は親の再婚で義兄弟になった。
ある日ヒートのショックで意識を失った柚希が覚めると項に覚えのない噛み跡が……。
アルファの恋人と番になる決心がつかず、弟の和哉と宿泊施設に逃げたはずだったのに。なぜ?
柚希の首を噛んだのは追いかけてきた恋人か、それともベータのはずの義弟なのか。
果たして……。
<登場人物>
一ノ瀬 柚希 成人するまでβ(判定不能のため)だと思っていたが、突然ヒートを起こしてΩになり
戸惑う。和哉とは元々友人同士だったが、番であった夫を亡くした母が和哉の父と再婚。
義理の兄弟に。家族が何より大切だったがあることがきっかけで距離を置くことに……。
弟大好きのブラコンで、推しに弱い優柔不断な面もある。
一ノ瀬 和哉 幼い頃オメガだった母を亡くし、失意のどん底にいたところを柚希の愛情に救われ
以来彼を一途に愛する。とある理由からバース性を隠している。
佐々木 晶 柚希の恋人。柚希とは高校のバスケ部の先輩後輩。アルファ性を持つ。
柚希は彼が同情で付き合い始めたと思っているが、実際は……。
この度、以前に投稿していた物語をBL大賞用に改稿・加筆してお届けします。
第一部・第二部が本篇 番外編を含めて秋金木犀が香るころ、ハロウィン、クリスマスと物語も季節と共に
進行していきます。どうぞよろしくお願いいたします♡
☆エブリスタにて2021年、年末年始日間トレンド2位、昨年夏にはBL特集に取り上げて
頂きました。根強く愛していただいております。
冴えないおじさんが雌になっちゃうお話。
丸井まー(旧:まー)
BL
馴染みの居酒屋で冴えないおじさんが雌オチしちゃうお話。
イケメン青年×オッサン。
リクエストをくださった棗様に捧げます!
【リクエスト】冴えないおじさんリーマンの雌オチ。
楽しいリクエストをありがとうございました!
※ムーンライトノベルズさんでも公開しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる