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5話 苦恋花病を治すには?
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5話 苦恋花病を治すには?
惇希side
レッスンが終わって、これからみんなで食事に行こうということになったけど、
『じゅんくんはもちろん行かないよな?体調悪いもんな?病院に一緒に行こう?俺も行くよ!病院嫌いだろ?』
って、しつこいくらいに言う透弥に、
『レッスン普通だったし、もう、大丈夫だよね?』って、雪が透弥の腕に、自分の腕をしっかり絡めて、カップルアピールをしてた。
ズキンっ…
だめだ…これ以上、見ていたらまた…
花びら吐いてしまいそう…
イチャつくふたりを見ていられなくて
『ひとりで大丈夫だからさ!このまま病院寄って帰るからさ!まぁ、疲労とか言われるだけだと思うけどな!今日は、家に帰ってゆっくり休むから、じゃぁ~。透弥は雪と皆でメシ行けよ!』
早口でそれだけ言って、右手を挙げてその場を去った。
『ほんとに、大丈夫かぁ~?』って、最後まで透弥の声が聞こえていた。
俺を心配してくれる、透弥の声がさっきズキンってなった胸の痛みを和らげていた。
はぁ~…なんなんだこれ。
これ、ほんとに苦恋花病かも?
俺は仕方なく、そのまま総合病院の【苦恋花病科】を受診する事にした。
もしかしたら、何かの間違いって事もあるかもしれないし…。
総合病院は広くて、病院嫌いの俺には縁がないと思っていた。
苦恋花病科は病院の一番奥にあって、待合室も数名が待っているだけだった。
どこに座ろうかと、待合場所を見ていると
『久遠さん、1番へお入りください』と、看護師の声が聞こえ、俺は座ることなくそのまま診察室へ向かった。
診察室に入って椅子に腰かけると、
診察室に入る前に取ったレントゲンを医師が見ていて、俺でもわかるくらいハッキリと写っていた、芽を指さし
『苦恋花病で間違いないでしょう』と言った。
しっかりと、花の芽が写っていて、医療の知識がない俺が見ても、それは、一目瞭然だった。
『症状は?』って、聞かれて
『花びらを吐きました』と答え
『何回吐きましたか?』の質問に
『今日で二回目です』と事務的に答えた。
しかし…
『恋をしていますか?』
この質問には、少し躊躇い
…なんちゅう質問だ!!と、思いながらも…
『…はい…』と、小さく答えた。
『吐いた花はなんでしたか?』という問に、そんな事どうでもいいだろと思いながらも、
『青い薔薇でした』と答えた。
『…そっかぁ…』
医師はわかりやすく、落胆した。
え?青い薔薇はそんなによくない?
『花言葉、知ってますか?青い薔薇の?』
『…はぁ、吐いた後に調べました。』
『それなら、もう、おわかりかと思いますが…この病気は置かれている状況によって、吐く花の種類も変わってきます。そして、この病を治すためには…その恋を成就させるしか…方法がありません。今のところ、治療法が見つかっていないんです…。』
『実らない恋…だったら?』なんて、わかりきったことを聞いてみたけど…
『ご存じだと思いますが、この病気に罹って恋が成就しなければ…100%死にます。薬なども開発途中ですが、何が有効なのかも…全くわかっていない状況なのです。』
わかり切った答が返ってきただけだった。
『そう…ですか…』
認めたくなかったけど…
認めざるを得はなくなった
『青い薔薇だと…だいたい、1~2か月ってところですかね。』
『え?困ります!!仕事が…大切な仕事なんです!まだ死ねないです!!』
俺は先生に掴みかかる勢いで、そう言って立ち上がった。
『それなら、恋を実らせるしかないですね。後は、最近の研究によると、好きな人との片思いの人との性交渉でかなり生存率が上がっています。延命も望めるようです。そして、肉体関係から、その後に恋が成就するケースもありますし。…でも、青い薔薇は末期なので…難しいです。親しい友人や親御さんには?』
『まだ、誰にも…』
『お相手には?』
『…その人には、恋人がいるんです…』
『そうですか、それで…【不可能】ってことですね。…一応、気休めに吐き気止めとか出すことは可能ですが、あまり効かないようです。症状を抑えたいなら、好きな人との性交渉するか、好きな人とその恋人が一緒に居るところをあまり見ないようにする…とかですね。』
『では、お大事に…健闘を祈ります』
…そんなの、どっちも不可能だ!
この医者なんだよ!!
でも、やっぱり、触れてもらうと症状が落ち着くのか…。
吐いた時に透弥に背中擦ってもらうだけでも、随分楽になったもんな。
でも、そんな事したら雪にも悪いし…
そんな事…できない。
雪と、透弥と同じクルーになったからには一緒に移動だし、ずっと一緒に行動してツア―を回る。
ツアーが終わるのが、四か月後…
このままじゃ、最後まで持たない。
せめて、俺の最後のツアー…最後まで完走したい!!
透弥と一緒に、最後まで踊りたい。
惇希side
レッスンが終わって、これからみんなで食事に行こうということになったけど、
『じゅんくんはもちろん行かないよな?体調悪いもんな?病院に一緒に行こう?俺も行くよ!病院嫌いだろ?』
って、しつこいくらいに言う透弥に、
『レッスン普通だったし、もう、大丈夫だよね?』って、雪が透弥の腕に、自分の腕をしっかり絡めて、カップルアピールをしてた。
ズキンっ…
だめだ…これ以上、見ていたらまた…
花びら吐いてしまいそう…
イチャつくふたりを見ていられなくて
『ひとりで大丈夫だからさ!このまま病院寄って帰るからさ!まぁ、疲労とか言われるだけだと思うけどな!今日は、家に帰ってゆっくり休むから、じゃぁ~。透弥は雪と皆でメシ行けよ!』
早口でそれだけ言って、右手を挙げてその場を去った。
『ほんとに、大丈夫かぁ~?』って、最後まで透弥の声が聞こえていた。
俺を心配してくれる、透弥の声がさっきズキンってなった胸の痛みを和らげていた。
はぁ~…なんなんだこれ。
これ、ほんとに苦恋花病かも?
俺は仕方なく、そのまま総合病院の【苦恋花病科】を受診する事にした。
もしかしたら、何かの間違いって事もあるかもしれないし…。
総合病院は広くて、病院嫌いの俺には縁がないと思っていた。
苦恋花病科は病院の一番奥にあって、待合室も数名が待っているだけだった。
どこに座ろうかと、待合場所を見ていると
『久遠さん、1番へお入りください』と、看護師の声が聞こえ、俺は座ることなくそのまま診察室へ向かった。
診察室に入って椅子に腰かけると、
診察室に入る前に取ったレントゲンを医師が見ていて、俺でもわかるくらいハッキリと写っていた、芽を指さし
『苦恋花病で間違いないでしょう』と言った。
しっかりと、花の芽が写っていて、医療の知識がない俺が見ても、それは、一目瞭然だった。
『症状は?』って、聞かれて
『花びらを吐きました』と答え
『何回吐きましたか?』の質問に
『今日で二回目です』と事務的に答えた。
しかし…
『恋をしていますか?』
この質問には、少し躊躇い
…なんちゅう質問だ!!と、思いながらも…
『…はい…』と、小さく答えた。
『吐いた花はなんでしたか?』という問に、そんな事どうでもいいだろと思いながらも、
『青い薔薇でした』と答えた。
『…そっかぁ…』
医師はわかりやすく、落胆した。
え?青い薔薇はそんなによくない?
『花言葉、知ってますか?青い薔薇の?』
『…はぁ、吐いた後に調べました。』
『それなら、もう、おわかりかと思いますが…この病気は置かれている状況によって、吐く花の種類も変わってきます。そして、この病を治すためには…その恋を成就させるしか…方法がありません。今のところ、治療法が見つかっていないんです…。』
『実らない恋…だったら?』なんて、わかりきったことを聞いてみたけど…
『ご存じだと思いますが、この病気に罹って恋が成就しなければ…100%死にます。薬なども開発途中ですが、何が有効なのかも…全くわかっていない状況なのです。』
わかり切った答が返ってきただけだった。
『そう…ですか…』
認めたくなかったけど…
認めざるを得はなくなった
『青い薔薇だと…だいたい、1~2か月ってところですかね。』
『え?困ります!!仕事が…大切な仕事なんです!まだ死ねないです!!』
俺は先生に掴みかかる勢いで、そう言って立ち上がった。
『それなら、恋を実らせるしかないですね。後は、最近の研究によると、好きな人との片思いの人との性交渉でかなり生存率が上がっています。延命も望めるようです。そして、肉体関係から、その後に恋が成就するケースもありますし。…でも、青い薔薇は末期なので…難しいです。親しい友人や親御さんには?』
『まだ、誰にも…』
『お相手には?』
『…その人には、恋人がいるんです…』
『そうですか、それで…【不可能】ってことですね。…一応、気休めに吐き気止めとか出すことは可能ですが、あまり効かないようです。症状を抑えたいなら、好きな人との性交渉するか、好きな人とその恋人が一緒に居るところをあまり見ないようにする…とかですね。』
『では、お大事に…健闘を祈ります』
…そんなの、どっちも不可能だ!
この医者なんだよ!!
でも、やっぱり、触れてもらうと症状が落ち着くのか…。
吐いた時に透弥に背中擦ってもらうだけでも、随分楽になったもんな。
でも、そんな事したら雪にも悪いし…
そんな事…できない。
雪と、透弥と同じクルーになったからには一緒に移動だし、ずっと一緒に行動してツア―を回る。
ツアーが終わるのが、四か月後…
このままじゃ、最後まで持たない。
せめて、俺の最後のツアー…最後まで完走したい!!
透弥と一緒に、最後まで踊りたい。
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