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4話 トイレの秘密
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4話 トイレの秘密
惇希side
レッスン場で透弥と雪のイチャイチャを見ていたら…
『うっ、う゛っ…』
あ…やばい、この感じ…
俺は慌てて、口元を押さえてトイレに駆け込んだ。
『ゴホっゴホっ…う゛っ…ウェっ…』
こみ上げてくるものを抑えきれなくて、口から零れ出す青い薔薇の花びらを、必死で阻止しようとした。
しばらくして、吐き気が治まると、手の平には沢山の青い薔薇の花びらが、ちいさな山を作っていた。
それは、先日見たよりも、もっと深い青で、その青さは深みを増しているようだった。
バタンっ。
トイレのドアが開く音がして、直ぐにトントンって、ノックされて
『じゅんくん?大丈夫?…体調悪いの?』
トイレに入って来たのは、透弥だった
俺は慌てて、花びらをポケットに突っ込んだ。
『大丈夫…なんでもない…』
『でも、顔色悪かったけど?無理しないで…病院行こうか?俺、一緒に居くよ』
透弥の声が俺を心配している。その声のトーンで、ほんとに俺を心配していることがわかった。
優しい透弥らしい、声掛けに涙が溢れそうになる。
苦しい…でも、こんな事…透弥に知られるわけにはいかない。
優しい透弥をきっと困らせてしまうから。
『ほんとに…なんでも、ないから…大丈夫』
『でも…声、震えてるけど?』
自分でも気が付かなかった些細な事を、長年一緒に居るこいつには気が付かれてしまったようだ。
『…体調悪いようなら、病院行こう…。』
しつこいくらいに優しくて
『でも、ほんとに、大丈夫だって!!』
『でも…』
こういう時、なかなか引き下がらないのがこいつ透弥!
このままじゃ、どこまで行ってもこの会話の繰り返しで…
仕方なく、呼吸を整えて…トイレのドアを開けると、心配そうに俺を見つめる透弥がいた。
『やっぱ、顔色悪いよ…』
俺の背中に、手を回す透弥の手は温かかった。
すぅーっと、気持ち悪いのが引いて行って、
背中を擦られるだけで、胸の痛みや吐き気が落ち着いていった。
『ごめん…じゃあ、もう少しだけ、背中…擦っててくれる?』
『おう、もちろん全然いいよ』
にっこりと笑う、透弥の笑顔を見るだけでも、気持ちが楽になった。
そっかぁ、やっぱり俺、苦恋花病なんだ。
透弥が俺に触れるだけで、こんなに楽になる…。
しばらく、透弥に背中を擦られて
『だいぶ、顔色良くなったね。でも、病院いこか?俺が連れてってあげるから』
透弥がそう言うと直ぐに、トイレのドアが開いて雪が入って来た。
『どうしたの?もう、レッスン始まるけど?』
雪は、そう言って俺と透弥を交互に見て
『え?なにふたり?なんか…あやしい!』って、嫉妬心を露わにした。
『っち、違うよ。俺、気分悪くて…そしたら、コイツが背中擦ってくれてた…それだけ。』
『そっかぁ。なんだ。じゅんくん大丈夫なの?』
雪はにこっと表情を変えた
『あぁ、もう、だいぶいい。レッスン初日から穴開ける訳にいかないから、さぁ、行こう!!』
俺は、雪の手を取ってトイレを後にした。
それから、しばらくして透弥もトイレから出て来て、レッスンが始まった。
思いのほか体調は良くて、吐く前より逆に調子がいいくらいだった。
やっぱ、あれか…?
透弥に触れてもらったからか?
認めたくないけど、すこぶる体調がいい。
レッスン中、透弥は俺の体調を心配してか、鏡越しに俺をチラチラと見ていた。
俺は、全然大丈夫っていつもより張り切って、踊った。
顔を見るだけで
【大丈夫なの?】
【全然大丈夫!】
【ほんとに?】
【大丈夫って言ってるだろ?】
【ほんとに辛い時は言って】
【おうっ】って、視線で会話してた。
そんな俺たちを、雪が目を細めて見ていた事を、俺はこの時、気がついていなかった。
惇希side
レッスン場で透弥と雪のイチャイチャを見ていたら…
『うっ、う゛っ…』
あ…やばい、この感じ…
俺は慌てて、口元を押さえてトイレに駆け込んだ。
『ゴホっゴホっ…う゛っ…ウェっ…』
こみ上げてくるものを抑えきれなくて、口から零れ出す青い薔薇の花びらを、必死で阻止しようとした。
しばらくして、吐き気が治まると、手の平には沢山の青い薔薇の花びらが、ちいさな山を作っていた。
それは、先日見たよりも、もっと深い青で、その青さは深みを増しているようだった。
バタンっ。
トイレのドアが開く音がして、直ぐにトントンって、ノックされて
『じゅんくん?大丈夫?…体調悪いの?』
トイレに入って来たのは、透弥だった
俺は慌てて、花びらをポケットに突っ込んだ。
『大丈夫…なんでもない…』
『でも、顔色悪かったけど?無理しないで…病院行こうか?俺、一緒に居くよ』
透弥の声が俺を心配している。その声のトーンで、ほんとに俺を心配していることがわかった。
優しい透弥らしい、声掛けに涙が溢れそうになる。
苦しい…でも、こんな事…透弥に知られるわけにはいかない。
優しい透弥をきっと困らせてしまうから。
『ほんとに…なんでも、ないから…大丈夫』
『でも…声、震えてるけど?』
自分でも気が付かなかった些細な事を、長年一緒に居るこいつには気が付かれてしまったようだ。
『…体調悪いようなら、病院行こう…。』
しつこいくらいに優しくて
『でも、ほんとに、大丈夫だって!!』
『でも…』
こういう時、なかなか引き下がらないのがこいつ透弥!
このままじゃ、どこまで行ってもこの会話の繰り返しで…
仕方なく、呼吸を整えて…トイレのドアを開けると、心配そうに俺を見つめる透弥がいた。
『やっぱ、顔色悪いよ…』
俺の背中に、手を回す透弥の手は温かかった。
すぅーっと、気持ち悪いのが引いて行って、
背中を擦られるだけで、胸の痛みや吐き気が落ち着いていった。
『ごめん…じゃあ、もう少しだけ、背中…擦っててくれる?』
『おう、もちろん全然いいよ』
にっこりと笑う、透弥の笑顔を見るだけでも、気持ちが楽になった。
そっかぁ、やっぱり俺、苦恋花病なんだ。
透弥が俺に触れるだけで、こんなに楽になる…。
しばらく、透弥に背中を擦られて
『だいぶ、顔色良くなったね。でも、病院いこか?俺が連れてってあげるから』
透弥がそう言うと直ぐに、トイレのドアが開いて雪が入って来た。
『どうしたの?もう、レッスン始まるけど?』
雪は、そう言って俺と透弥を交互に見て
『え?なにふたり?なんか…あやしい!』って、嫉妬心を露わにした。
『っち、違うよ。俺、気分悪くて…そしたら、コイツが背中擦ってくれてた…それだけ。』
『そっかぁ。なんだ。じゅんくん大丈夫なの?』
雪はにこっと表情を変えた
『あぁ、もう、だいぶいい。レッスン初日から穴開ける訳にいかないから、さぁ、行こう!!』
俺は、雪の手を取ってトイレを後にした。
それから、しばらくして透弥もトイレから出て来て、レッスンが始まった。
思いのほか体調は良くて、吐く前より逆に調子がいいくらいだった。
やっぱ、あれか…?
透弥に触れてもらったからか?
認めたくないけど、すこぶる体調がいい。
レッスン中、透弥は俺の体調を心配してか、鏡越しに俺をチラチラと見ていた。
俺は、全然大丈夫っていつもより張り切って、踊った。
顔を見るだけで
【大丈夫なの?】
【全然大丈夫!】
【ほんとに?】
【大丈夫って言ってるだろ?】
【ほんとに辛い時は言って】
【おうっ】って、視線で会話してた。
そんな俺たちを、雪が目を細めて見ていた事を、俺はこの時、気がついていなかった。
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2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。
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