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3話 告白を告白
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3話 告白を告白
惇希side
花を吐いてから、1週間が経った頃だった。
あれから、全然花を吐かないし、あれは気のせいだったのかも?と思い始めていた。
たった一度、花を吐いただけだし、体調も悪くない、だから、俺は病院には行かずに、誰にも何も言わなかった。
先日受けたオーディションに受かり、俺と透弥は有名アーティストのバックダンサーとして、ツアーに同行することになった。
それだけなら良かったが…、雪もまたそのオーディションに合格していた。
そのダンスレッスン初日
『おはようございます』挨拶をして、レッスン場に入って行くと、そこには、すでに、透弥と雪が仲良さそうに微笑みながら向かい合ってた。
透弥が駆け寄って来て
『また、一緒に踊れるなっ!』って、なんにも知らない明るい笑顔で俺に話しかけてきた。
『そうだな』
俺は、複雑な心境だった。
『じゅんくんも受かってたんだぁ!』
大きな瞳を輝かせた雪も、俺の傍までやってきた。
『おう。よろしくな!!』
『藤野くんと一緒にツアー回れるの、本当に嬉しいんだけどっ♡』って、幸せオーラ全開の雪が言った。
『そして、だいちゃんも受かってたよ』
雪が言った後、すぐに
『おはようございますっ!お願いします』
白石大輝(しらいしだいき)、通称だいちゃんがやって来た。
大輝は俺たちと同じ歳で爽やかな好青年と言えばこいつというくらい爽やかで、入所は遅かったもののメキメキと力をつけ、俺たちと一緒に活動することも多かった。なので、俺は【だいき】と呼んでいた。
だいきは、俺たちを見ると
『けっこう、うちの事務所から受かった子居るみたいだね!よろしくっ!!あ~雪と一緒じゃん!嬉しいっ!!』
『だいちゃんヤメテっ!!藤野くん見てるんだから!!』
雪と大輝は家が近いらしく、幼い頃から大輝が雪をえらい可愛いがっていて、今でもその可愛がり方はやや異常な感じもする。
だから、俺はてっきり…雪は大輝と…そう言う仲なのかと思ってた。
そしたら、まさかの透弥で…
鳩にでもなって豆鉄砲食らったみたいだ。
雪から、透弥を好きだという事実を聞いたのは、雪と一緒に台湾旅行に行った帰りの電車での事だった。
日頃から仲がいい俺たちは、台湾旅行を計画し、
二泊の台湾旅行を終え帰りの電車で疲れて、ウトウトし始めた時だった。
隣にいた雪が、帽子を深く被り直して、
『あのねぇ、じゅんくん…』
それは、いつもの声のトーンと少し違っていて、それはすごく重みのある声で
『どうした?』
俺は、雪の方に顔を向けた。
雪は、帽子のつばに手を添えて、さらに深く被り直して
『僕、藤野くんの事好きなの。このお土産渡すって言って、呼び出して、告白するから!!』
って、突然の告白だった。
『え…』
俺は、驚きと衝撃で何も返せずにいると
『もたもたしてるじゅんくんが悪いんだから!!そういう事だから!!』
俺は、雪が透弥の事を好きって聞いた衝撃と、告白するっていう衝撃を二発食らって、そこから頭が全然働かなくなってた
【もたもたしているじゅんくんが悪い】って、言われてたってことは、俺が透弥を好きなことは、雪にバレていたのだと、この時の俺には気づけるはずもなくて
ただただ、帽子を深く被って、俺に表情を見せない雪を見てた。
深々と被った帽子のせいで、雪の顔はみえなかったけど、雪が真剣な事だけはわかった。
そして、宣言通りに雪は告白して、お試し期間と言うのをもらい、付き合うことになったらしい。
雪は、それを俺に嬉しそうに報告してくれた。
俺は、心にもない【おめでとう】を言った。
雪よりも先に、好きを伝えていたら?
なんて、考えたりして…
雪は、透弥に甘える様に寄り添い、透弥もまた雪の頭をぽんぽんってして、ふたりのイチャイチャを周囲は見せつけられていた。
そんなふたりを見ながら、俺は頭の中で…
あそこにいたのは、俺だったかもしれない…
なんて、思ったりした。
いや、でも…
俺が、あんな可愛らしく出来る訳ない。
名前に相応しく、色白で大きな瞳に可愛らしい仕草で、男の子というには可愛すぎて、中性的な魅力の雪だから、可愛らしく甘えるのが良く似合っていた。
そう思うと、透弥の腕の中はやっぱり、雪の場所だったのかもしれない。
ズキンズキンっと、
胸が強く締め付けられて
『うっ、う゛っ…』
あ…やばい、この感じ…
もしかして?
込み上げてくる苦しい感じは…
惇希side
花を吐いてから、1週間が経った頃だった。
あれから、全然花を吐かないし、あれは気のせいだったのかも?と思い始めていた。
たった一度、花を吐いただけだし、体調も悪くない、だから、俺は病院には行かずに、誰にも何も言わなかった。
先日受けたオーディションに受かり、俺と透弥は有名アーティストのバックダンサーとして、ツアーに同行することになった。
それだけなら良かったが…、雪もまたそのオーディションに合格していた。
そのダンスレッスン初日
『おはようございます』挨拶をして、レッスン場に入って行くと、そこには、すでに、透弥と雪が仲良さそうに微笑みながら向かい合ってた。
透弥が駆け寄って来て
『また、一緒に踊れるなっ!』って、なんにも知らない明るい笑顔で俺に話しかけてきた。
『そうだな』
俺は、複雑な心境だった。
『じゅんくんも受かってたんだぁ!』
大きな瞳を輝かせた雪も、俺の傍までやってきた。
『おう。よろしくな!!』
『藤野くんと一緒にツアー回れるの、本当に嬉しいんだけどっ♡』って、幸せオーラ全開の雪が言った。
『そして、だいちゃんも受かってたよ』
雪が言った後、すぐに
『おはようございますっ!お願いします』
白石大輝(しらいしだいき)、通称だいちゃんがやって来た。
大輝は俺たちと同じ歳で爽やかな好青年と言えばこいつというくらい爽やかで、入所は遅かったもののメキメキと力をつけ、俺たちと一緒に活動することも多かった。なので、俺は【だいき】と呼んでいた。
だいきは、俺たちを見ると
『けっこう、うちの事務所から受かった子居るみたいだね!よろしくっ!!あ~雪と一緒じゃん!嬉しいっ!!』
『だいちゃんヤメテっ!!藤野くん見てるんだから!!』
雪と大輝は家が近いらしく、幼い頃から大輝が雪をえらい可愛いがっていて、今でもその可愛がり方はやや異常な感じもする。
だから、俺はてっきり…雪は大輝と…そう言う仲なのかと思ってた。
そしたら、まさかの透弥で…
鳩にでもなって豆鉄砲食らったみたいだ。
雪から、透弥を好きだという事実を聞いたのは、雪と一緒に台湾旅行に行った帰りの電車での事だった。
日頃から仲がいい俺たちは、台湾旅行を計画し、
二泊の台湾旅行を終え帰りの電車で疲れて、ウトウトし始めた時だった。
隣にいた雪が、帽子を深く被り直して、
『あのねぇ、じゅんくん…』
それは、いつもの声のトーンと少し違っていて、それはすごく重みのある声で
『どうした?』
俺は、雪の方に顔を向けた。
雪は、帽子のつばに手を添えて、さらに深く被り直して
『僕、藤野くんの事好きなの。このお土産渡すって言って、呼び出して、告白するから!!』
って、突然の告白だった。
『え…』
俺は、驚きと衝撃で何も返せずにいると
『もたもたしてるじゅんくんが悪いんだから!!そういう事だから!!』
俺は、雪が透弥の事を好きって聞いた衝撃と、告白するっていう衝撃を二発食らって、そこから頭が全然働かなくなってた
【もたもたしているじゅんくんが悪い】って、言われてたってことは、俺が透弥を好きなことは、雪にバレていたのだと、この時の俺には気づけるはずもなくて
ただただ、帽子を深く被って、俺に表情を見せない雪を見てた。
深々と被った帽子のせいで、雪の顔はみえなかったけど、雪が真剣な事だけはわかった。
そして、宣言通りに雪は告白して、お試し期間と言うのをもらい、付き合うことになったらしい。
雪は、それを俺に嬉しそうに報告してくれた。
俺は、心にもない【おめでとう】を言った。
雪よりも先に、好きを伝えていたら?
なんて、考えたりして…
雪は、透弥に甘える様に寄り添い、透弥もまた雪の頭をぽんぽんってして、ふたりのイチャイチャを周囲は見せつけられていた。
そんなふたりを見ながら、俺は頭の中で…
あそこにいたのは、俺だったかもしれない…
なんて、思ったりした。
いや、でも…
俺が、あんな可愛らしく出来る訳ない。
名前に相応しく、色白で大きな瞳に可愛らしい仕草で、男の子というには可愛すぎて、中性的な魅力の雪だから、可愛らしく甘えるのが良く似合っていた。
そう思うと、透弥の腕の中はやっぱり、雪の場所だったのかもしれない。
ズキンズキンっと、
胸が強く締め付けられて
『うっ、う゛っ…』
あ…やばい、この感じ…
もしかして?
込み上げてくる苦しい感じは…
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