最低なふたり

白夜

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最低な人を好きになりました。

14話 同じ痛み

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14話 同じ痛み


だいきside



『やっぱりね…』



目の前で大和が土下座して俺に謝っている。

素直なかずやはきっと嘘がつけないだろうなって思ったけど…


やっぱり勃たないって帰って行った日から
2日が経った日の事だった。




『俺、蓮くんしか勃たないっ!!』

…って、そんな言い方しなくても…



ここまでくると清々しささえ感じてしまうっ!!



それに、蓮くんしか勃たないって言ってしまったら、蓮くんとヤってますって言うてるようなもんなんだよっ!!

おいっ!
もう少し俺に気を遣ってくれよ…。



『だいき…ほんとに、ごめんっ!!』
真っ直ぐに謝る大和は潔い


きっと、自分の気持ちに気が付いていなくて、それで俺と付き合っていたのだと思う


そして、蓮くんとはカラダだけって割り切っていたんかもしれない…

でも、気が付いてしまった…って、とこか。



これが俺の家か大和の家ならビンタの一発でも食らわせてやりたかったけど…

『もう…いいって…みんな見てるしっ///』

ここは会社近くの喫茶店。
それをチョイスする辺り、ちゃんと考えてるのか…なんも考えてなくても本能がそうさせてるのか…たいしたもんだ。

でも、一言言ってやらなくちゃ…

『さいてっーーーだなっ!!』

『ほんとにっごめんっ!!』

土下座がさらに深くなって、頭が床に埋まりそう

でも、そんな人柄も嫌いじゃない

嫌いになれない


隠し通すことだってできたのに…、それを隠さず俺に言ってくれた。


『最低なヤツを好きになっちゃたんだから…仕方ない!!その代わり…今まで通り俺と一緒にご飯食べたり、遊びに行ったり!友達のままでいよう』


大和といた時間はすごく楽しい時間だったから。

『だいきーーっ♡』

大和が俺に抱き着いて、涙目で俺を見た

ふぅーっ。
大きく息をひとつ吐いて、気持ちを落ち着かせた。
たくさん泣いていたおかげで、どうやら涙は底をつきたようで

その場で泣くようなことは無かった。


それよりも…、大和が自分の気持ちに気が付いたということは…
『ねぇ?蓮くんは?どうしてる?あべちゃんの事はどうするって?』


『蓮くんも、今日あべちゃんに言うって…』

まぁ、蓮くんも隠して付き合えるような器用な人じゃないか…

そんな蓮くんだから、俺も…蓮くんを嫌いになれないんだと思う。

大和と関係を持っていることをどこか申し訳なさそうにしている蓮くんだったから…

蓮くんを嫌いになれなかった。憎めなかった。

蓮くんも気が付いてなかっただけだと思う。

周囲を傷つけないととわからない、最低なふたりだけど…
いい人達だから…嫌いにはなれなくて…



『あべちゃん…大丈夫かな?』
俺は、気が付いていたけど、あべちゃんは全然気が付いてなかったみたいだし…

ダメージ大きいよね?

俺は、あべちゃんが心配になって、大和に蓮くんとあべちゃんがどこで話すのかを聞きだした。

近くの居酒屋らしく、大和と一緒にその居酒屋へ向かった。
居酒屋に入ると、あべちゃんのシクシクと鼻をすする泣き声が聞こえて…

『あべちゃんっ!』
名前を呼ぶと、あべちゃんは情けない顔して俺に抱き着いて来た。

『姫川さ~んっ…グス…グスっ…』

蓮くんは申し訳なさそうに

『だいき…ごめんっ…俺、…ずっと…』

そう言いかけた蓮くんの言葉を遮って

『あべちゃんの前で言う事じゃないよ!』って、あべちゃんの耳を塞ぐように抱きしめて

『罪滅ぼしに、蓮くんのおごりね。ここにずっといるのの可哀そうだから、あべちゃんは俺が連れて帰る』
周囲の視線を避ける様に、俺はあべちゃんを連れて、家に帰った。


本当はあべちゃんの家に送り届けたかったけど、家わからないし…聞いても、泣いてるだけで全然答えないから、とりあえず…

落ち着くまで、俺の家でいいや。

同じ痛みがわかるから…

放ってはおけなかった。
一生懸命に好きを伝えて、一生懸命にいろんな事を勉強してた…あべちゃん。

大きな体が小さく思えるほど、俺にしがみついて泣いていた。

よしよしって頭を撫でて、少し癖のある髪の毛に指を通した

どれくらい、泣いていたのだろう

泣き声は聞こえなくなって、眠ってしまったみたいだ。

こどもみたいで可愛い寝顔は、普段の国宝級イケメンと呼ばれている姿からは想像できないくらいに幼かった。

2時間くらい眠っていて、あべちゃんが目を覚ましたのはちょうど日付が変わる頃だった。

『んっ…?…あっ///…えッと…すみませんっ!眠ってました?』

『うん。可愛い寝顔だったよ。』

『っ///…なんか、姫川さんの匂い落ち着いて…手も小さいのに…なんか…すごくっ…守られてる感じするし…温かくてっ♡』

『辛かったよな…今日はもう、遅いし…泊まってく?終電無いだろ?』

あべちゃんは、俺の家に泊まっていくことになった。
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