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最低な人を好きになりました。
9話 魅惑のシャンプー
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だいきside
俺に希望の光見せて…。
そして、堕とす。
何回繰り返したら気が済むの?
俺は
『時間はたっぷりあるんだから♡』って、言われて、浮かれてた。
えっちもしたし、時間はたっぷりあるなんて言われたら、これからもずっと一緒って言われたみたいで、ルンルン気分で仕事に行った。
それなのに…
大和が先に来てて、俺を見つけると駆け寄ってきてくれた。
コソっと俺の耳に手を当てて小さな声で
『大丈夫?痛む?』って、俺を気遣って聞いてくれて
『っ///もう、大丈夫っ///』
えっちな行為を思いだして、ひとり赤面してしまった。
ふわっと香る大和の甘い香りが、いつもの大和の匂いじゃなくて
――シャンプー変えた?
なんだか、妙に色っぽかった。
うん、この匂いも好きかも?
今度俺の家にも、大和のシャンプーとか置いておくのに、何のシャンプー使ってるのか聞いてみようっと!
なんて、頭の中お花畑みたいに浮かれてて、デレデレに緩んで上がったままの口角だったけど…
直ぐにどん底まで堕とされた。
蓮くんとあべちゃん、そして同僚の小西くんが三人で盛り上がってて、ご機嫌な俺は
『なに盛り上がってんの?』って、会話に入っていった
『なんか、蓮くんすごく!いい匂いするんだよね♡』
って、小西くんが蓮くんの周りをクンクンと大げさに嗅ぎまわった。
『すぅー♡はぁ♡連くん♡めっちゃいい匂いですっ///♡』
デレデレして嬉しそうなあべちゃんが、蓮くんの匂いを吸い込んで
『そんな事無いだろ?普通だろ!昨日変えたばっかりたから!新鮮なだけだろ?やめろって///』
あべちゃんは、なおも、嬉しそうにクンクンと蓮くんの匂いを満喫していた。
あべちゃんが蓮くんを好きなことは、一目瞭然だ。
『へぇ~蓮くんそんないい匂いなんだ?嗅がせて~』
『嗅がんでいいっ!!』って、蓮くんが逃げた時…
ふわっと甘いけど甘すぎないシトラスの香りがした。
……大和と同じ匂いだった。
さっき嗅いだばかりの大和と同じ匂いが…なんで?蓮くんからもするの。
……なんで?
なんで?なんで?なんで?
同じ匂いなの?
たまたま?同じ匂いのシャンプーを使ってる?
それもそれで偶然の一致って言うのも嫌だけど…
そうじゃないんでしょ?
そんな事ある訳ないよね?
俺の家から直で蓮くんの家に行ったって事?
やっぱり俺はまた幸せの絶頂から、訳の分からない地獄の底に堕とされる。
『?だいきどうした?』
って、俺の気持ちなんか知らない蓮くんが、言った。
『別に…ほんとに…、いい匂い…だね。』
『そうかなぁ、ありがとう。昨日変えたんたけど、みんながそんなに言うなら、そうなんかなぁ。』
そうやって…何の気なしに言った一言に、また俺を堕とす情報入れ込んでくるのやめて欲しい…。
昨日変えたってことは…昨日、やっぱり大和は蓮くんの家に泊まった…もしくは、蓮くん家のお風呂に入ったと考えるのが妥当だよね…。
聞きたくなかった…。
そんな事…。
そして、俺と寝た後に、蓮くん家に行ったって事は…
やっぱり、俺じゃだめだったってこと?
俺じゃ物足りなかった?
俺は大和を、満足させてあげられなかったって事だよね?
そして、俺は見逃さなかった…。
蓮くんと大和は、ふたりにしかわからないくらい、小さな仕草で目配せして微笑み合っていた事を…
最近では、少し距離を置いていたはずのふたりが、また一気に距離が近くなった、そんな気がした。
俺と付き合ってるんだよね?
蓮くん家に行ったの?
でも、そんな風に問いただしたり、キツク言う事なんて…俺にはできない。
だって…やっと、付き合えたんだから。
蓮くんが遊びで俺が本命…ってことある?
…あるわけないか…。
それでも、別れようって言われないうちは、一緒に居たい。
大和に抱かれていたい。
例え、俺じゃない誰かを想っていたとしても…
俺を抱いてくれる限り、俺は…
大和に抱かれていたい。
卑怯な手を使ってでも、大和が欲しかった。
俺、最低なヤツ。
どうしようもないくらいに…大和が好きなんだ。
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