最低なふたり

白夜

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最低な人を好きになりました。

3話 誰を選ぶ? だいきside

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3話  誰を選ぶ?





だいきside


高校時代の友達に呼び出され遊んだ帰りだった、いつもなら来ないような少し遠いこの場所で…


まさか、あのふたりを見てしまうなんて…


告白の返事も、まだもらっていないのに…。


見間違いだと信じたかった。

でも、大和らしき人のバックは紛れもなく誕生日に俺が大和にプレゼントしたもので、カバンにつけたご当地キーホルダーは一緒に旅行に行ったときにお揃いで買ったご当地キーホルダーだった…

間違いない…


大和と蓮くんだ…


今まで浮かれていた分、より強く地獄へ叩きつけられた気分だった

ホテルに入って行くということは…

言うまでもなく…そういう事なのだろう。


完全に、フラれた。

わかっていた事だけど、『考えさせて』って言われたら…期待してしまうだろ?

もしかしたら?って思ってしまった。

あのふたりの距離感はやっぱりそういう事だったんだと、絶望の中答え合わせが出来た。


とぼとぼと家に帰って…

泣いた…。

涙がとめどなく出て、あのふたりが今頃…と考えるだけで苦しくなった。

わかっていたことなのに…

考えさせてなんて言われたものだから、変に期待してた自分が馬鹿みたい


はぁ…やっぱり、俺じゃ無かったんだ


翌朝、泣きはらした瞳は腫れ、可愛いからは遠ざかった自分の姿に、より一層がっかりと肩を落とした。

『おはよ、だいき?どうした?目腫れてるんじゃない?』

こんな時でさえ、優しい大和は罪な男…

『…なんでもない…映画…見てて、泣いちゃったから…かな…』


俺は冷静に嘘をつけているだろうか?


『可愛い♡真っ赤なお目目がウサギさんみたいで可愛い♡』

…大和に言われる『可愛い』が今は、素直に受け取れない

『今日さ、一緒に帰らない?』

あ、俺フラれるんだ…

昨日のふたりが頭に浮かんで

『…っ…………』
聞きたくない!

わかっているけど…聞きたくない。

【ごめん】って、言われなければフラれたことにはならないのかな?

なんて、子供みたいな事考えて返事を濁した

『返事…なんだけど…』

『聞きたくないっ!』

『え?』
大和は目を見開いて驚いていた

『聞きたくないっ!!』
俺は大和から顔を背けて耳を塞いだ

『…どうせ、フラれるのに、わざわざ聞きたくない!!』


『ちょ…ちょっと待ってや!誰が振るって?』

『やまとが!』

『誰を?』


『俺を!!もうっ!!朝から最悪!!』


『だいきっ!なんか…勘違いしてるんだけど?』

『へぇ?』

はぁ~と大きく息を吐いて
『一緒に帰って、ご飯食べながら言おうと思ったのに…』と、大和が言って

俺の頭の中はプチパニックになった

???

どういう事?

何?

『付き合おう♡』

『へぇ?…え?え?えーーっ?』

『そんなに驚かなくてもいいじゃん(笑)』

『だって…だって…え?…なんで?』

『なんで?って…だいきが付き合ってみないって言ったから…付き合ってみようかなって、思ったんだけど?ダメだった?』


まさかの返事に感情がぐちゃぐちゃで…

涙がまた俺の視界を歪ませていた

『…泣かないで(笑)俺がイジメたみたいなっちゃうじゃん』
って、大きな手が俺の涙を拭った

『おはようございますっ!』

爽やかなあべちゃんの挨拶で、この一連の出来事が会社のロビーで行わていたという事実を思い知らされる


『あっ…///』


『朝から、イチャイチャですか?いいですね♡俺もイチャイチャしたいですっ!!』

こうして、俺は幸せに…


なりましたとさ…

めでたしめでたし!


なんて、なれるわけなくて…


心のどこかで引っかかっていた事


蓮くんは?

蓮くんとホテルに入っていかなかった?

あれは見間違いだった?

別人?

たくさんのハテナが俺の頭に浮かんでは、答え合わせもできないままだ

でも、俺を選んでくれた。

俺と付き合うと言ってくれた。

もしかしたら、蓮くんと二股なのかもしれない。

それでも、かまわない!!

いつか、俺を好きになってくれればいい。

俺と付き合うと言ってくれたって事は…

いつか俺を好きになってくれるのかもしれない

俺を好きになってくれるように頑張ろって思った。


昨日見たふたりを記憶から抹消する


大和は俺と付き合うのだから…。
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