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42話 待っていて、覚えていて
しおりを挟む『じゃあ、少しこのままでいよう』
そう言って、君にキスをする
全部なんて挿入されていなくても…
君と繋がっている、それが嬉しかった。
少し苦しそうで、歪んだ表情さえもきれいだ。
まだ苦しそうな君を癒したくて…
君の好きな所はわかっている!
繋がったまま、胸の突起をちゅっと吸った
『っんあぁっ…』
甘い声が零れる
続けて、ちろっと舌で刺激する
『っ…あぁんっ…』
可愛い反応が返ってきて、ほんとにあの頃とかわらないんだと嬉しくなる
『好きなとこ、同じだね。それなら…わかりやすい』
しばらく体中を愛撫して、キスで蕩けさせる
だんだんナカが熱くなって
時折ぎゅって閉まって…
『…もう…大丈夫っ』
はぁはぁと浅く呼吸する
ゆるゆると動き出すと
直ぐに快感を連れて来たようだ
揺れる腰にナカは俺をほどんどん奥へ導いていく
一番奥に触れると
『あぁっ!…そこっ…だめっ…』
そんな事いつも言うけど、そこが一番いいってこと
ちゃんと覚えてるから!
『ここ好きだよね。いいよ、気持ちよくなって!!』
奥を何度か突くと
『…だめっ…一緒が…いいっ!…もう…離れたくないっ!』
そんな可愛い事言うから…
もう動き止められなくなって…
中をぐちゃぐちゃに擦る
『…もう…離れないよ!!置いていかない』
うん、と言った君のナカがぎゅっと締まる
どんどんふたりで昇っていって
一緒に絶頂を迎えた
腕の中に待ち望んだ君を抱いて
まだ荒い呼吸の中
『この命が終わっても、また、君を探しに行くから。今度は覚えていて!』
バツが悪そうに君は苦笑いを浮かべた
『今度は、ちゃんと覚えているよ。…でも、もしまた忘れてしまっていたら…』
『…忘れてしまっていたら…俺はどうすればいいの?』
『その時は、【月が綺麗だね】って言ってよ!今日みたいに、あのおっきなお月様を見てさ!』
『わかったよ。必ず君を見つけにいくから!約束』
『約束だよ』
ゆっくりと舌を絡めて約束のキスを交わした。
たぶん、この物語で俺の方が年を取っているから…
君をまた残して逝ってしまう
だから、君を安心させたくて
そう言ったのだと思う
そして、君もそれをわかっていたのだろう
それなのに…
人生とはなんと残酷なものなのだろう
今度はふたりともちゃんと心構えをしていたのに…
君が俺を置いていくなんて…
幸せの絶頂に居た
やっと通じたふたりの想い
それなのに、それを妬んだ俺の世話をしていた地位の低い者が君を殺した
突然の事に我を忘れるほど泣いた
突然置いていかれるということはこういう事なのだとわかった
自分は置いていく方だと思っていただけに…
苦しくて
耐えられそうにない…
愛しい人のいない世界なんて…
生きている意味なんてない!
どれだけ高い地位も、どんなに素晴らしい名誉も
何不自由ない暮らしも…
君が居なければ何も意味を持たない
君が俺を想い出して一年も経たないで君は去っていった
この物語で俺と君は十歳程度歳の差があった
次生まれてくる時の事を考えると…
一刻もj早く君の元へと向かうべきなのだとの考えに至った
よく晴れた真っ赤な太陽と、流れていく真っ赤な血液が辺りを染めた
薄れゆく意識の中で
脳裏にしっかりと君を刻み込む
忘れないように
また君を探し出せるように
待っていて!
必ず君を探し出して見せるから!!
そう心に決めて、第二の物語を終えた。
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