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21話 前世の記憶?

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 ふたりで達した。


幸せな時間…。

荒い呼吸と少し遠のいていく意識が心地よかった。


幸せって…こういう事をいうのかな?
なんて、考えたりして

そのまま、どんどん意識が遠ざかる

意識を途中まで手放した時…

陽向が俺の瞼にキスをした。


左目…、右目…そして。唇に…。


ん?


遠のいていく意識は、ふっと戻ってきて

あれ?

なんか…これ…俺、知ってるかも?


左目の瞼にキス、右目の瞼に…キス…。そして、唇にちゅっとされる。

なんだろ?

知ってる…?

なんかの映画で観たのか?

そんなはずない。


感覚として、わかるみたいな不思議な感じ。

なに?これ?



  ーーー記憶の扉は叩かれた


陽向の腕に抱かれて、不思議な感覚と共に眠りに就いた。

自然に繋がれた手と抱きしめられたカラダ


なんだか妙に落ち着く。

ドキドキするのに、落ち着くなんて…

…変な感覚。


眩しいくらいの朝日が、カーテンから差し込んで、ふたりに朝を告げた。



なんとなく、カラダが重くて…

そして、多少…痛い。

このままもう少し抱かれていたいから、気づかれないようにこっそりカラダの位置を変えようと思ったら


『…どした?…痛む?…だいじょうぶ?』

陽向が心配そうに、俺を見た。


『…べっ別にっ!…平気っ!』
多少残る違和感とカラダのだるさを隠しつつ言った。


『ほんとに?大丈夫?』

すごく、心配そうに俺をみるから、なんだか恥ずかしくて…

『っ///…シャワー…浴びてくるわ…』

逃げる様に、浴室へ向かった。


シャワー浴びながら、初めてなのにどこか懐かしいようなこの感覚の意味を考えた。

陽向が動くタイミングや、キスした感じ…キスの息継ぎのタイミングが、なんかわかる気がする。
初めてなのに…なんか、わかる。

陽向も、俺のイイトコロがまるでわかるみたいに攻めたりして…


俺たちって、もしかして…

 相性バッチリ?

強めのシャワーに打たれてそんな事考えていると、なんだか顔が緩んでしまう。



しゃわーのお湯を止めて

顔の水を拭う


少し考えて…

相性がいいでは済まされないような事もある。


終わった後に、陽向が俺にキスをした。
左目、右目、そして唇。

なんか懐かしくて…


思い出そうとすればするほど、懐かしさと変な感覚に陥る。

 …なんで?なんで知ってるのだろう?


気のせい?
いや、確実に知っている…。


初めて抱かれたのに、なんだか前にも抱かれたことがあるみたいな不思議な感覚。

なんて言っていいのかわからないけど…

初めてじゃないみたいだった。


言い換えるなら、前世で経験したみたいな…





前世で?前世で経験?


これって…前世の記憶なのか?


そう言われてみれば、それが一番しっくりくる!!


前にテレビで見たことがある。
前世の記憶がある人がいると…

前世で関わりのあった人や住んでた場所なんかを覚えているって…


そして、その記憶が今世でも残っていると…


俺の記憶は確かじゃないけど、何となくそれが今の感覚に一番近いそんな気がする。

俺と、陽向…前世で何かしら関係があったのかもしれない。


…いや、何かしらの関係って事は無い!
キスの感覚を覚えているって言うことは


つまり…


っ//////


まぁ…そういう関係だったってことか?

嬉しさと疑心感が半分半分…そんなところだ。


曖昧だけど、一つの仮説にたどり着いた。


俺と陽向は、前世で関係を持っていた?


シャワーを終えて、浴室を出た。

いつもの様にストレッチをする陽向


なんか…恥ずかしくて、声が掛けにくい


そんな俺をよそに、

『あっ!ひーくん!ほんまに大丈夫?…やっぱ、痛い?…ごめん』


ストレッチを辞めて、俺に言う。


『…まぁ…だいじょうぶ…』


なんか、不思議な感じ。

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