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16話 最悪な状況
しおりを挟む隼の好きと…俺が言った好き…
意味が違う。
それなのに…
『氷雨さん…俺を、好きって言ってくれましたっ!!』
そう言って、激しく唇を重ねる
何度唇を重ねても、苦しい想いが伝わって来るだけで…
振りほどこうとしても、押さえつけられて、跳ねのけられないっ!!
やだっ!!
ちゅっちゅ…
必死で唇を閉じているのに
ぬるりとした舌がねじこまれ
キスが深くなる
もうっヤだっつ!
その時
ドンドンっ
ドアをノックする音がしたかと思うと
直ぐに
『ひ~くんっ♡………』
一番見られたくない人が現われた。
陽向の笑顔がどんどん強張っていって…
俺も、準もそのまま固まっていた。
三人完全に凍り付いてしまって
『っご…ごめんっ!!』
陽向の慌てた声で時が動き出す。
最悪っ!!
一番見られたくなかったっ!!
陽向はくるっと振り返って、走って去った。
力いっぱい隼を押し飛ばして
急いで陽向を追いかける
こんな場面みられるなんて…最悪っ!!
誤解されたくない!
とにかく、誤解を解きたくて…
陽向の控室に向かった。
勢いよく陽向の控室のドアを開けて
『違うからっ!!ひなたっ!!…違うからっ!!』
って、叫んだ。
優人が驚いていて
『どうしたんですか?陽向さんなら、少し前に氷雨さんに見せたいものがあるからって…陽向さんの控室行きましたよ。会いませんでした?』
…会うには…あった…
最悪の状況で…
『あ…ありがと…』…
陽向の姿は無くて、静かにドアを閉めた。
陽向にあったら、きちんと誤解だって言いたい…
陽向の控室を出たら、陽向の姿が見えて駆け寄った。
『ひなたっ!!ひなたっ!違うからっ!!ほんとに!!』
陽向は無表情で
『…誰にも、言わないから…大丈夫』
全然俺を見ようともしない
大丈夫じゃないから!!
俺が大丈夫じゃない!!
ちゃんと、言い訳させて!!
『ほんとに、隼とはそういうんじゃないから!』
すると、俺たちの控室から隼が出てきて
『秘密にしてください。お願いします。』
と、隼が言って俺の肩を抱いた。
『…うん。…誰にも…言わないから。大丈夫…。』
『天城さ~ん!すみません。』
遠くで、陽向を呼ぶスタッフの声がした。
『俺…呼ばれてるから…』
陽向は、走ってスタッフの所へ行った。
俺は、隼をぎろっと見て
『なんで?なんであんなこと…』
『氷雨さんが好きだから!』
『ごめん…俺、隼の事好きだけど…。隼の好きとは違う好きだと思う。』
『陽向さんが好きなんですか?』
真っ直ぐな視線が刺さる。
『っ//////っち…違うしっ!!あんな奴っ///…好きな訳ないじゃんっ!!』
慌てた俺は咄嗟に大声でそう言ってしまった。
思いっきりデカい声で…
そして、最悪な事は続くもので…
陽向がスタッフの所から戻ってくるところで…
廊下で陽向はぴたりと立ち止まった。
最悪…
聞こえてた?
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