上 下
16 / 56

16話 最悪な状況

しおりを挟む
 
 隼の好きと…俺が言った好き…

意味が違う。


それなのに…


『氷雨さん…俺を、好きって言ってくれましたっ!!』


そう言って、激しく唇を重ねる

何度唇を重ねても、苦しい想いが伝わって来るだけで…

振りほどこうとしても、押さえつけられて、跳ねのけられないっ!!

やだっ!!


ちゅっちゅ…

必死で唇を閉じているのに
ぬるりとした舌がねじこまれ

キスが深くなる


もうっヤだっつ!

その時

ドンドンっ

ドアをノックする音がしたかと思うと

直ぐに


『ひ~くんっ♡………』

一番見られたくない人が現われた。


陽向の笑顔がどんどん強張っていって…

俺も、準もそのまま固まっていた。


三人完全に凍り付いてしまって

『っご…ごめんっ!!』

陽向の慌てた声で時が動き出す。


最悪っ!!

一番見られたくなかったっ!!


陽向はくるっと振り返って、走って去った。

力いっぱい隼を押し飛ばして

急いで陽向を追いかける


こんな場面みられるなんて…最悪っ!!

誤解されたくない!

とにかく、誤解を解きたくて…

陽向の控室に向かった。

勢いよく陽向の控室のドアを開けて


『違うからっ!!ひなたっ!!…違うからっ!!』

って、叫んだ。


優人が驚いていて

『どうしたんですか?陽向さんなら、少し前に氷雨さんに見せたいものがあるからって…陽向さんの控室行きましたよ。会いませんでした?』


…会うには…あった…


最悪の状況で…


『あ…ありがと…』…

陽向の姿は無くて、静かにドアを閉めた。


陽向にあったら、きちんと誤解だって言いたい…

陽向の控室を出たら、陽向の姿が見えて駆け寄った。


『ひなたっ!!ひなたっ!違うからっ!!ほんとに!!』

陽向は無表情で
『…誰にも、言わないから…大丈夫』

全然俺を見ようともしない

大丈夫じゃないから!!
俺が大丈夫じゃない!!


ちゃんと、言い訳させて!!


『ほんとに、隼とはそういうんじゃないから!』

すると、俺たちの控室から隼が出てきて


『秘密にしてください。お願いします。』
と、隼が言って俺の肩を抱いた。


『…うん。…誰にも…言わないから。大丈夫…。』


『天城さ~ん!すみません。』
遠くで、陽向を呼ぶスタッフの声がした。


『俺…呼ばれてるから…』

陽向は、走ってスタッフの所へ行った。


俺は、隼をぎろっと見て
『なんで?なんであんなこと…』


『氷雨さんが好きだから!』

『ごめん…俺、隼の事好きだけど…。隼の好きとは違う好きだと思う。』


『陽向さんが好きなんですか?』

真っ直ぐな視線が刺さる。


『っ//////っち…違うしっ!!あんな奴っ///…好きな訳ないじゃんっ!!』

慌てた俺は咄嗟に大声でそう言ってしまった。


思いっきりデカい声で…


そして、最悪な事は続くもので…

陽向がスタッフの所から戻ってくるところで…

廊下で陽向はぴたりと立ち止まった。


最悪…


聞こえてた?


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

本日のディナーは勇者さんです。

木樫
BL
〈12/8 完結〉 純情ツンデレ溺愛魔王✕素直な鈍感天然勇者で、魔王に負けたら飼われた話。  【あらすじ】  異世界に強制召喚され酷使される日々に辟易していた社畜勇者の勝流は、魔王を殺ってこいと城を追い出され、単身、魔王城へ乗り込んだ……が、あっさり敗北。  死を覚悟した勝流が目を覚ますと、鉄の檻に閉じ込められ、やたら豪奢なベッドに檻ごとのせられていた。 「なにも怪我人檻に入れるこたねぇだろ!? うっかり最終形態になっちまった俺が悪いんだ……ッ!」 「いけません魔王様! 勇者というのは魔物をサーチアンドデストロイするデンジャラスバーサーカーなんです! 噛みつかれたらどうするのですか!」 「か、噛むのか!?」 ※ただいまレイアウト修正中!  途中からレイアウトが変わっていて読みにくいかもしれません。申し訳ねぇ。

ギルド職員は高ランク冒険者の執愛に気づかない

Ayari(橋本彩里)
BL
王都東支部の冒険者ギルド職員として働いているノアは、本部ギルドの嫌がらせに腹を立て飲みすぎ、酔った勢いで見知らぬ男性と夜をともにしてしまう。 かなり戸惑ったが、一夜限りだし相手もそう望んでいるだろうと挨拶もせずその場を後にした。 後日、一夜の相手が有名な高ランク冒険者パーティの一人、美貌の魔剣士ブラムウェルだと知る。 群れることを嫌い他者を寄せ付けないと噂されるブラムウェルだがノアには態度が違って…… 冷淡冒険者(ノア限定で世話焼き甘えた)とマイペースギルド職員、周囲の思惑や過去が交差する。 表紙は友人絵師kouma.作です♪

零れる

午後野つばな
BL
やさしく触れられて、泣きたくなったーー あらすじ 十代の頃に両親を事故で亡くしたアオは、たったひとりで弟を育てていた。そんなある日、アオの前にひとりの男が現れてーー。 オメガに生まれたことを憎むアオと、“運命のつがい”の存在自体を否定するシオン。互いの存在を否定しながらも、惹かれ合うふたりは……。 運命とは、つがいとは何なのか。 ★リバ描写があります。苦手なかたはご注意ください。 ★オメガバースです。 ★思わずハッと息を呑んでしまうほど美しいイラストはshivaさん(@kiringo69)に描いていただきました。

【完結】もふもふ獣人転生

  *  
BL
白い耳としっぽのもふもふ獣人に生まれ、強制労働で死にそうなところを助けてくれたのは、最愛の推しでした。 ちっちゃなもふもふ獣人と、攻略対象の凛々しい少年の、両片思い? な、いちゃらぶもふもふなお話です。 本編完結しました! おまけをちょこちょこ更新しています。 第12回BL大賞、奨励賞をいただきました、読んでくださった方、応援してくださった方、投票してくださった方のおかげです、ほんとうにありがとうございました!

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

【第1章完結】悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼第2章2025年1月18日より投稿予定 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

処理中です...