ふと思いついた小話集

飛鳥槐

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風邪と看病

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外園  優菜 ホカゾノ  ユウナ

大垣  翔悟 オオガキ  ショウゴ

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



翔悟「おい優菜!大丈夫か!?」

バンと勢いよく私の部屋に入ってきたのは、大垣翔悟。

彼とは小学校から中学校、高校と同じ学校で家も近いのでよく遊んでいる。

で今日も一緒にゲームをするという約束があったのだが、私が熱を出してしまい遊べなくなってしまった。

朝、母に電話してもらい彼には風邪が移るから来なくていいと連絡したのにやっぱり来た。

彼は昔からそうだった。

小学校の時に私がインフルエンザにかかってしまい、学校を休んだときも、彼は学校が終わってすぐ家に飛んできた。

結局私の風邪が彼に移り二人で仲良く風邪をひいた。

中学校の時も私が階段でこけて足首を捻挫した時もこいつが保健室まで運んでくれた。…私をお姫様だっこした時、こいつも男の子なんだなって思ったっけ?

捻挫は軽かったのにいつまでもいつまでも大丈夫か?大丈夫か?と言ってずっとそばにいてくれた。

今でも私が風邪をひいたと聞いてすぐに飛んできてくれた。

嬉しいような嬉しくないようなこの気持ち。

変な気持ち。嬉しいのに嬉しくないって矛盾してるし。

翔悟「お前の母さんから聞いたぞ。大丈夫か?熱は?」

優菜「測ってない。」

翔悟「だと思った。ほら測るぞ。ボタン外すぞ」

そう言ってパジャマのボタンに手をかける翔悟。

優菜「ちょ、やめてよ!ていうかその体温計どこから持ってきたの?」

翔悟「ああ、これか。お前がどうせ熱測ってないだろうと思ってお前の母さんに借りてきた。」

参った。翔悟には何でもお見通しのようだ。

翔悟「ほらさっさと測るぞ。早くボタン外せ」

今度は手をかけず自分でやらせる翔悟。

体温計をいれやすいように少しボタンを外すと、翔悟が後ろから私を抱き締めるようにして体温計を私の脇に入れた。

優菜(なん…で…?何でこんなに熱いの?)

鼓動がはやい。

背中に全神経が集まったようにあいつを感じる。

暖かい温もり。

安心する。何だか眠くなってきた…

翔悟「39.4。高いな…。って寝てるし!」

俺は熱い優菜の体をゆっくりとベットに横たわらせた。

毛布をかけ、熱さまシートをはり、薬と水を用意して、俺が切った凸凹の林檎を置いて、手紙を置いて、よし。これで優菜が起きても大丈夫だな。

後は…

チュ…

マスク越しに短いキスをして部屋を出た。

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

夕方目が覚めるとだいぶ体が軽くなっていた。

ふとベット脇に置いてある机を見ると凸凹の林檎と薬、それから水と白いメモが置いてあった。

そっとメモを開く。



優菜へ

早く元気になれよ。

復活したら一緒にゲームしような!

ああ、薬すぐ飲めるように置いておいたから。忘れずにちゃんと飲むんだぞ!

林檎も置いておいた。凸凹だけど味は美味しいはずだから、食べれそうだったら食べてくれ。

あと元気になったらお前に伝えたいことがある。だから早く元気になれよな!

ゆっくり休め!
              
                翔悟より

ふっと笑い私はピックが可愛い凸凹の林檎を口に運んだ。

凸凹しているから舌触りは良くない。

おまけに皮も所々残ってる。

けど翔悟の優しさが伝わってくる優しい林檎だ。

私はまた新しい林檎を口に運んだ。












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