9 / 57
プロローグ。
【第三話】 同じだけど同じじゃないこと。
しおりを挟む
──今日もしろうさぎさんはお気に入りの大木を探して森を探索中です。
右を見て左を見て、たまに上を見上げれば雲一つない青い空の下。森緑の染み入るような空気と清々しい陽光に包まれながら見渡す世界はそれだけでとても美しく、しろうさぎさんの顔からは自然と笑顔が溢れ落ちます。
「って、あんたな~に一匹でニヤニヤしてんのよ、気持ち悪い」
「あ、ピクシーさん、おはようございます」
「おはよう、うさぎ」
探索の途中で仲良しのピクシーさんと出会ったしろうさぎさんはそれから二匹で世間話をしながら一緒に大木を探して歩きます。
「──で、うさぎ。あんたがここに来てもうどれくらい?」
「うーん。桜の季節にここに来たから、まだ一つ分の季節かなぁ」
「そっかぁ。ま、昔のことは別に詮索しないけどさ、あんた的にこの森はどうなの?」
「え? この森?」
「そ。この森。私はこう見えて他の森に行ったことはないからさ、やっぱり聞いてみたいじゃない?」
ピクシーさんの問いかけにしろうさぎさんは歩きながら少し考えると答えます。
「うん。緑も多いし、大きな木も沢山あるし、スライムさんや、リリパットちゃん、それにピクシーさんもみんな優しいモンスターさん達だからとても居心地が良い」
「あら、そうなの。やだ、本当のこととはいえちょっと照れるじゃない。やめてよね、フフフ」
ピクシーさんはその言葉を聞くとピカピカと全身を発光させながらクルクルとしろうさぎさんの周りを飛び回ると文字通り全身で喜びを表現します。それを見たしろうさぎさんも同じく嬉しい気持ちになって二匹は笑顔で森を進んで行きます。そしてそれから暫く進むと二匹の耳には最近馴染みの音が聞こえて来たのでした。
──バリンッ!! バリンッ!! バリン、バリン……
「おっ、今日もやってるやってる」
「うん。よっぽど気に入ってくれたみたいで嬉しいね」
その音の主は新しい自前の弓を手に入れて只今急成長中の小さなリリパットの女の子のリリパットちゃん。彼女は二匹に気づくと弓から手を離すことなく声をかけてきます。
「あっ!! しろうさぎさん、ピクシーさん、おはようございます」
──ズド、バリンッ!!
「おはようございます、リリパットちゃん」
「おはよう。って、あんた、よそ見して話しながら矢を射らないの。危ないでしょ」
「あ、すみません。気をつけます!」
──バリンッ!!
「……はぁ。この娘に弓を与えたのは本当に正解だったのかどうか……恐ろしいわ……」
「あはは。凄い才能だもんね、きっかけ一つでこんなにも変わるなんてね」
「はい!! 私、今が凄く楽しいです、だから、お二匹さんには本当に感謝しています。ありがとうございます!」
──バリンッ!!
「あぁ、はいはい。どう致しまして」
「どう致しましてです」
そうして三匹が楽しそうに会話をしていると突然近くの茂みが小さく揺れて三匹は揃ってビクッと体を強張らせその方向に視線を向けたのでした。
右を見て左を見て、たまに上を見上げれば雲一つない青い空の下。森緑の染み入るような空気と清々しい陽光に包まれながら見渡す世界はそれだけでとても美しく、しろうさぎさんの顔からは自然と笑顔が溢れ落ちます。
「って、あんたな~に一匹でニヤニヤしてんのよ、気持ち悪い」
「あ、ピクシーさん、おはようございます」
「おはよう、うさぎ」
探索の途中で仲良しのピクシーさんと出会ったしろうさぎさんはそれから二匹で世間話をしながら一緒に大木を探して歩きます。
「──で、うさぎ。あんたがここに来てもうどれくらい?」
「うーん。桜の季節にここに来たから、まだ一つ分の季節かなぁ」
「そっかぁ。ま、昔のことは別に詮索しないけどさ、あんた的にこの森はどうなの?」
「え? この森?」
「そ。この森。私はこう見えて他の森に行ったことはないからさ、やっぱり聞いてみたいじゃない?」
ピクシーさんの問いかけにしろうさぎさんは歩きながら少し考えると答えます。
「うん。緑も多いし、大きな木も沢山あるし、スライムさんや、リリパットちゃん、それにピクシーさんもみんな優しいモンスターさん達だからとても居心地が良い」
「あら、そうなの。やだ、本当のこととはいえちょっと照れるじゃない。やめてよね、フフフ」
ピクシーさんはその言葉を聞くとピカピカと全身を発光させながらクルクルとしろうさぎさんの周りを飛び回ると文字通り全身で喜びを表現します。それを見たしろうさぎさんも同じく嬉しい気持ちになって二匹は笑顔で森を進んで行きます。そしてそれから暫く進むと二匹の耳には最近馴染みの音が聞こえて来たのでした。
──バリンッ!! バリンッ!! バリン、バリン……
「おっ、今日もやってるやってる」
「うん。よっぽど気に入ってくれたみたいで嬉しいね」
その音の主は新しい自前の弓を手に入れて只今急成長中の小さなリリパットの女の子のリリパットちゃん。彼女は二匹に気づくと弓から手を離すことなく声をかけてきます。
「あっ!! しろうさぎさん、ピクシーさん、おはようございます」
──ズド、バリンッ!!
「おはようございます、リリパットちゃん」
「おはよう。って、あんた、よそ見して話しながら矢を射らないの。危ないでしょ」
「あ、すみません。気をつけます!」
──バリンッ!!
「……はぁ。この娘に弓を与えたのは本当に正解だったのかどうか……恐ろしいわ……」
「あはは。凄い才能だもんね、きっかけ一つでこんなにも変わるなんてね」
「はい!! 私、今が凄く楽しいです、だから、お二匹さんには本当に感謝しています。ありがとうございます!」
──バリンッ!!
「あぁ、はいはい。どう致しまして」
「どう致しましてです」
そうして三匹が楽しそうに会話をしていると突然近くの茂みが小さく揺れて三匹は揃ってビクッと体を強張らせその方向に視線を向けたのでした。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
【完結】ある二人の皇女
つくも茄子
ファンタジー
美しき姉妹の皇女がいた。
姉は物静か淑やかな美女、妹は勝気で闊達な美女。
成長した二人は同じ夫・皇太子に嫁ぐ。
最初に嫁いだ姉であったが、皇后になったのは妹。
何故か?
それは夫が皇帝に即位する前に姉が亡くなったからである。
皇后には息子が一人いた。
ライバルは亡き姉の忘れ形見の皇子。
不穏な空気が漂う中で謀反が起こる。
我が子に隠された秘密を皇后が知るのは全てが終わった時であった。
他のサイトにも公開中。
【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~
山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」
母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。
愛人宅に住み屋敷に帰らない父。
生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。
私には母の言葉が理解出来なかった。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
真実の愛に婚約破棄を叫ぶ王太子より更に凄い事を言い出した真実の愛の相手
ラララキヲ
ファンタジー
卒業式が終わると突然王太子が婚約破棄を叫んだ。
反論する婚約者の侯爵令嬢。
そんな侯爵令嬢から王太子を守ろうと、自分が悪いと言い出す王太子の真実の愛のお相手の男爵令嬢は、さらにとんでもない事を口にする。
そこへ………
◇テンプレ婚約破棄モノ。
◇ふんわり世界観。
◇なろうにも上げてます。
飯屋の娘は魔法を使いたくない?
秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。
魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。
それを見ていた貴族の青年が…。
異世界転生の話です。
のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。
※ 表紙は星影さんの作品です。
※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる