ぶりっ子の夢は玉の輿

猫目 しの

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異世界の日々

いざ、妖精の国③

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【リルディア、心配せずとも大丈夫だよ。 ロードンロは人間嫌いではあるけども僕らの巫女に危害は加えないよ】

【巫女じゃない人間だったらどうなっていたかわからないけどな! 疑い深いサイスシアと次期妖精王様のミィフォレントが選んだ巫女なら問題ないさ】



……この緑の妖精が危ないことを言ってるのはどうでもいいわ、サイスが疑い深いのも何となくわかるしそっちは気にしなくていい。
それよりもミィが次期妖精王? こんな抜けてる子が次期妖精王になっても妖精たちは納得出来るのかしら?



【ろーくんっ、まだリルディアにはなしてないの!】

【まあ、リルディアは教えても僕たちに対する対応は変わらないと思うんだけどね。 ミィフォレントは他のことは気にしないのにリトとリルディアのことだけは気にするんだから】

【だってぇー……】



別にそんな私には関係ないどうでもいいこと話されてもどんな反応して貰いたいのよ。
ミィが次期妖精王だなんて知らなかったけどもしミィが妖精王になっても私には得がないんだし、妖精王になろうがならないがどうでもいいわ。



「そんなの私にはどうでもいいんだからさっさと私を上に行かせなさいよ。 私の時間を使わせてあげてるんだから無駄なことは止めて欲しいわ」

【えへへ、ごめんねー! ろーくん、おねがい!】

【オッケー! 俺に任せてろ!】



私の言葉にどこか嬉しそうにしているミィが緑の妖精に声を掛けると、緑の妖精はにかっと笑い両手を上にあげると私の体がふわりと浮いた。
見えないのに何かに持ち上げられてるような感じが少し不安に思っちゃうけど……ミィが私を殺すわけないわよね。

ミィは私のことが大好きなんだから私が殺されそうになったら助けるでしょ。



【リルディア、人間は空を飛べないのに飛んでるのは怖くないのかい?】

「別に人間だって飛べる人は居るし、例えこの緑の妖精が私を落としたとしてもミィが何とかするでしょ? だったら怖がるなんて無駄よ、それにそんな弱みを見せるわけないじゃない」



サイスの言葉にただ返しただけなのにサイスはきょとんとしてるんじゃないわよ、アンタが自分で聞いて来たのにそんな顔するなんて意味わかんないし。
ミィはただにこにこと笑ってるだけだし、緑の妖精も何かに納得するように笑ってる。



【リルディアって素直じゃないのに素直だよね】

「は? 意味わかんないから」

【ううん、気づいてないならいいんだ。 やっぱりリルディアを巫女に選んでよかったと思っただけだよ】



三人が三人で笑ってるだけで私には意味が分からないからつまらないんだけど、私を仲間はずれにするなんて最悪ね……まあ、もういいわ。
どんどん上に上がって行くと景色が良くなってくる、森の中に居た時は木しか見えなかったけど上空に上がると少し離れたとこに湖や川があるのが見えた。



「ここまで上がってくると景色も綺麗ね」

【うん、リトも妖精王様のとこから見るのお気に入りだったね。 バンジージャンプとか言って頂上から飛び降りるのだけは理解出来なかったけど】

【最初にやった時はウィーダが泣いていたよな、リトが自殺したって凄い騒ぎだったし】

【ウィーダはリトを愛してたみたいだしね。 今もトルトリア火山に引き籠ってるんじゃないの?】



また新しい妖精の名前が出て来たけども……まさか、私がその妖精に会いに行かされることはないわよね?
トルトリア火山って確かアストロス帝国にある大きな火山だったような気がするんだけど……火竜が住んでるから近付くのは頭の悪い冒険者や馬鹿な貴族だけって聞いたわ。

そんな火山に引き籠ってるって妖精って実は引き籠りが多いんじゃない?
ミィもリトって人が死んでからずっとあの洞窟に居たって話だったし、妖精自体も基本的にはこの国から出ないみたいだし、DNA的に引き籠りの血が入ってそうね。



【でも、ウィーダはリルディアを好きになると思うんだよね。 ただの勘だけど意外とウィーダって人の世話が好きだしね】

【うーたんはリルディアをすきになるよ!】

【あー、わかる気がするな】



いや、だから私はその妖精に会うつもりはないんだからどんな性格だったとしても関係ないんだけど。
学園からアストロス帝国のトルトリア火山まで数ヵ月は掛かる距離にあるし、今はまだ戦争してないけども王国と帝国は仲が悪いんだから行くことはないわ。

風帝なら妖精の為にならすぐに飛んで行きそうな気はするけども……見えなかったら意味がないものね。



【リルディアはあまり会いたくないって思ってるだろうね】

「”あまり”じゃなくて会いたくないのよ。 会う必要性が見られないし、しかも気に入られたらまた私の体に痣がつけられるんでしょ? これのせいで水着も着れない、オシャレも制限されるし」



今でさえ手の甲と胸元にあるんだから、妖精がどれほど居るのかわからないけどもそんなに気に入られても私に得がないじゃない。
不便なことを押し付けられるだけなら祝福なんていらないわ。



【そこは妖精王様にお願いするから大丈夫だよ】

【じゃあ、俺からもお願いしてやるさ!】

【ミィも!】



……別に妖精王にお願いしなくても祝福はいらないだけだからやろうとしなければいい話じゃないの?
言っても聞いてくれないならいいけどさ……。



 
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