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不運を呼ぶ男
①
しおりを挟むこの間は砂漠に居たので今日は海が見えるキュアイドに来てみた、ここでは海鮮が有名のようなので私は透明になり、リントの隣には私が人間に見えるように作った人形を歩かせている。
久し振りに街に寄るのでリントは物珍しそうにキョロキョロと辺りを見回していた。
「人がたくさん居ますね!」
「そうだな、ここは中々栄えているようだ」
宿もすでに取っているので今日はのんびりとリントの為に街観光だ。
あの村しか知らないリントは他の街のことも常識も知らないので色々と教えがいはある。
「アヴニールさん、あのお店から美味しそうな匂いがします!」
「魚介類を焼いているようだな。 食べてみるか?」
「はい!」
私には必要ないと思っていたがリントには必要なのでギルドに登録して身分証を作った。
ギルドの登録が出来るのは10歳からだったので丁度リントが登録出来てよかった、因みに売るだけならばギルドで売らなくても問題はないが、今回はリントの身分証を作る為だからな。
因みに私もこの人形でギルドを登録した、必要はないと思うが今後必要になった時の為にな。
今まで出会った人間は街の外で会ったのがほとんどだからな、神様からの使命を隠すことはないが人間に紛れる為に人形を使うのはありだろう。
生き物を作ることは私には許されないので人形を使っているが、簡単に人間に見破られるつもりはない。
リントを送り届けたらほとんど使うことはないかもしれないが。
屋台でエビのような串焼きを買うとリントに渡した。
「わー、これ美味しいです」
「よかったな」
もぐもぐと殻ごと食べてるリントは目をキラキラさせ頬を上気させ私を……人形の方を見る。
街に入る前にリントには人形の方を私だと思うように言っているので当然だが、子供が何もいない空間を見上げていたらおかしく思われるからな。
リントの様子に微笑ましさを感じながらも不意にガシャンっと何かが崩れ落ちたような大きな音が聞こえてきた。
「あーあ、またか」
”また”ということはあの大きな音の正体を知っているのだろうか、大きなため息をついている。
リントも大きな音にビックリして串焼きを落としそうになっていたが、それは私が風魔法で浮かして落とさないようにした。
「あの音は何だ?」
「ああ、お客さんはここに始めて来た冒険者だから知らねえのか。 この街には神様に嫌われた男が住んでるんだよ」
「神様に?」
ふむ、神様に嫌われた男か……神様からそんな人間が居るなんて話は聞いてなかったがそんな人間が居るのか。
店主はやれやれといったように首を振って私に説明をしてくれる。
「マイケルって男なんだがよ、小さい頃から不運でよく転ぶ、物を持てば壊す、よくない冒険者にはカツアゲされる……たまに自業自得って時もあるがマイケルに幸せな時なんて一回もねえ」
「両親は?」
「……マイケルが5歳くらいの時に海でな。 地元のモンはマイケルが気の毒で仕事は振るんだが悉く失敗で、ついたあだ名が神様に嫌われた男だ」
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