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孤児院に住む元令嬢

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孤児院に近付いて行くと子供たちの楽しげな笑い声が聞こえてくる、丘の上にぽつんとある孤児院だったので少し心配ではあったが杞憂だったようだな。
近くで見ると建物が古い感じがし、所々に素人がやったであろう修理の跡がある。

言い方は悪いが台風などが来たら建物が壊れそうな感じがするな……。



「誰か居るだろうか?」

「……魔物が喋った!?」

「魔物ではない、地蔵のアヴニールだ」



入口の近くに居た子供に声をかけると子供はびっくりしたような声を上げているが私は魔物ではない。
この世界の者は地蔵を見るのが初めてなので私を見たら魔物であるゴーレムと勘違いしてしまう所があるので仕方ないとわかっていても訂正はする。

子供たちは私にびっくりしたままも慌てた様子で孤児院の中に入って行ってしまった。
……うーむ、やはりいきなり話し掛けたのは悪かったのか……しかし、今回はいきなり現れたわけではなくちゃんと入口から声をかけたのだがな。

村や街に入る場合は人型に変化した方がいいのだろうか……。



「アヴニールさん、僕はアヴニールさんが良い人なのは知ってますから落ち込まないで下さい」

「落ち込んでるわけではない」

「そうですか?」



人に怖がられて落ち込むほど私は精神的に弱くなないぞ、……ただまたビビらないように人型に変化しようかどうするか悩んでいただけだ。
だが、ここまで怖がられると孤児院に入ることは出来ないかもしれないな、折角リントを同世代の子と遊ばせるチャンスだったのだが仕方ない。



「仕方ない、リント。 孤児院はまたにしよう」

「はい、僕はいいですよ」



この世界には孤児院も多いのでここでなくとも問題はない。
……まあ、地蔵である私を平然と向かい入れるとこではないと不可能の可能性もあるが。



「リント、私の後ろに下がれ」



もう行こうとした時に私の耳に聞こえて来たのは攻撃の呪文、孤児院の方から魔力の波動を感じたのでリントを後ろに庇い念の為に光の膜を張っておく。
火の魔法が私に当たり爆発したが、私もリントも無傷である。



「ゴーレムって聞いたけどもそんなに強くなさそうね。 ここに押し掛けて来るなんてこの私が許さないわ」



攻撃をしてきたのは金髪の縦ロールの少女、推定年齢は高校生くらいだな……孤児院でこんなに見事な縦ロールの人物が居るとは思わなかった。
孤児院も居るのは成人前の子供のみでこの少女のような成人であろう子が居るとは思えないのだが……もしかして、まだ未成年か?

この世界では16歳になれば成人と見なされる、このくらいの少女であるならば成人だと思っていたのだがな。



「私は地蔵でありゴーレムではない」

「うるさい! 魔物の言葉に耳なんて貸さないわ!」



どうならかなりヒートアップしているようだな、魔物がそんなに憎いのか、それともこの孤児院が余程大切なのだろうか。
だが、こちらとしてもリントが居るので攻撃はしてほしくないのだが……仕方ない、まずは話をする為に止めるか。



 
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