41 / 81
嘘つき少年の願い
➉
しおりを挟む子供たちについて村の入口に行くと森の方には既に老婆に変装した盗賊が居た。
入口に立ってる門番は老婆の姿だからか気にしていないようで欠伸をしている、子供たちはそんな老婆の姿を見て駆け寄って行った。
周りを見てみると他の盗賊も隠れているようで、何かあった時に対処出来るように全員ではないが数人は来てるようだ。
「魔女のおばあちゃん、ちゃんと見つけておいたわよ!」
「おやおや、それはよかったよ。 さあ、呪いが広がる前にあたしゃに渡すんだよ」
目的の物がもうすぐ手に入るからか、演技に少し素が出て来ているのかにやりと笑い子供たちの方に手を差し出した。
子供たちはそんな盗賊にも気にせず昨日リントの家から持って行った水晶を盗賊に渡す。
「はい、これだよな」
「昨日ちゃんと盗ってたのよ」
水晶を渡せたことで満足げにしている子供たちだけどもただの水晶を受け取った盗賊の表情は険しい、水晶を手の平で転がしながら見ていたが目的の物ではないとわかったのか水晶を地面に叩きつける。
いきなり目の前で叩きつけられ割られた水晶に子供たちは呆然とした様子で割れた水晶を見た、門番も何やら雰囲気が変わったのがわかったのか近付いてきた。
「どうかしたのか?」
「おじさん、魔女のばあちゃんが……」
「魔女? 彼女なら今は遠くに行ってるが……この婆さんは誰なんだ?」
やはり村人は本当の魔女を知っているのか子供たちの言葉に不思議そうにしている。
しかし、その疑問に子供たちが答えようとする前に老婆に変装してた盗賊が近くに居た子供を蹴ろうとしたので子供の周りに光の膜を張る。
ガンッと何かを蹴るような音が聞こえたけども盗賊の蹴りは私が張った光の膜によって止められる、子供を蹴ろうとした盗賊は驚いたように目を見開き、門番の村人も驚いていたようだが盗賊よりも先にハッとしすぐに持っていた笛を鳴らした。
その音に村の中からざわざわとした騒々しさが聞えて来たけど、その騒々しさに盗賊も我に戻ったようだ。
「やはりガキを使おうとしたのが間違いだったようだな。 村人を殺して手に入れた方が早いぜ」
黒い霧に包まれて現れた盗賊の姿に門番は子供たちを守るように背に庇う。
子供たちも老婆の姿から盗賊の男になったことに怯えているのか門番の後ろに隠れている、そして村の中からは農具を持った他の村人が出てきた。
盗賊が無言で手を挙げると隠れていた盗賊もぞろぞろと出て来る、門番は子供たちを背に庇いながらもゆっくりと後ろに下がる。
「盗賊か!?」
「ああ、怪我をしたくなければウルドラ王国の王女が持っていた宝を寄越しな」
「ウルドラ王国? そんな物がこんな村にあるわけないだろう!」
「ウルドラ王国の元王女が騎士とこの村に駆け落ちしたのは知ってるんだぜ? もう死んだみたいだが、残されたガキが持ってるんだろ」
盗賊の言葉に村人がざわざわしてる、元王女だと知らなかったとしても誰のことなのかはわかったのか目を見合わせてる。
そんな村人ににやにやと盗賊は笑って居た。
--------------------------------------------------
【続きが気になる】【更新待ってます】【頑張れ!】
と思う方は感想やお気に入りをお願いします!
モチベーションが上がり著者が喜び更新を頑張れます!
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
そっと推しを見守りたい
藤森フクロウ
ファンタジー
綾瀬寧々子は気が付いたら、大好きな乙女ゲームの世界だった。
見習い神使として転生していた新生オタク『アヤネコ』爆誕である。
そしてそこには不遇ながらも必死に生きる推しこと『エルストン・ジル・ダルシア』がいた。
母を亡くし失意の底に居ながらも、双子の弟妹の為に必死に耐える推し。
今ここに、行き過ぎた愛が圧倒的な行動力を伴って推しを救う―――かもしれない。
転生したヤベー人外と、それにストーカーされている推しのハートフル(?)ストーリーです。
悪気はないが大惨事を引き起こす無駄にパワフルで行動派のお馬鹿さんと、そんなお馬鹿さんに見守られているのを知らずに過ごす推し。
恋愛要素薄目、ほぼコメディです。
これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅
聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる