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嘘つき少年の願い

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子供たちについて村の入口に行くと森の方には既に老婆に変装した盗賊が居た。
入口に立ってる門番は老婆の姿だからか気にしていないようで欠伸をしている、子供たちはそんな老婆の姿を見て駆け寄って行った。

周りを見てみると他の盗賊も隠れているようで、何かあった時に対処出来るように全員ではないが数人は来てるようだ。



「魔女のおばあちゃん、ちゃんと見つけておいたわよ!」

「おやおや、それはよかったよ。 さあ、呪いが広がる前にあたしゃに渡すんだよ」



目的の物がもうすぐ手に入るからか、演技に少し素が出て来ているのかにやりと笑い子供たちの方に手を差し出した。
子供たちはそんな盗賊にも気にせず昨日リントの家から持って行った水晶を盗賊に渡す。



「はい、これだよな」

「昨日ちゃんと盗ってたのよ」



水晶を渡せたことで満足げにしている子供たちだけどもただの水晶を受け取った盗賊の表情は険しい、水晶を手の平で転がしながら見ていたが目的の物ではないとわかったのか水晶を地面に叩きつける。
いきなり目の前で叩きつけられ割られた水晶に子供たちは呆然とした様子で割れた水晶を見た、門番も何やら雰囲気が変わったのがわかったのか近付いてきた。



「どうかしたのか?」

「おじさん、魔女のばあちゃんが……」

「魔女? 彼女なら今は遠くに行ってるが……この婆さんは誰なんだ?」



やはり村人は本当の魔女を知っているのか子供たちの言葉に不思議そうにしている。
しかし、その疑問に子供たちが答えようとする前に老婆に変装してた盗賊が近くに居た子供を蹴ろうとしたので子供の周りに光の膜を張る。

ガンッと何かを蹴るような音が聞こえたけども盗賊の蹴りは私が張った光の膜によって止められる、子供を蹴ろうとした盗賊は驚いたように目を見開き、門番の村人も驚いていたようだが盗賊よりも先にハッとしすぐに持っていた笛を鳴らした。

その音に村の中からざわざわとした騒々しさが聞えて来たけど、その騒々しさに盗賊も我に戻ったようだ。



「やはりガキを使おうとしたのが間違いだったようだな。 村人を殺して手に入れた方が早いぜ」



黒い霧に包まれて現れた盗賊の姿に門番は子供たちを守るように背に庇う。
子供たちも老婆の姿から盗賊の男になったことに怯えているのか門番の後ろに隠れている、そして村の中からは農具を持った他の村人が出てきた。

盗賊が無言で手を挙げると隠れていた盗賊もぞろぞろと出て来る、門番は子供たちを背に庇いながらもゆっくりと後ろに下がる。



「盗賊か!?」

「ああ、怪我をしたくなければウルドラ王国の王女が持っていた宝を寄越しな」

「ウルドラ王国? そんな物がこんな村にあるわけないだろう!」

「ウルドラ王国の元王女が騎士とこの村に駆け落ちしたのは知ってるんだぜ? もう死んだみたいだが、残されたガキが持ってるんだろ」



盗賊の言葉に村人がざわざわしてる、元王女だと知らなかったとしても誰のことなのかはわかったのか目を見合わせてる。
そんな村人ににやにやと盗賊は笑って居た。



 
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