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旅する画家の青年

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「ならばそのアズールと言う村まで同行しよう」



私に何も出来ることはないがそのままジョイドを放置することも出来ない、もしかしたら一緒に旅をしている中で何かがあるかもしれないしな。
ジョイドはいきなりの私の提案にきょとんとしたような表情を浮かべたがケラケラと笑っている。



「最後の旅の友が幽霊かー! まっ、アヴニールは普通の幽霊っぽくないし……旅は道連れってことでよろしくな」

「ああ、よろしく頼む」

「よーし、それなら旅の友も出来たし移動するか」



ジョイドは寝転んでいたが起き上がると荷物を持った。
私が持っておいてもいいのだが大事な荷物を預けるほどの信用はされていないだろうし、旅をしているのに荷物を持っていなければ村の人間に怪しまれてしまうかもしれないからな。

ジョイドが歩き出したので私も浮いてジョイドについて行く。



「アズールとはここから遠いのか?」

「あー、一晩野宿することにはなるが朝には着くと思うぜ」

「戦う力がないと言ってたが大丈夫なのか?」

「それなら大丈夫だって! ほら、これ」



自信満々なジョイドが取り出したのは何やら香水のようなもの、地蔵鑑定をしてみると品質は良な魔物の嫌いな臭いの香水のようだな。
ふむふむ、これを野宿する場所の周りに吹き付けていればその臭いが嫌いな魔物は寄って来ないらしい、大抵の魔物には効くようだが極度に飢えてる魔物やこの臭いが嫌いではない魔物にはあまり効果が無いそうだ。



「魔物避けか」

「そうそう、旅するってなったら危ないからな。 俺みたいに戦う能力がない奴や商人なんかはこれを買っとくんだよ」



効かない魔物もいるようだが……それについて特にジョイドが言ってないと言うことはジョイドもそのことを知らない可能性もあるな、知り合った良い人間が死ぬことは悲しいことなのでこの香水には後で少し細工をしておこう。
今何かをすれば怪しいのでジョイドが寝てからにしよう。



「それならばまだ安心だな。 まあ、私は睡眠の必要もないので夜の間に何かあればすぐに起こしてやろう」

「おっ、それはいいな。 幽霊って触れないって聞くけどもそれは本当なのか?」

「幽霊によっては違うな、力のある人間は物事に干渉することが出来る。 この世に執着してたり、恨みを持って死んだ者だな」



フェアリードに来てから何度も幽霊を見かけてはいるが中には悪霊になった者もいるからな、悪霊は物理で除霊をしてただ還れない幽霊はお経で天に還している。
これは奇跡とはまた別のことではあるが悪霊が蔓延ってしまうと生きている人間に被害がある時もあるからな。

善良な幽霊も還れないまま居ると段々と悪霊になってしまう時もある、人を傷つけてしまう前に還してあげるのが一番である。


 
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