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第六章 【二つの世界】

6-461 決戦33

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最初の質問から、ほんの僅かだが時間が経過している。簡単に答えるならば、”はい・いいえ”のいずれかで返答できる内容だったはず。それでも、盾の創造者はその質問に対し、言葉も表情も何一つ反応を示してはいなった。
すぐには返答が得られなったハルナは、質問の内容が正しく伝わっていなかったのだと判断して、もう一度ハルナから先ほどの質問の答えを要求してみた。


「……どうなんですか?盾の創造者さん」

しかし、返ってきた言葉は、ハルナの予想していない内容だった。

『あなたの質問に答えることで……そうね。正直にこたえたとして、この私の状況がどうにかなるのかしら?そうであるなら、例え”嘘”でもあなた……ハルナが望むように答えて差し上げますけど?』

「……!」

ハルナ自身は、そんな答えを望んではいなかった。それでも、返ってきた言葉には理解できるところもある。
自分の中で、どのように話を進めるべきか迷っている間に、その横からサヤの声が聞こえてくる。


「……もういいって。コイツは変わらないし、説得しても無駄なんだってば。もしも、だよ。アンタが同じ状況なら、なんて答えるのさ?……多分あんたなら、”改心する”っていう風に答えそうだけど……一体どれだけの人がその言葉を信じられると思ってんの?」

「……あ」

ハルナはサヤの言葉に、全てを理解できていないが飲み込める部分も多かった。
その反動で、自分が投げかけた質問がいかに考えが足りていないものだったのかということに気付き、ハルナの耳は赤く染まっていった。


『ハルナ……あなたみたいな人間が、よくここまで生き残れたわね』


盾の創造者からの言葉に、ハルナは先ほどまでの自分の考えが足りなかった恥ずかしさの感情が途切れる。


『この世界は、食う者と食われる者の二つの立場しかないわ。わかってる……今まであなたと一緒にいたんですもの、貴女の考えもわかっているわ。確かに、それだけじゃないって言いたいんでしょ?でもね、それは強い者からの恩恵でしかないのよ。強い者が、弱き者を生かしているだけに過ぎないのよ』


サヤもその盾の創造者の告げる言葉に、黒い意思を握ったままで腕を組んで聞いていた。
黙ったままというのは、盾の創造者の意見に反論はないということだろう。


『……だから、いまの私も同じ状況なのよ。あなた達が強かった……私が弱かった。だからこの結果になっているの。当然、それまでの行動も今の私を判断するための材料であることは、先ほどサヤが言った通りよ』


「……」


「だから、別に私はあなたに助けてもらおうとは思っていないわ。みっともない言い訳もしたりしないし、生死の選択をあなた達に任せるだけよ。まぁ、その先についてはどのようになるかは……あなた達の創造にお任せするわ」


そう告げると、盾の創造使者は自分の身体を貫いている剣を人差し指でなぞって楽しそうな笑みを浮かべて口を開く。




『さぁ……他に何か聞きたいことは無いの?』

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