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第六章 【二つの世界】

6-446 決戦18

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『……これであなたもお終いね』


盾の創造者に背中を踏みつけられ、サヤは身体を起こすことができない。
辛うじて頭が動かせるが、四肢にはまた顔を歪ませた小さな人型たちが肘や膝に張り付いてその自由を奪っている。


サヤの身体にはいくつかの爆発を受けた跡と、盾の創造者が持つ資源のエネルギーが圧縮された塊がぶつけられた痣が残っていた。
小さな人型の数も、初めに創り出した数の半数まで減っている。

残りは、ハルナのために使いたいと考え、弱っていたサヤに対しては別な手段で残りの体力を削っていった。




『……ハルナともお別れができないけど、あなたはそれほど邪魔だったのよ。だけど、これでようやく目的を果たすことができるわ』




「……くっ。アイツを……甘く見すぎ……だよ、アンタは」


『甘い?……そうかしら?だって、あなたほど物事の本質を見抜く能力も知識もなさそうだし、ただ元素の量が多いっていうだけじゃない?私はね、ずっと一緒にいたからあなた以上にハルナのことを判っているのよ?』

「……っ。そうか……なら、そう思ってればいいよ、ほら……来たよ」



『……?』


サヤの言葉と同時に、真っすぐな光が盾の創造者に向かって伸びてくる。


――パン!!


光の速さの攻撃に対して、盾の創造者は手をかざして襲撃を防ぐ。
しかし、その結果は貫通によって手に穴が開き、突き抜けた光は地面に当たった。
不思議なことに、盾の創造者の手を貫通する威力ではあったが、地面には何もその形跡が残っていなかった。

痛みは感じていない様子だが、盾の僧創造者は反対の手で損傷した手を庇いながら光が飛んできた方向の空を睨む。

その方角には、夕日を背にした小さな黒い点が羽を羽ばたかせながらこちらに向かってくる。距離が近くなると、点のような存在もシルエットがはっきりと判るようになってきた。

そこには弱体化させたと思っていた、モイスの背中に乗ったハルナがこちらに向かってくるのが見えた。


『……どうして?』


その姿を見た盾の創造者は、あれほど被害を与えたモイスとハルナがこんなに短時間の間に回復しているのかが気になっていた。本当に回復したのかも疑うところではあるが、本当に回復をしていた場合にはひと手間もふた手間もかかってしまうだろう。それでも、見下した態度で迎えるのは、先ほどのサヤで厄介なことになってしまうことは学習した。


「……ぐっ!?」


ハルナたちが接近する警戒心のためか、サヤを踏みつけている盾の創造者の足にはより一層の力が込められた。踏みつけられたサヤも息苦しさは感じているが、ハルナが来たことにより状況がどのように変化を見せるのかという思いと、盾の創造者の心の動きが生じたことに対する同様に思わず口元に笑みが浮かんだ。


そしてはっきりとその姿が捉えられる距離まで来ると、モイスは羽ばたかせていた羽を広げたまま固定し、風に乗るように硬度を下げていく。


――ズン


ハルナを乗せた大きな体のモイスが、中庭に足を付けて広げていた羽を折りたたむ。下におりやすくなったハルナは、モイスの背中から飛び降りて両足で着し盾の創造者へ振り向く。


「その足……今すぐサヤちゃんから離しなさい!」







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