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第六章 【二つの世界】

6-443 決戦15

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『いい加減にしていただけないかしらね?私もいつまでもあなたの相手をしていられないのよ?』




「そりゃこっちのセリフだよ、アンタこそいい加減に諦めて消えて欲しんだけどね?」



『ほんと、口だけは威勢がいいのよね……まだ、自分が置かれている状況がわかっていないのかしらね?』




そう言うと、盾の創造者は小さな人型の存在の配置を変えていく。サヤとの距離を詰めていく部隊と、盾の創造者への周囲へと集まっていく部隊に。
その状況を見てサヤは、チャンスだと判断し多数の瘴気の塊を浮かび上がらせ盾の創造者への人型へと放った。
サヤの放つ砲弾が目標物に当たり、盾の創造者の近い場所で爆発していく。


(……悪い……本当に……ゴメン)


サヤは、自分の放った攻撃によって爆発していく小さな人型に対し心の中で詫びた。



その爆発の衝撃を避けるように、盾の創造者は後方に飛び去り爆発によるダメージを免れた。



「この――クソがっ!?」



サヤは、思わず今の気持ちを短い言葉で表した。
その裏には、犠牲にしてしまった小さな人型の存在へに対しての懺悔の意味も含まれていた。
その存在の創造者に対して、このような形で生み出した報いを与えられなかったことに……



そして感情を抑えながら状況を確認すると、小さな人型の存在はまだ三分の二程度は残っている。
ハルナに関しては自分に対して警戒してくれたおかげで、その周囲には人型の存在はなく今のところは警戒度は低くなった。


しかし、盾の創造者はサヤの視線を追っていたのか、気を失っている危険性のないハルナの存在が意識の中に再浮上した。




『あなたは、面倒だし……先にこちらを”片付け”た方がよさそうね』



「させないよ!」


サヤが背後に浮かべていた瘴気の弾を発射するよりも早く、一番近くにいた小さな人型を掴みハルナの方へ投げつけた。
その人型を爆発させてしまえば、気を失っているハルナのダメージは相当なものだと判断した。
そのためサヤは、投げつけた人型がハルナに当たったときに爆発しないことだけを祈った。



――ド


投げられた小さな人型は、ハルナの近くで地面にぶつかった。だが、爆発することは無く、小さな人型は体勢を立て直しハルナの首へと移動していった。

サヤもその様子を見て一旦は安心をしたが、その後に自分が拘束された時と同じように……いやその二倍ほどの数の人型がハルナの身体に張り付いた。


『あなたの時で失敗しましたからね……今度は確実に、仕留めさせていただきますね?』



「や――やめろ!ハルナに手を出すな!!」


サヤはその方法は”卑怯”だと指摘をしようとしたが、自分自身もその立場なら迷わず選択していた行動だったし、過去にもそれによって自分に勝利を引き寄せたことが何度もある。自分だけが許されるはずはないことも、十分に承知している。
しかし、ハルナを救おうにも転移させるためには距離が離れすぎているため、もう少し近付かなければ助けることができない。

何かできることは無いかと、サヤは諦めずに考えを巡らせていた。

その時、サヤの視界の端から青い光の線が通り抜けていった。





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