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第六章 【二つの世界】
6-424 失敗
しおりを挟む『……え?』
盾の創造者は、素の感情をそのまま口にしてしまっていた。
自分の行動をことごとく阻害する目の前の厄介な二人を置いていったん距離を置こうとした。
その行動は今まで通り何の問題もなく――いや、問題があるとするならば、自身の中になる資源を極端に減少させてしまうのだが――この状況を抜け出すためには必要な行動を今までと同じに選択、実行したはずだった。
だが、その結果は盾の創造者が体験したことのないものだった。そしてその原因が、第三者の者であることにすぐに気付いた。
『……これは……サヤ……アナタの仕業なのね?』
その反応を見せたことにより、サヤの口元には笑みが浮かんでいた。サヤに問いかけた盾の創造者の声は、自分の行動の邪魔への怒りか、自分の知らない能力を持つ未知への驚愕かははわからない……だが、サヤが仕掛けていたトラップは成功をしていた。
「あぁ、そうだね。アンタにウロチョロされても困るからさ?この世界だけに縛らせてもらったよ?」
『この世界に……縛る?どうしてあなたごとき人間が……そんなこと……』
「たったさっき話してたことを、もう忘れるくらいボケてんの?言っただろ?アイツに貰った権限だって」
『だ、だけど!あの存在にそんな能力はなかったはずよ!?持っていたなら、今までどうして使わなかったのよ!?……もしかして、私に……見せないため?……いいえ、違う……ま、まさか!?』
「そうだよ……さっきその”能力”を見付けたんだよ。アンタもアタシも、この世界に存在しているんだ。そして、アンタだけが特別じゃなく、”最上位の存在”じゃなかったってことだよ」
『――そ、そんなこと……あり得るわけが!?』
「なら、もう一回試してみたらどうなのさ?失敗したから、アンタの資源もそんなに減ってないはずだろ?もう一回試してみたらいいじゃない……ほら」
『……』
「どう?できないだろ?……ちなみにアタシたちはできるから、今まで通りに。まぁ、アンタをここに縛り付けられたなら、今のところそれをやる意味もないけどね?」
『……ねぇ』
「あ?」
盾の創造者が見せるその表情は今までのものと異なっている。
そのことにサヤは、驚き何の変化があったのかと警戒をする。ハルナもその気配を感じ、盾の創造者の行動に対して対応できるようにと身構えた。
しかし、その警戒も次の盾の創造者からの言葉に解けていく。
『ねぇ……それ、どうやったの?何をしたら、”そんなこと”ができるの!?』
「はぁっ!?」
サヤは、その言葉の中身に警戒や何かの意図を含んだものを感じなった。まさにそれは、相手が自分の知らないことを知っていて、どうしてもそれを教えて欲しいと願うだけの感情だった。
その純粋な感情を感じ取り、サヤはその願いを聞き入れることにした。
「……ん?あぁ、いいよ」
『えぇ!!ほ……本当に!?』
盾の創造者は、そんな重要なことを絶対に教えてもらえないだろうと思っていた。だが、サヤの答えはあっさりしたもので、自分の願いを聞き入れてくれるといったことに驚いた。
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