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第六章 【二つの世界】
6-417 爆発
しおりを挟む『そろそろ……いいかしらね?』
少し距離は離れてはいるが、この場に残った見覚えのある三人に盾の創造者は声をかける。
その答えは帰ってくることはないと知っていながらも声をかけたのは、相手が何もできることはないと知っている余裕から出てきたものだった。
特にこの三人は、王選を共にしたハルナに最も近い存在。この者たちがこの世界から消えてしまったことに対して、ハルナがどのような反応を見せるのかと思うと、盾の創造者は楽しみで仕方が無かった。
『それじゃあ……ね?』
盾の創造者は、頭上に掲げた禍々しい球体を真上に放り投げた。
「……」
宙に浮かんでいた球体が、地面へと落下していく。
その状況は、ステイビルたちにとってスローモーションで流れていった。
「……ハルナ」
ステイビルは最後にそう告げて、目を閉じて最も気になる存在の名を呼んだ。
――バシャ
あれだけの質量の瘴気が、地面に落ちて割れた音が響く。
もっと重い音がするのかと思ったが、案外軽い音で予測が外れた。
その液体のようなものが、自分に触れた時にどうなるかとも思っていたが特に何も感じることはなかった。
(これが死……無になるということか……案外あっけないものだったな)
ステイビルは痛みなどを警戒し、目を固く閉じて備えていた。
だが、その備えが無意味に終わったと感じてしまうと、あっさりと今の状況を受け入れてしまった。
しかし音は聞こえ、肌には風が触れる感覚がある。ステイビルは、恐る恐る閉じていた目を開いた。
「……?」
ハルナの姿をした、盾の創造者はお腹を両腕で抱えて何かを堪えているようにも見えた。
「……ステイビル様……あれはいったい?」
後ろからステイビルに声を掛けたエレーナも、自分たちの身が助かった理由と何が起きているのかを把握できないでいた。
「わからぬ……私は目を閉じていて開いたら、あのようになっていた……」
盾の創造者は、お腹を痛めて苦しんでいるようにも見える。
ステイビルたちは、油断しない様に万が一のことに注意しながらこの状況を見守った。
『……うぐぐっぅ!……な、なんなのよ……これ!?』
盾の創造者は、初めて感じる感覚に戸惑っている。
それは、”痛み”という感覚で生き物たちにとっては不快な感覚だった。盾の創造者はこれまでに内側から生じる痛みを感じたことはなかった。サヤの拳によって、ハルナを逃がしてしまったあの時の感覚とは全く別な強烈な痛みに、盾の創造者は身動きとることができなかった。
『が……ああぁあああああっっ!!』
大声で叫ぶと同時に、何かが破裂する音が聞こえてきた。
「……ふぅ。無事に成功したみたいだね」
「ここは……お城?」
叫び声が途切れると、ステイビルと盾の創造者の間に三つの人影が浮かび上がる。
一人は落ち着いた様子で、もう一人はキョロキョロと周囲を伺っていた。
『サヤ様……後ろを!?』
サヤはラファエルに言われたとおりに後ろを振り返ると、そこには上半身が半分に吹き飛んだハルナの姿があった。
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