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第六章 【二つの世界】
6-383 援助
しおりを挟む三台の馬車が門をくぐり、町の外へ出ていった。
向かう先、"始まりの場所"へと。
ローディアとヴァスティーユたちは、あの後にお互いのことを語り合った。
すると、二人は同じ年齢ということもあって意気投合した。
それはまるで、今までもずっと友人であったかのような反応だった。
ローディアとヴァスティーユの二人の仲を目にし、他の二人もヴァスティーユとその妹であるヴェスティーユに気を許すようになっていた。
馬車の中は、これから起こる緊張感を和らげるためか、楽しそうな声で満たされていた。
そして馬車は、目的地までもうすぐのところで停止した。
ヴェスティーユたちが乗っていた馬車の中で響いていた声も、馬車が速度を減速し始めるとその場の空気が一瞬にして変わった。
初めに先頭を走っていた馬車の扉が開き、施設の教員が下りていく。
そして二手に分かれ、二番目に走っていたローディアたちとアーテリアとサヤが乗っていた馬車の扉を開いていく。
森の中にある広場に集まり、ここにいる者が全員無事であることを確認する。
そして、教官の一人が後ろを振り向き森の中へと続く小道を指し、その奥へと歩いて進んでいくと目的の場所があることを告げた。
一同は二つの列を成して、ゆっくりと森の奥へと歩き始めた。
しばらくして、視界の先に不思議な空間が見えた。
様々な木々が生い茂る中、その場所だけは解放された空間が用意されていた。
足元は芝生のような草が絨毯のように広がり、その上には程よく木々の枝が重なり充分な明るさが確保されていた。
そこはまるで、誰かが入ってくることを待っているかのような空間が存在していた。
列を先導する教員が歩みを止めて、後ろに続く者たちを振り返る。
「皆さん、あそこが”始まりの場所”です」
その言葉に、ヴァスティーユ達は教員の背後にある景色に視線を移した。
ここで今まで費やしてきた時間……そしてこれからの人生が決まってしまうことになる。そう思うとローディアたちの心臓は、一段と速く波を打っていく。
一同は再び足を運び、さらにその場所へと近づいていく。
「……では、これからあなた達にあの場所へと移動して頂きます。準備はいいですね?」
ローディアたちは、教員の言葉に頷いて反応する。
その返事を受け取った教員は、左右に分かれローディアたちへその先へと進むように促した。
だが、進もうとしても足が言うことをきかない。ローディアは、自分の足が何かを拒否したように動かなくなってしまっていた。
――ポン
そんな自分の背中をやさしく触る感触があり、自分の横をヴァスティーユが通り抜けていく。
ヴァスティーユに続いて、ヴェスティーユも進んでいき、二人は説明の合った通りに円形の広場の中に事分になるように中心部から少し離れたところに腰を下ろした。
「……よし」
ローディアは、ヴァスティーユの手が触れた背中の場所に温かさを感じながら、二人の後を追って進んでいった。
残りの二人も同じように進んでいき、五人は始まりの場所に座りその時を待った。
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