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第六章 【二つの世界】
6-351 サヤとハルナと3
しおりを挟むサヤの言葉に、盾の創造者の表情は固まってしまっていた。
その表情が、サヤが推測していた内容が正しかったことを証明していた。
更に盾の創造者からの言葉によって、推測が間違っていなかったことを確定することになった。
『な……何を根拠にそんなことをおっしゃってるのかしら!?』
「あ?そんなこと、ちょっと考えたらわかりそうなもんじゃない?」
サヤは握っていた剣の柄を離すと、剣を纏っていた禍々しい瘴気のオーラが消えていった。
そしてサヤは再び腕を組み、盾の創造者見下すような視線を送った。
「アンタ……ハルナに話しかけても返してもらってないんだろ?それにアンタの性格じゃあ、ハルナはアンタに心を開かないよ」
『――なっ!?』
その反応が、どうやら図星だったとサヤは笑いそうになったが、この場面ではその感情を抑えてさらに畳みかけていく。
「……どうせアンタはこんなことを考えてたんだろ?『ハルナの記憶の中にある行為を持った人物の情報を得て、その人物を創り出してあげるから私に協力しなさい』とかさ?」
いまサヤが盾の創造者に告げた自分の想像していた内容が、全て当てはまっていたことに盾の創造者は言葉を失ってしまった。
長きにわたり、この世界で二つしかない特別な存在として君臨していた。
だが、それを上回る能力……予知能力を持っているかのような目の前の存在に、盾の創造者はサヤに対して警戒度を一気に上げていった。
それと同時に、盾の創造者が支配しているハルナの身体に、金色のオーラが揺らめき始めた。
「おいおい……まさか、本当に図星だったのか!?でもわかってるよねぇ、アンタはアタシたちを傷つけることはできないってさ」
『う……うるさいっ!!!』
盾の創造者は、ハルナが覚えた四属性の元素が凝縮された大きな塊をサヤに向かって飛ばした。
だがサヤは、腕を組んだままその様子を見守っており、避ける行動すらしなかった。
そして、盾の創造者の攻撃はサヤの直前で見えない壁に阻まれ、その勢いで左右に散らばり元素へと還っていった。
「アンタの攻撃はアタシたちに効かない……そんなことすら忘れたのか?」
『……るさい!うるさい!うるさい!!うるさい!!!うるさい!!!!』
盾の創造者は何度も何度もサヤに対し、自分が持てる最大ダメージを与える攻撃を繰り返し繰り出す。
だがその攻撃は何に一つ有効打にならず、先ほどと同じようにサヤに到達する直前で弾かれて元素へと還っていった。
「気が済んだ?なら、そろそろハルナの身体から出ていってくれない?」
『舐めるなよ……たかが人間が、私の邪魔をするなど!!』
「悪いけどね、ハルナはアンタがどうこうできるもんじゃないんだよね。考えてもわからないか?この世界とアタシたちがいた世界の差があるのがさ……とにかくアンタじゃ手に負えないからさっさとその身体から出た方がいいよ?」
『くっ……舐めるなぁっ!!』
盾の創造者は、何の力も使わずにただハルナの肉体だけの能力を使ってサヤに向かって突進してきた。
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