問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』

山口 犬

文字の大きさ
上 下
1,124 / 1,278
第六章 【二つの世界】

6-351 サヤとハルナと3

しおりを挟む






サヤの言葉に、盾の創造者の表情は固まってしまっていた。
その表情が、サヤが推測していた内容が正しかったことを証明していた。

更に盾の創造者からの言葉によって、推測が間違っていなかったことを確定することになった。



『な……何を根拠にそんなことをおっしゃってるのかしら!?』


「あ?そんなこと、ちょっと考えたらわかりそうなもんじゃない?」




サヤは握っていた剣の柄を離すと、剣を纏っていた禍々しい瘴気のオーラが消えていった。
そしてサヤは再び腕を組み、盾の創造者見下すような視線を送った。


「アンタ……ハルナに話しかけても返してもらってないんだろ?それにアンタの性格じゃあ、ハルナはアンタに心を開かないよ」



『――なっ!?』



その反応が、どうやら図星だったとサヤは笑いそうになったが、この場面ではその感情を抑えてさらに畳みかけていく。



「……どうせアンタはこんなことを考えてたんだろ?『ハルナの記憶の中にある行為を持った人物の情報を得て、その人物を創り出してあげるから私に協力しなさい』とかさ?」





いまサヤが盾の創造者に告げた自分の想像していた内容が、全て当てはまっていたことに盾の創造者は言葉を失ってしまった。
長きにわたり、この世界で二つしかない特別な存在として君臨していた。
だが、それを上回る能力……予知能力を持っているかのような目の前の存在に、盾の創造者はサヤに対して警戒度を一気に上げていった。
それと同時に、盾の創造者が支配しているハルナの身体に、金色のオーラが揺らめき始めた。



「おいおい……まさか、本当に図星だったのか!?でもわかってるよねぇ、アンタはアタシたちを傷つけることはできないってさ」


『う……うるさいっ!!!』



盾の創造者は、ハルナが覚えた四属性の元素が凝縮された大きな塊をサヤに向かって飛ばした。
だがサヤは、腕を組んだままその様子を見守っており、避ける行動すらしなかった。
そして、盾の創造者の攻撃はサヤの直前で見えない壁に阻まれ、その勢いで左右に散らばり元素へと還っていった。


「アンタの攻撃はアタシたちに効かない……そんなことすら忘れたのか?」


『……るさい!うるさい!うるさい!!うるさい!!!うるさい!!!!』



盾の創造者は何度も何度もサヤに対し、自分が持てる最大ダメージを与える攻撃を繰り返し繰り出す。
だがその攻撃は何に一つ有効打にならず、先ほどと同じようにサヤに到達する直前で弾かれて元素へと還っていった。


「気が済んだ?なら、そろそろハルナの身体から出ていってくれない?」


『舐めるなよ……たかが人間が、私の邪魔をするなど!!』


「悪いけどね、ハルナはアンタがどうこうできるもんじゃないんだよね。考えてもわからないか?この世界とアタシたちがいた世界の差があるのがさ……とにかくアンタじゃ手に負えないからさっさとその身体から出た方がいいよ?」



『くっ……舐めるなぁっ!!』


盾の創造者は、何の力も使わずにただハルナの肉体だけの能力を使ってサヤに向かって突進してきた。







しおりを挟む
ツギクルバナー
感想 5

あなたにおすすめの小説

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む

家具屋ふふみに
ファンタジー
 この世界には魔法が存在する。  そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。  その属性は主に6つ。  火・水・風・土・雷・そして……無。    クーリアは伯爵令嬢として生まれた。  貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。  そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。    無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。  その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。      だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。    そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。    これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。  そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。 設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m ※←このマークがある話は大体一人称。

転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの? 人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る

拓海のり
ファンタジー
 階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。  頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。  破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。  ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。  タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。 完結しました。ありがとうございました。

聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる

夕立悠理
恋愛
 ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。  しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。  しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。 ※小説家になろう様にも投稿しています ※感想をいただけると、とても嬉しいです ※著作権は放棄してません

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

【完結】内緒で死ぬことにした  〜いつかは思い出してくださいわたしがここにいた事を〜

たろ
恋愛
手術をしなければ助からないと言われました。 でもわたしは利用価値のない人間。 手術代など出してもらえるわけもなく……死ぬまで努力し続ければ、いつかわたしのことを、わたしの存在を思い出してくれるでしょうか? 少しでいいから誰かに愛されてみたい、死ぬまでに一度でいいから必要とされてみたい。 生きることを諦めた女の子の話です ★異世界のゆるい設定です

処理中です...