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第六章 【二つの世界】
6-303 あの日の出来事2
しおりを挟む「この結果は、サヤが望んだものだからな……」
ハルナは剣の創造者からの予測もしなかった言葉に、思考が麻痺してしまっていた。
今ハルナがわかっていることは、エレーナの子供であるミレイの突出した能力を犠牲にハルナが元いた世界に戻るために使われたこと……そして、そのことをハルナ自身が望んだわけではなく、サヤの考えで行われていたこと。
サヤは敵対宣言をし、ハルナたちの前から突然消えていった。
その行動が、ハルナ自身にとって良い結果か悪い結果になったのかはわからない。ただ、自分のことを知っていたのはサヤだけで、それ以外の人物は今までのハルナのことを知らなかった。その寂しさと不安がハルナの中で肉体的ではない痛みが生じる程つらかったことは、今でも思い出したくないくらいだった。
そんな良くない記憶に、さらに追い打ちをかけるような事実によって、ハルナの胸は再び痛み始めた。
――ミレイの持つ元素の能力と引き換えに自分を元の世界に戻したという事実
その裏で”この”世界に戻ってきた時にどこか残念そうに見えたサヤの言葉が頭の中に浮かんできた。
その疑問が、少しずつハルナの中でつながり始めたのは、いまの剣の創造者からの説明によるものだった。
その感情を剣の創造者に告げることはしなかったが、それ以外のことは確認しようとハルナは口を開いた。
「確かにサヤちゃんは私を”逃がした”って言ってました。それは私と戦うことになるからって言ってましたが、どうして私とサヤちゃんは戦わないといけないんですか?」
「それについては、”戦う必要がない”とサヤには伝えておいたのだがな……それはサヤの判断であろう?」
「え?サヤちゃんが……?」
「そうだ。サヤの中にはお主に対する感情……」
「……?」
急に言葉を制した剣の創造者に、ハルナはきっと裏でサヤが必死に止めているのだとすぐに理解した。
それと同時に、いまだに盾の創造者が何も言わないことに対し、警戒しつつさらに話を進めてもらうことにした。
「……ともかく、サヤとお主には戦う理由はない。だが、お主が背負っている”盾”とつながっているのならば、話は別だ。その時はサヤではなく、我が全力でお主の行動を阻止する」
最期の言葉には、今までにない剣の創造者の本気の意思が伝わってくる。
そのことからもサヤたちが、自分が背負っている意識を持つ盾に対して何らかの悪意を持っていることが伺えた。
その中で、ハルナはふとあることを思い出した。
それは、一番初めに”世界が崩壊する”原因と言われていた”オスロガルム”のことだった。
今の状況は、あの時から始まったのではないかとハルナは推測した。
サヤがオスロガルムを倒した後、その場所に現れたのはスーツ姿の男……多分それが、剣の創造者ではなかったのかとハルナは推測する。
その後、この世界でキャスメルと出会うまで、その存在のことを気にかけることはなかったが、これまで伝えられた話からは全て剣の創造者が絡んでいたのではないかとハルナは判断していた。
「お聞きしたいのですが……いいですか?」
「なんだ?ここまで来て改まることは無かろう」
「オスロガルムさんを消したこととこのいまの状況は、全てあなたが仕組んだことなのですか?」
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