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第六章 【二つの世界】
6-273 ニーナとステイビル2
しおりを挟むステイビルはニーナのそんな状況を知り、そういう行為を禁止させようとそのような態度をとる者を処罰しようとした。
だが、それを止めたのはソフィーネで、それはハルナと相談して決めたことだった。
その行為は今以上に、ニーナの状況を悪化させてしまう可能性があると告げると、ステイビルもそのことに気付いて自分の先走った行動に対して反省の姿を見せていた。
ハルナはニーナの今の実情を聞いて、お店の時代に聞いたことを思い出す。
”人には適材適所が必要”だということを。
能力が高い人物を、低い地位の職種に付けても、人によっては”嫌味”でしかないという話を聞かされたことがある。
今回はニーナの兄である、カステオに言われるがままに東の王国のメイドとしてニーナを受け入れていた。
だが、本来の状況であればメイドなどと言う仕事をさせるべきではない人物。
ソフィーネたちのような、特殊な存在としてその地位にいることもあるが、ニーナにはそう言った能力はない。
だからこの旅に出る前に、ハルナは新しい職種として、ステイビルとハルナのアドバイザーとして起用してはどうかと相談した。
ハルナのこれから起こる出来事が、一体どのくらいの期間で終息するか判らない。
その間に、ハルナの代わりとなる協力者としてお願いできないかとニーナに交渉をした。
ニーナ自身は問題ないと返答があったが、自分がハルナの代わりになるとは思えないとも言った。
その言葉に対し、ハルナは告げた。
「ニーナさんは、これまで”メイド”という立場になったことがないでしょ?私も”王家”という地位に今までなったことなんて、一度もないんですよ?今だって必死に王家の”しきたり”とかを習っている最中なんですよ……全く身についてないですけどね?」
その言葉にニーナは、確かにハルナ自身に細かいようだが王宮の礼儀などは、所々おかしいと感じられるところが多々見受けられた。
ハルナの近くにいたマーホンの方が、ハルナよりもしっかりしていた。
そのことにニーナも気が付いたと感じ、ハルナはさらに言葉を続ける。
「だからニーナさんには、ステイビルさんの傍にいてあげて欲しいんです。いまは東の王国……だけでなく、この世界が崩壊するかもしれないという状況です。誰も初めての状況に対応しきれていないんです。エレーナやステイビルさんもいますけど、あの二人も結構忙しいので、相談できる相手は必要なんです。そこで、西の王女であったニーナさんにステイビルさんの力になってあげて欲しいんです」
「わ……わかりました!その役目、お任せください!」
そうして、ニーナはメイドという役職から抜け出し、相談役として扱われることになった。
そうすることにより、一部のメイドたちの中から”やっぱり”という声が上がってきていた。
それ以降、ニーナはメイドたちから嫌がらせを受けることもなくなったのは、ニーナがそう言ってた者たちにも優しく接していたことが、ニーナの存在が認められることに繋がっていった。
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