問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』

山口 犬

文字の大きさ
上 下
1,046 / 1,278
第六章 【二つの世界】

6-273 ニーナとステイビル2

しおりを挟む






ステイビルはニーナのそんな状況を知り、そういう行為を禁止させようとそのような態度をとる者を処罰しようとした。
だが、それを止めたのはソフィーネで、それはハルナと相談して決めたことだった。
その行為は今以上に、ニーナの状況を悪化させてしまう可能性があると告げると、ステイビルもそのことに気付いて自分の先走った行動に対して反省の姿を見せていた。



ハルナはニーナの今の実情を聞いて、お店の時代に聞いたことを思い出す。


”人には適材適所が必要”だということを。


能力が高い人物を、低い地位の職種に付けても、人によっては”嫌味”でしかないという話を聞かされたことがある。
今回はニーナの兄である、カステオに言われるがままに東の王国のメイドとしてニーナを受け入れていた。

だが、本来の状況であればメイドなどと言う仕事をさせるべきではない人物。
ソフィーネたちのような、特殊な存在としてその地位にいることもあるが、ニーナにはそう言った能力はない。
だからこの旅に出る前に、ハルナは新しい職種として、ステイビルとハルナのアドバイザーとして起用してはどうかと相談した。
ハルナのこれから起こる出来事が、一体どのくらいの期間で終息するか判らない。
その間に、ハルナの代わりとなる協力者としてお願いできないかとニーナに交渉をした。


ニーナ自身は問題ないと返答があったが、自分がハルナの代わりになるとは思えないとも言った。
その言葉に対し、ハルナは告げた。




「ニーナさんは、これまで”メイド”という立場になったことがないでしょ?私も”王家”という地位に今までなったことなんて、一度もないんですよ?今だって必死に王家の”しきたり”とかを習っている最中なんですよ……全く身についてないですけどね?」



その言葉にニーナは、確かにハルナ自身に細かいようだが王宮の礼儀などは、所々おかしいと感じられるところが多々見受けられた。
ハルナの近くにいたマーホンの方が、ハルナよりもしっかりしていた。
そのことにニーナも気が付いたと感じ、ハルナはさらに言葉を続ける。


「だからニーナさんには、ステイビルさんの傍にいてあげて欲しいんです。いまは東の王国……だけでなく、この世界が崩壊するかもしれないという状況です。誰も初めての状況に対応しきれていないんです。エレーナやステイビルさんもいますけど、あの二人も結構忙しいので、相談できる相手は必要なんです。そこで、西の王女であったニーナさんにステイビルさんの力になってあげて欲しいんです」


「わ……わかりました!その役目、お任せください!」



そうして、ニーナはメイドという役職から抜け出し、相談役として扱われることになった。
そうすることにより、一部のメイドたちの中から”やっぱり”という声が上がってきていた。

それ以降、ニーナはメイドたちから嫌がらせを受けることもなくなったのは、ニーナがそう言ってた者たちにも優しく接していたことが、ニーナの存在が認められることに繋がっていった。







しおりを挟む
ツギクルバナー
感想 5

あなたにおすすめの小説

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む

家具屋ふふみに
ファンタジー
 この世界には魔法が存在する。  そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。  その属性は主に6つ。  火・水・風・土・雷・そして……無。    クーリアは伯爵令嬢として生まれた。  貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。  そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。    無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。  その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。      だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。    そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。    これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。  そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。 設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m ※←このマークがある話は大体一人称。

婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る

拓海のり
ファンタジー
 階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。  頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。  破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。  ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。  タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。 完結しました。ありがとうございました。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

飯屋の娘は魔法を使いたくない?

秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。 魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。 それを見ていた貴族の青年が…。 異世界転生の話です。 のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。 ※ 表紙は星影さんの作品です。 ※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

【完結】白い結婚で生まれた私は王族にはなりません〜光の精霊王と予言の王女〜

白崎りか
ファンタジー
「悪女オリヴィア! 白い結婚を神官が証明した。婚姻は無効だ! 私は愛するフローラを王妃にする!」  即位したばかりの国王が、宣言した。  真実の愛で結ばれた王とその恋人は、永遠の愛を誓いあう。  だが、そこには大きな秘密があった。  王に命じられた神官は、白い結婚を偽証していた。  この時、悪女オリヴィアは娘を身ごもっていたのだ。  そして、光の精霊王の契約者となる予言の王女を産むことになる。 第一部 貴族学園編  私の名前はレティシア。 政略結婚した王と元王妃の間にできた娘なのだけど、私の存在は、生まれる前に消された。  だから、いとこの双子の姉ってことになってる。  この世界の貴族は、5歳になったら貴族学園に通わないといけない。私と弟は、そこで、契約獣を得るためのハードな訓練をしている。  私の異母弟にも会った。彼は私に、「目玉をよこせ」なんて言う、わがままな王子だった。 第二部 魔法学校編  失ってしまったかけがえのない人。  復讐のために精霊王と契約する。  魔法学校で再会した貴族学園時代の同級生。  毒薬を送った犯人を捜すために、パーティに出席する。  修行を続け、勇者の遺産を手にいれる。 前半は、ほのぼのゆっくり進みます。 後半は、どろどろさくさくです。 小説家になろう様にも投稿してます。

処理中です...