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第六章 【二つの世界】

6-271 ソフィーネとマーホン3

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太陽がさらに高度を増して、辺りを照らし始める。
こうなると、たき火の炎は灯りとしての役割を終えている。


気持ちが落ち着いた状態でハルナは、マーホンの両肩を持って自分の身体から引き離した。
そして、マーホンの顔を見て気持ちが落ち着いたことを確認し、ハルナは笑顔を作って声をかける。




「どうしたんですか?何かあったんですか?」


その優しい問い掛けに、マーホンは落ち着きながら、伝えられなかったことを話した。


その内容はやはり、世界の崩壊に関するものだった。
しかし、マーホンが気にしていることは、”世界が崩壊する”という問題ではなかった。


「……私、ハルナ様とお別れになってしまうことが辛いのです。そのことを思うと、胸が潰されてしまいそうになります」


「マーホンさん……」


ハルナは、決して”大丈夫”と言う言葉は口にできなかった。
理由のない自信も必要だとも考えたが、今回についてはあの創造者ですらどうなるか判らないと言っていた。
マーホンを安心せるために大丈夫だと告げたげるべきか迷ったが、ハルナはその言葉を抑えた。


「……申し訳ありません。大事な出来事の前に、こんな話を……ハルナ様にとって大したことのない存在ではありますが、不安にさせてしまうことを口にして申し訳ございませんでした」


「こちらこそ、ごめんなさい。きっとみんな不安なんですよね?でもこういう時に気の利いたことが言えないのは、私の力不足です」



昨日のエレーナも今朝のソフィーネとマーホンも、世界が崩壊することに対しての不安に押しつぶされそうなのだろう。
何も言わないステイビルも、もしかして本当は不安なのかもしれない。


悲しい顔をするハルナに、マーホンはある約束を持ち掛ける。



「ハルナ様……わたしと一つだけ、お約束をしていただけませんか?」


「約束?……どんなことですか?」



マーホンは、ハルナを姉と思い慕っていることを告げた時と同じように、少し恥じらいながら切り出せないでいる。
だが、自分から投げかけた状況であるため、このままなかったことにすることなどできないし、一晩中考えて出た結論をハルナに伝える。



「ハルナ様……もし、世界が崩壊することになったとしても、私たちの……いえ。私の傍に戻ってきてくださいませんか?あ、あの!勝手なお約束だとは思っています……でも、もしも、一番最後の時は誰よりも、ハルナ様と。それであればもう、何も思い残すことはありません!ですから……どうか」



マーホンは、ハルナ別れてしまうことに一番の恐怖を感じていた。
できれば、その時にハルナの状況がどのようになっているかわからない。
約束しても、マーホンの元に駆けつけてあげることができないかもしれない。
その可能性があることを考慮してもらえるならは、約束することは問題ないと告げる。
マーホンも、自分のお願いでハルナの邪魔になることは望んでいない。
しかし、この約束をしてくれただけでも、マーホンの心は落ち着きを取り戻すことができた。









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