問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』

山口 犬

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第六章 【二つの世界】

6-238 何らかの決断

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「やぁ!ステイビル!どうだ?決めてくれたか!?それで、式はいつにするのだ?……いや、気が早いな。ハルナ殿とのことが先の方がいいだろうな?」




カステオは部屋に入ってきたステイビルに対して、親友……いや、家族で兄から弟に話しかけるような感覚で話しかける。
しかも、この場所があたかも”自分たちの国”であるかのような態度を示しながら。


だが、ステイビルはそのことには何も思うことがない。
これから、このような押しの強い性格を持つカステオと話し合いを行わなければならないのだから。
意識は全てそちらへと向けており、それ以外に思うことはない。


様子を察してか、カステオは緊張の強いステイビルに仕掛ける。



「ハルナ殿も、ご無沙汰しておりますな。今日は”夫婦”そろってとはこれまた……」




この部屋に入室したときの挨拶も、ハルナの姿を見てカステオなりに気を遣った挨拶のつもりだった。
もちろん、二人の間を探るための一手である意味も含まれていた。


この場には、カステオ、キャスメル、イナ、デイムとナルメルがいる。
ニーナがいないのは、これからの話の内容がいい話かわるい話か分からないため、別な部屋で待たせているのだろう。




「ハルナ様……お久しぶりでございます。どうぞこちらへおかけください」


「お久しぶりです、ナルメルさん。お元気にしていましたか?」



ナルメルに話しかけられたハルナは、カステオの言葉には全く反応を見せなかった。
それよりもグラキース山で起きた様々なことがあり、それを乗り越えてステイビルに協力してくれていたはず。
そんなナルメルが、あまり面識のないカステオ側に近い位置に立っていたことにハルナはその状況が呑み込めないでいた。



ここへ来るまでの馬車の中でこのような状況になっていことは聞いていた……だが、ハルナとしてはナルメルはステイビルに好意を寄せていたと思っていた。
そのことはステイビル本人もいるためと、自分の口からそんなことは言ってはいけないのではないかと思い黙っていた。


そんなナルメルがステイビルの反対のような立場にいることは、ハルナにとっては理解し難い状況だった。
エレーナやイナたちと一緒に、会話を楽しんでいた以前の状況であればそういう話も聞けただろうか。
とにかく今は黙ってこの場で、ステイビルとの約束を果たすことにした。

ここへ来る前、交渉の場にはハルナに来て欲しいとステイビルからお願いされていた。
特別何かをする必要なはいが、自分にとって不利益な状況と感じられるならば遠慮せず発言して欲しいとも言われていた。
二人きりでは不安と、ソフィーネも付いて行くと三人でこの場にやってきた。




「……それで、ステイビル。何らかの決断は出たのだろうな?」



そのカステオの声は先ほどの軽さと違い、一国の王らしい重圧のある声に変わっていた。


「あぁ、もちろんだ」



ステイビルの声も、カステオの声に負けていない。
一国の王らしい声だった。



「それで……どのようになったのか?聞かせてもらおうか……」



こうして、ステイビルはニーナを受け入れるための条件を伝えた。






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