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第六章 【二つの世界】
6-211 違和感21
しおりを挟む「なに?グラキアラムの中に入れない……だと?」
報告を受けたステイビルは、身を乗り出して詳細を確認する。
命令をされた輸送隊長は、これまでの経緯をステイビルに話し、ステイビルの質問にも答えていく。
この状況を報告するために、グラキアラムから同行した警備兵が、ステイビルにある事実を伝える。
それを聞いたステイビルはショックを受けたが、弱々しい態度は見せられないため必死に堪えた。
「まさか……ナルメルとイナたちが……反乱を?」
「王よ、これをご覧ください」
警備兵は手にしていた丸めた用紙を、ステイビルに差し出す。
隣にいたアルベルトが、前へ進みステイビルの代わりにその用紙を受け取った。
そこに書かれていた内容は、荷物の受け渡しは町の外で行うことすることが記載され、ステイビルが信頼して手渡していた印も押されてある。
それを証拠に、これはナルメルが書いたものとして疑いようはない。
(しかし……ナルメルがなぜ?)
「それと……キャスメル様も、今現在グラキアラムの中にいらっしゃるのです」
「なに!?キャスメルが!?」
ステイビルはこれまで聞いた話と、いま手元にある証拠をもとに様々な思考を巡らせる。
だが、その思考も納得のいく段階までは届かずに、全て途中で頓挫してしまっていた。
とにかく、いま手元にある情報少ないため、これ以上のことは判断できないとしてこの場の報告の場は一旦終了した。
その夜、ステイビルは一人で部屋の中にいた。
途中であきらめた思考を、時間をかけて再度検証するために。
部屋の壁に掛けられたランプの他に、渡された手紙を見るためにテーブルの上に置いてある燭台のロウソクは数本交換していた。
「ウーム……何が起きているのか?」
ステイビルの記憶にある中で、ナルメルやイナたちはステイビルに対して友好的に接していたはず。
その信頼もあって、ステイビルはナルメルに自分の名が刻まれた印を渡し、あの町の最終決定権を与えていた。
元いた村民たちもその決定に疑問を感じず、亜人たちとも問題なく町の運営に手を貸していたと聞いていた。
(そこからわずかな期間に……一体何が起きたのか?)
ステイビルは自分の考えが足りないと、置いていた精霊の創り出した解けない氷の入ったグラスのアルコールを数口喉に流し込んだ。
――トン
グラスを置くと、水滴がその衝撃で流れ落ちていく。
その水滴はテーブルの上で塊となり、自分の意思を持つかのように後から落ちてくる水滴に押されて流れていく。
「……おっと!」
ステイビルはその水滴が手紙の近くまで流れてきたことに気付き、慌てて手紙をテーブルの上を走る水から遠ざけた。
しかし、手紙が濡れることは免れたが、それを結んでいた紐は濡れてしまっていた。
だが、ステイビルは手紙が守られたことで安心して、軽くテーブルの上を掌で拭い、新しい飲み物をグラスの中に注ごうとした。
「……?」
ステイビルは、テーブルの上で起きた変化に気付き、一旦飲み物の入ったデキャンタを置いて手紙を縛っていた紐を手に取った。
何かの繊維がこよりのように巻かれて、それを紐のようにして使われていた。
紐に水が付いた箇所は、ゆるくなり巻きが解けている。
ステイビルは紐が巻かれている方向とは逆のほうへねじっていく。
ねじりを開いていくと、紐は一枚の紙のようになった。
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