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第六章 【二つの世界】
6-159 見覚えのある者5
しおりを挟む「これは私の考えだが、エレーナはメイヤを”逃がすため”にここへ寄こしたのだと思う」
「……え?」
メイヤはその言葉を聞き、自分がエレーナから頼まれて起こした行動とステイビルから聞かされたことの情報がメイヤの中ではつなげることがきずに戸惑いを見せている。
メイヤは、自分がエレーナを救うために行動していているのだという思いがあった。
命令をうけたことにより、主人であるエレーナの状況がかなり不利なものであるといことは認識していた。
だからこそ、”出産”という相手も攻め込み辛いイベントの一瞬の隙を見て、援軍を要請するために自分を送りだしてくれたのだとメイヤはそう思っていた。
いまステイビルから聞かされた言葉は、自分が判断していた状況とはまるで異なる意図だった。
しかも、自分が考えてきた思考とはまるで正反対の内容であるが、自分が戸惑っている理由ということろまでは理解できた……だが、そこから先は、どうしてもメイヤには理解ができなかった。
移住時、王国の息のかかったメイドたちが集まる中、自分が呼ばれたということはエレーナたちに必要な存在で”戦力”として必要な存在であったからだと自分自身ではそう認識していた。
だからこそ、今回エレーナの窮地において、唯一の味方であるメイヤは命を削りながらもかつての同じ旅をした仲間であるステイビルの応援を求めてこの地にやってきた。
「……まだ納得してないようだね。その顔は」
「さ、サヤちゃん!?」
困惑しているメイヤに対してさらに酷いことを言ってしまうのではないかと察したハルナが、サヤの次の言葉を遮った……ハルナの行動をステイビルが抑制をかける。
「そこは、私から説明させていただきます……」
その言葉にサヤは”問題ない”という意思を示し、途中で止められたハルナの不機嫌さを他所にステイビルにその役目を譲った。
「メイヤよ……先ほども言ったように、エレーナはお前を危険な状態から逃がしたのだ。信じ難いかもしれんが、その可能性が高い……私も随分とあの二人には助けてもらった。その優秀さも、幾度となく命を助けてもらったこの身体が知っている。その私が、判断したのだ……これは間違いではない」
そう言ってステイビルは、近くにあった椅子を引き寄せて腰を下ろす。
腰を下ろした姿勢の前屈みのまま、両膝に肘をついて祈るかのように顔の前で両手を組んで目を瞑る。
「きっと……いや、確実にエレーナはお前を信頼していたのだ。だからこそ、そのような危険な場所においておけるはずずはないと、お前を私の元に送ったのだろう。その道のりは険しいものと知っていたが、そこはお前の見事な知識と判断力で乗り切り、無事にこの場所まで届くと信じていたのだろうよ……エレーナならば……な」
メイヤはステイビルの言葉に、自分が信頼を寄せていた以上の信頼がエレーナとの間にあることを実感する。
そして、ステイビルの話していた推測が、エレーナが実際に考えていたことだろうと
確信した。
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