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第六章 【二つの世界】
6-152 剣と盾7
しおりを挟む「アイツの近くにはキャスメルだけじゃなく、アタシたちみたいなやつがどこかにいるっていう可能性もあるんじゃないかって思ってるんだけど?」
ステイビルはサヤの話を聞きつつ、自分も同じ結論に至っていたことを嬉しく思った。
自分の思い付かないようなことを、サヤは次々とその可能性を生み出していく。
実際それらは、ほとんど正解に近い形で考え出されているため、サヤのなかには様々な要素が頭の中で展開されているのだろうとステイビルは常に感心していた。
「それって……だれ?」
「そんなのアタシが知るわけないじゃない!?……って言いたいところだけど」
「何か思い当たるところがあるのですか、サヤ様?」
ステイビルの問い掛けに対し、サヤは腕を組んで悩むようなフリを見せる。
そしてこの周囲にいる者たちの全ての意識が自分に向いていることを感じ、満足げに一つ頷いて組んでいた腕を解き、自らの両腰に手を当てた。
「ゴホン。その考えを伝える前に……ラファエル?」
『は、はい!……なんでございますか?サヤ様』
「アンタ確か、盾になった”大いなる存在”だっけ?その存在は、最初から盾の状態だったの?」
『いえ、そうではありませんでした。確か……光の渦のような存在だったかと』
「あ、そう。それじゃあもう一つ確認するけど、その”大いなる存在”ってい人は盾の中に入って、それをキャスメルに捕まるまでアンタが守ってたんだよね?」
『はい、その通りです』
「ってことは、もしかして……っ!?」
今までの情報から閃いたハルナが、そのことを口に出そうとした。
だが、瞬時にサヤから鋭い視線を送られ、察したハルナは急いで口を塞いだ。
「……ったく。でも空気を読んだのは、アンタの成長の証拠よね」
そこからサヤは咳ばらいを一つして、再び真剣な表情を作り話を続ける。
「結論から言うと、キャスメルについているのは”剣”の存在じゃないかと思うんだ」
そうして、サヤは自分の考えを続けていく。
「盾も剣もそれぞれの道具としての効力はあるけど、実は”その大いなる存在”の依代なんじゃないかな?」
「サヤ様……その”依代”とは何なのですか?」
「あ、こっちの世界にはそういうのないの?依代ってね、なんていうのかな神様の入れ物みたいなやつだよ、簡単に言うとね」
『確かに……その考えで間違いないかと思います。あのお方は、安心できる場所であればそのお姿を見せてくださいました。移動する際には、私が盾を持っておりましたのでその間は盾の中にいらっしゃったのでしょう』
「……でもさ、そうなると剣とその存在は離れてても問題がないってこと?」
「うーん……そこなんだよね。依代が重要なら、交渉の材料になると思ったんだけどね。だけど、キャスメルは探してたじゃない?そこまではっきりと判ってないから、ここから先の考えはまだまとまってないんだけどねぇ」
「では、これ以上のことは情報を集めていかないとわからないですね」
最期にステイビルはそう纏め、この場にいる者たちもそれに賛同した。
こうして、一旦この話は打ち切ることとし、次の話題へと変わっていった。
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