問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』

山口 犬

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第六章 【二つの世界】

6-145 侵略12

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二人が来たことにより自分の部下を下げたことに対し、ステイビルも自分たちがこの場にいてはいけないのだと感じて、イナとナルメルに一緒にこの場から外れようと合図を出した。



「どこへ行こうというのだ?お前はここにいろ、ステイビル……ドワーフとエルフどもは、この場から失せろ」



敵からそう言われて、素直に従えるものはいない。
だが、ステイビルから合図を受け、キャスメルの言葉ではく”ステイビルの指示”で行動をすることでデイムは納得した。


そして、この場にはキャスメル、ステイビル、ハルナ、サヤとそれぞれの神々だけが残っていた。



「……で?何か話があるんだろ?」


この場の状況を前に進めるべく、一番初めに声を上げたのはサヤだった。



「うむ……そうだな。話が分かりやすいと助かる」


「では、単刀直入に言おう。サヤ……お前は私の配下に入れ」


「――は?」



「なに?アタシだけ?ハルナは?」



「そこの女は付いてきたいのなら、来ても構わん。だが、本当に私が欲しいと思っているのは……サヤ、お前だけだ」




「キャルメル……お前はクリエという王女がいるだろうが!?その上サヤ殿など……お前は!!!」


「勘違いをするな、ステイビル。お前が思っているような下種な話ではない。この者は、お前にはわからない程の価値の高い存在なのだ」



そこからさらにキャスメルは言葉を繋いでいった。


「このまま両者が対立すれば東の大国にとって大きな損害となることは間違いがない。だが最終的には、我々が勝利を収めることは、決まっていることだ……だからこそ、サヤ。おまえは私の下に付くのだ。そうすれば、お前が望む者……そうだな二人までは”この世”に残すことを約束しよう。お前なら、この言葉の意味は、わかるな?」


いつものサヤならば、挑発してくるような物言いに対して、すぐに反発する高度を見せていたはず。
しかし、キャスメルの言葉に対してサヤは目を閉じて黙って考えている。

その時間は一分にも三十秒にも満たない時間だったが、その返答を待つステイビルたちにとってはそれ以上の長い時間のように思えた。


そして……


「うん……悪いけど、アタシはアンタと戦うことを選ぶわ」



「ふっ……そうか、ならば仕方がない。ステイビル、これから王国はお前たちと抗戦状態に入ることを宣言する。元々お前たちはそのつもりだったのだろうがな……それでは、正式な手続きを踏んだ後に攻撃を仕掛けていく。それまでに精々あがいて見せるがいい」



「剣は……剣はいいのか?」


「あぁ、剣だな。それは力づくて奪って……そうだ、剣を差し出すものはその命を助けることとしよう。お前たちも、見つけたら私のところに持ってくるがいい」




「ちょっと待ちな……」

振り向いて自軍の陣地に戻ろうとするキャスメルを、サヤは声をかけて止める。


「盾……はアンタが持ってるってことでいいんだよな?」


「ということは剣はお前がやはり持っているのだな……まぁいい。そうだ、盾は私の手元にある。欲しければ奪い取りに来るがいい」





そういってキャスメルは、無防備にも背中を見せながら自分の陣地へと戻っていった。











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