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第六章 【二つの世界】
6-109 契約解除
しおりを挟む「ルーシーさんは今どこなの!?」
ルーシーの契約精霊であるフランムが現れ、離脱するための作業は中止となっていた。
壁の向こうの状況も……突破されることもなさそうな状況だったためイナたちも落ち着いてフランムの言葉を聞いた。
「はい……ハルナ様たちと別れて自室を出た後ルーシーは、モイス様討伐のため精霊使いたちの指揮をとっておりました。ですがその途中で、騎士団の者たちがルーシーを取り囲み”反逆罪”で連行しようとしたのです!!」
「ルーシー様……ゴホン……いえ、王宮精霊使い長、ルーシー・セイラム。あなたに国家反逆罪の疑いがかけられております。無駄な抵抗をせず、おとなしく我々と一緒に来ていただきたい」
精霊使いたちを指揮するルーシーの元に、騎士団が一分隊を引き連れ現れた。
驚きのあまりにルーシーが指揮する精霊使いたちは、一斉にモイスへの攻撃を止めた。
ルーシーの身の拘束を命じられた分隊長も、ルーシーの下に付く者たちの動揺が手に取るように判った。
ルーシーは、王宮精霊使いの長となってからここまでわずかな期間ではあったが、この隊長が知る限りでは今までにこれほど配下の者を大切にし気に掛けた長の存在を知らない。
それは精霊使いだけでなく、王宮の中で勤めている者たちを取りまとめている長たちの中でも、いままでに見たことがない。
その対応は、時には厳しいものもあった。
もちろんその厳しさの裏に、ルーシーの愛情が注がれていることを、配下の者たちは充分に知っていた。
だからこそ、その下にいる者たちは不満もなく王国……いや、ルーシーのためにその力を発揮しようと努力をしていた。
しかし、隊長は国からの命令に逆らうことは出来ない……例えその対象が、この殺伐とした王宮の中において、唯一人間的に尊敬できる人物であったとしても。
この場にいる者たちの願いは、この状況が”嘘”であって欲しいということと、その罪が軽くなって欲しいということだった。
――次の瞬間、この場にいるほとんどの者の思いとは反対の行動をルーシーは選んだ。
「る……ルーシー!!」
緊張感から、姿を見せていたフランムはルーシーの名を叫んだ。
ルーシーは囲まれた人を押しのけて、この場から逃走した。
信じられないという思いから、一瞬警備兵も取り押さえるための動作が遅れてしまった。
ルーシーは包囲網の一番薄い場所を選び、そこから抜け出した。
精霊の力を使わずに。
「ルーシー!無駄なことはやめろ!!今すぐそこから降りてきなさい!」
逃げたルーシーは、城の横に用意された使用人が寝泊まりする塔の上の階の窓から姿を現す。
そしてそこから飛び降りようと、窓の縁に腰かけてその機会を伺っていた。
「ルーシー!やめてよ!一人にしないで!」
「ごめんなさい、フランム。あの方たちに手を貸した時から考えていたの……アナタとはここで契約はお終い、もう自由に……」
「何言ってるんだ、ルーシー!そんなこと許されるわけ……!?」
――バン!!
ルーシーがいる部屋のドアが突き破られ、警備兵は流れ込んできた。
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