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第六章 【二つの世界】
6-72 サヤの考え
しおりを挟む「さ、サヤ様……本気でございますか!?既に王宮ではこの状況が伝わっていると思われます!そんな中に乗り込んでいくのは、大変危険な行いではないでしょうか??」
ドイルは力強く、サヤの発言に対して自分の分析した結果と意見を述べた。
そのドイルの意見に賛同し、ナルメルもその意見に追従した。
「私もそう思います……サヤ様。存在のはっきりしない者を確認するためのだけに、危険を冒してまでその存在を明らかにする必要はないと思われますが?」
「え?……でもさ、それ確かめないと先に進まなくない?もしかしたら、その盾に何か特別な力が宿ってるかもしれないじゃない?」
「ですが、その話は”物語”のようなものでございましょう?……存在の不明が判明しない状況で、敵地に乗り込むのは危のうございませんか!?」
サヤもナルメルの勢いに対し、少しだけ変に感じてそのことを気にした。
「……なんで?アンタそこまで、止めさせようとしてるの?まさかアタシが捕まったり殺されたりするとか思ってる?」
その返しに対し、言葉を詰まらせるナルメルにステイビルがナルメルを援助をする。
「サヤ様……ナルメルは貴女様のことを心配しておられるのです。今となってはこの状況で、サヤ様の力と知識を軽視するものはおりません。むしろこの状況に置いて必要な存在であると、この場にいる者たちがそう確信しております。ですから、サヤ様の存在が危ぶまれる状況を避けるために、ナルメルは心配しているのでございます」
「ふ、ふーん……って、何よ!?ハルナ、アンタそんな目で見るの止めなさいよ!!」
サヤは知らぬ間に、自分がこんなにまでも評価されていることに対しむずがゆく感じている。
その様子を見てハルナは、照れるサヤを可愛らしく思い優しい笑顔で見つめていた。
ナルメルたちは、初めはサヤの圧倒的な魔素の量に怯えて従うそぶりを見せていた。
だが、モイスを仲間に引き込んだことや様々なアイデアを打ち出し、その通りにに実現させていることから、純粋に尊敬に値する存在へと変わっていっていた。
それにここまで自分たちの待遇をよくしようとしてくれているだけでなく、人間たちとも共存できる案を実行しようとしている存在に疑うことはもうなかった。
「では……サヤ様は、これからどうされるべきだとお思いですか?」
ナルメルは、サヤの力を疑ってはいない。
だが、この計画が何らかの理由によって阻止されることがあれば、もう二度と安寧の日々は訪れないと感じている。
そのため、ナルメルはこれからの方針を絶対的な存在に問いかけた。
「……そうね。ちょっと旅人を装って潜入してみる?」
「でもさ、警戒されてるんじゃないの?」
「誰もアタシたちのことは知らないんじゃない?だから、アンタとアタシで乗り込んでみるってのはどう?」
「であれば、ソイに協力してもらうのはいかがでしょうか?あの者たちは商人であるため、怪しまれることなく王宮に近づけることができると思われますが?」
ステイビルの案が採用され、早速モイスティアに拠点があるソイの店に連絡を取り、その手配を行ってもらうに依頼をした。
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