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第六章 【二つの世界】
6-70 隠し持っている物
しおりを挟む「隠し持ってるって……なにを?」
「それが判れば誰も苦労しないっての!!!……ステイビル、何か思い当たることはない?」
サヤに問いかけられたステイビルは、腕を組んだまま十秒に満たない間、目を閉じて今までのキャスメルのことを思い返す。
王選の始まる前から、終わって王宮を追放されるまで……ステイビルには特にキャスメルに変わった様子は思い浮かばなかった。
「うーむ……申し訳ございません、これと言って何も。また何か思い出せましたら、ご報告いたします」
「頼んだよ、これによっては少し戦況が変わるかもしれないからねぇ」
「戦況……でございますか?」
ドイルが恐る恐る口を挟む、その行動によってサヤから怒鳴られることを覚悟しつつ。
だが、サヤは怒り出すこともせず、やれやれといったジェスチャーをしてドイルの質問に答える。
「いいかい?あんたたちはモイスたちの神々を崇めて生きてきたんだろ?中には特定の神だけを信仰して排除しようとする者もいるって聞いたけど?……あぁ、それがもちろん”一部”の国民だけってのはわかってるよ。そういう奴らですら、ある特定の神は大切に扱っているものだよ」
「まさか、キャスメルにはそれがなかった……と?」
ステイビルが最後のサヤの言葉を引き継ぐ、さらにそれを隣にいたナルメルが受け取った。
「だから、キャスメルは神々を”神”と思わない程の力を手にしている……そう言うことでしょうか?」
サヤは、案外早く最後まで結論にたどり着いてしまったことに不機嫌になったが、ちゃんと考えられる者たちがいて嬉しい気持ちにもなる。
「……そういうこと。っていうかさ、ここまで言ったらわかるよね。誰でもさ」
ハルナはサヤに急に顔を見つめられ、うっすらと額に汗を浮かべてただニコっと笑みを返すだけだった。
「ステイビルには、思い当たることはないの?」
次はナルメルが、ステイビルに再度思い当たることがないか確認した。
「王宮の中で生活をしていた時は、ある一定の周期で神々に祈りをささげる祭事がある。その時、我々は神々に忠誠を誓い祈りを捧げているが、キャスメルも同じように不満も言わずに行っていた」
「でも、それって黙っていたらわからない話だよね?表向きはそういう態度を見せてても、腹の中で何考えてるかはわからないってよくある話じゃないの?」
「確かに、その可能性については否定できません。ですが、突然そのような行動に出た理由については、これまで思い返してもその理由は見当たりませんね」
――カタン
それ以上進展がない中、重いものが傾いた音が鳴る。
サヤが近くの椅子に立てかけていた包みが、何らかの理由でテーブルの縁に倒れた。
「……あ」
ハルナがそれを見て、一つ声を上げた。
その声の音に、周囲の視線が一斉にハルナに向けられる。
普通ならハルナもその行動に対して怖気づいてしまうが、思いついたことを確認したい欲求が気恥ずかしさに勝った。
「ステイビルさん、王宮で国宝みたいなモノってないですか?盾とか剣とか?」
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