問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』

山口 犬

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第六章 【二つの世界】

6-58 案内人

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――時は少し遡る
場所は山の麓で、ようやく人間と亜人との緊張が解かれた直後のこと。




「よかったじゃないのさ……誰も怪我しなくって」


「ホント……あの槍が飛んできた時はどうしようかと思ったけど、ステイビルさんの言う通り近くにいてよかったわね」



森の影から見守っていたハルナとサヤは、お互いの感想を言った。
王国側の警戒も解け、ステイビルとドイルが町の奥に入っていくのが見えた。


「それじゃあ、そろそろ次の行動に移ろうか?」


サヤはそう告げて、ハルナの肩を叩き行動を促す。
ハルナもそれに頷いて、サヤの後を追っていった。



「あー、ナルメルさん。ちょっといい?」


警戒を解いたナルメルが、ドワーフの長老と町の中に入ろうとした時にサヤに呼び止められた。



「あ、サヤ様!……なんでございましょう?」


ナルメルの言葉も、最初に合った頃より親しみが込められている。
案外サヤの言葉もきついが、その裏に隠れた感情を読み取ってくれていたのだろう。
そのナルメルの応答を見て、ハルナは少し嬉しく思った。



「あのさ……あたし達これからグラキース山に登ってくるんだけど、道案内一人お願いできない?あ、できれば足の速いやつがいいかな?」


「えっ!?いまから……ですか!?」



驚くナルメルを他所に、サヤは当たり前のように自分の意見が正しいと伝えた。


「そう、今からよ。……足の速いヤツ、誰かいる?」


ナルメルは短い間だが、サヤの性格を理解していた……サヤの言葉に、三度目はないことを。



「……ジン、こちらへ」



名を呼ばれたエルフは、その言葉に従い自分の行動を中断し、ナルメルの傍に近寄る。


「ナルメル様、なんでしょうか?」



「ジン……これから、サヤ様とハルナ様の道案内をお願いします。グラキース山の頂まで」


「か、かしこまりました。ですが、なぜ私に?」


ジンはエルフの中でも、最速に行動ができる能力を持つ。
主に隠密行動による情報収集やその伝達による役目が多く与えられた。
エルフの庭のようなグラキース山の登山の道案内など、自分でなくとも問題ないと考えたジンはその疑問をナルメルに投げかける。
その瞬間、誰よりも早くナルメルが不快感を示してジンに対して緊張感のある言葉を告げる。


「ジン……今はあなたの意見を聞いていません。私は、貴方に指示をしましたね?それでこの”命令”を受けるのですか?それとも拒否をするのですか?」




その緊張感が伝わったのか、ナルメルから指示されたエルフは片膝を地面に付き頭を下げた。



「……その命、お受けいたします!」





こうして、ジンはサヤとハルナにこれからの行動の指示を仰いた。
サヤは、そのあとすぐに山に向かい満足気に歩きだした。



麓の近くから離れた場所に移動し、サヤは近くにあった石を手に取る。
そして、聞こえるような聞こえないような音量で医師に向かって何かをつぶやく。



「……よし。それじゃあ、後でこの石を頂上まで一度置いてきてくれない?」


「は?お二人は……一緒に行かれないのですか?」


「あんたは……警戒ってものをしないのか?始めていく場所にノコノコと行くわけないだろ?」


「で、ですが……その石は」


「アタシたちの国の秘術で、様子を探る術をかけたのよ。そうすれば、危険があるかどうか見れるからね。その後にゆっくりと登ればいいってこと……わかんない?」



「か、かしこまりました。で、では早速……」


「ちょっと待った!」



「な、何か!?」


「最後の仕上げがあるんだけど、これは他の国の人に見せちゃダメだからさ。アンタ少し離れてて」


「……?わ、わかりました」


「その後、術が発動するから姿を隠すけど、アンタはこの石をもって頂上まで持っていくんだよ。いいね?」



サヤの言葉を信じ、ジンは一旦この場所を離れた。
そして再び戻ってきた時には二人の姿見えず、任務の石が地面に置いてあるだけだった。









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