789 / 1,278
第六章 【二つの世界】
6-16 勘違い
しおりを挟むブロードがサヤの言葉に納得し、次はサヤからブロードに質問を投げかけた。
「この国……いまどんな状態なの?確か……王選は終わったんだよね?」
「はい。王選はステイビル様の双子の弟、キャスメル王が王座に座られております」
「フーン……さっきそこの男に聞いた話だと、アンタたちはステイビルさんを支持してたってことだよね?それにはなんか理由があったの?ほら……今までステイビルに金をつぎ込んできたとかさ」
少し煽り気味な言葉も混ぜながら、サヤはこの者たちがなぜステイビルを支持しようとしていたのかを聞いた。
「ステイビル様に支援をしていた……そういう面では間違ってはいません。ですが、それは理由があってのこと。そのために我々は出来る限りの支援をステイビル様に行って参りました。ですが、それは……この国をきっと……ステイビル様ならば……良くしてくれるだろうと……我々は……」
「ブロードさん……」
ブロードの声は、本当に悔しそうでこの王選の結果を受け入れられなさそうな感情が含まれている。
それを感じ取ってか、隣にいた男がブロードを気遣うように声をかけている。
「キャスメルさ……いえ、キャスメル王はそんなに……えーっと……悪い人なんですか?」
「あなた方は……そうですね。他の国から来たのであればある程度の事情は知っておられるかもしれませんが、キャスメルる王についてお話ししましょう……」
そう言ってブロードは近くにあった木でできた丸椅子を引き寄せて、腰掛けてハルナたちと向き合った。
「初めはキャスメル王はお優しいお方でした……双子ではありますが、ステイビル様を慕いいつも後ろに付いて回っていたのです。そのお姿はほほえましいものでした」
ハルナはその話を聞き、この部分は前と同じだと判断した。
そのまま話しは続き、徐々に知っているものとは変化をしていく。
それは、”ハルナ”の存在が出てこなかったからだと気付いた。
ハルナが知る記憶は全て自分が見てきたものであり、”もしも自分があの場所にいなかったら”などということは考えたこともなかった。
(この世界はもしかして……アタシがいなかった場合の世界!?)
だとすれば、ハルナはオリーブに対してはその地位を奪ってしまったことになっている。
しかし、こんな未来が待っていたのなら……果たしてそれはオリーブやエレーナ、ステイビルたちのために良かったのだろうか……
「あの……大丈夫ですか?具合が悪くなったのですか?」
ブロードの声にハルナは、自分の思考の中から呼び戻された。
「あ、いえ。大丈夫です……はい」
「そうですか……ならば、その続きを。そして、ステイビル様はキャスメル王の妨害を受け、全ての精霊の加護を受けることは適わず……」
「ちょっとアンタ。そういうけど、そのキャスメルってやつが妨害したっていう証拠はあるの?あるんだったら、それを元に異議申し立てすればいいじゃないの」
「いや……それは……」
その反応で、ブロードが言う妨害がキャスメルのものによるかは不確定であることが分かった。
だが、住人がステイビルたちに偽の情報を流したりしているところまでは掴んでいた。
しかし、それが住人の意思によるものか、誰かに指示をされたことかははっきりと分かっていない。
王選に関する情報で嘘を告げる事は重罪とされているとハルナも記憶している。
だが、それに関しては逃げ道がないわけではなかった。
――勘違いしていた
そう言って、そのことが証明されれば罪には問われない。
今までは、そういったものはいなかったが、今回は勘違いしている住民が多数いたとのこと。
「そ……そんなぁ」
ハルナは、そんなことが行われているとは信じられなかった。
「そんな……ステイビルさんが……一体何をしたっていうの」
ハルナの口から、そう言葉が零れ落ちた。
勿論ブロードたちも、ハルナと同じ気持ちだったがこれは戦っていかなければならないことだとステイビルに期待する者たちが団結をした経緯だった。
0
あなたにおすすめの小説
俺の婚約者は地味で陰気臭い女なはずだが、どうも違うらしい。
ミミリン
恋愛
ある世界の貴族である俺。婚約者のアリスはいつもボサボサの髪の毛とぶかぶかの制服を着ていて陰気な女だ。幼馴染のアンジェリカからは良くない話も聞いている。
俺と婚約していても話は続かないし、婚約者としての役目も担う気はないようだ。
そんな婚約者のアリスがある日、俺のメイドがふるまった紅茶を俺の目の前でわざとこぼし続けた。
こんな女とは婚約解消だ。
この日から俺とアリスの関係が少しずつ変わっていく。
【作家日記】小説とシナリオのはざまで……【三文ライターの底辺から這い上がる記録】
タカハシU太
エッセイ・ノンフィクション
書けえっ!! 書けっ!! 書けーっ!! 書けーっ!!
*
エッセイ? 日記? ただのボヤキかもしれません。
『【作家日記】小説とシナリオのはざまで……【三文ライターの底辺から這い上がる記録】』
カクヨムの週間ランキング1位(エッセイ・ノンフィクション部門)獲得経験あり。
【完結済】悪役令嬢の妹様
紫
ファンタジー
星守 真珠深(ほしもり ますみ)は社畜お局様街道をひた走る日本人女性。
そんな彼女が現在嵌っているのが『マジカルナイト・ミラクルドリーム』というベタな乙女ゲームに悪役令嬢として登場するアイシア・フォン・ラステリノーア公爵令嬢。
ぶっちゃけて言うと、ヒロイン、攻略対象共にどちらかと言えば嫌悪感しかない。しかし、何とかアイシアの断罪回避ルートはないものかと、探しに探してとうとう全ルート開き終えたのだが、全ては無駄な努力に終わってしまった。
やり場のない気持ちを抱え、気分転換にコンビニに行こうとしたら、気づけば悪楽令嬢アイシアの妹として転生していた。
―――アイシアお姉様は私が守る!
最推し悪役令嬢、アイシアお姉様の断罪回避転生ライフを今ここに開始する!
※長編版をご希望下さり、本当にありがとうございます<(_ _)>
既に書き終えた物な為、激しく拙いですが特に手直し他はしていません。
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載させていただいています。
※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。
※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。
※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。
※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。
※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。
※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。
※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。
戦姫のトロイメライ~断罪される未来が視えたので先に死んだことにしました
志熊みゅう
恋愛
十三歳の誕生日、侯爵令嬢エディット・ユングリングは、自分が死ぬ瞬間を"夢"に視た。
卒業舞踏会で、婚約者であるフィーラ帝国・第一皇子マティアス殿下から、身に覚えのない罪で断罪され、捕らえられる。傍らでは見知らぬピンクブロンドの令嬢が不敵に微笑む。貴族牢のある北の古城に連行される途中、馬車ごと“死の谷”へと落ちていった――そんな妙に生々しい夢。
マティアス殿下は聡明で優しく、エディットを大切にしているように見えた。だから誰もその"夢"のことを気に留めなかった。しかし、兄の怪我、愛猫の死、そして大干ばつ――エディットの"夢"は次々と現実になっていく。ある日、エディットは気づく。この"夢"が、母の祖国・トヴォー王国の建国の軍師と同じ異能――"未来視"であることに。
その頃、一年早く貴族学院に入学したマティアス殿下は、皇宮から解放され、つかの間の自由を知った。そして、子爵令嬢ライラに懸想するようになる。彼女は、"夢"の中で冷酷に微笑むあの令嬢に瓜二つ。エディットは自分が視た"夢"が少しずつ現実になっていくことに恐怖した。そんな時に視た、黒髪の令息が「愛しているよ」と優しくはにかむ、もう一つの『未来』。エディットは決心する。
――断罪される未来を変えたい。もう一つの未来を自分で選び取る。
彼女は断罪される前に、家族と共に自らの死を偽装し、トヴォー王国へと身を隠す。選び取った未来の先で、エディットは『戦姫』として新たな運命の渦に飲まれていく――。
断罪の未来を捨て、愛する者のために戦う令嬢の恋愛ファンタジー!
期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています
ぽんちゃん
BL
病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。
謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。
五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。
剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。
加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。
そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。
次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。
一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。
妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。
我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。
こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。
同性婚が当たり前の世界。
女性も登場しますが、恋愛には発展しません。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
【完】幼馴染と恋人は別だと言われました
迦陵 れん
恋愛
「幼馴染みは良いぞ。あんなに便利で使いやすいものはない」
大好きだった幼馴染の彼が、友人にそう言っているのを聞いてしまった。
毎日一緒に通学して、お弁当も欠かさず作ってあげていたのに。
幼馴染と恋人は別なのだとも言っていた。
そして、ある日突然、私は全てを奪われた。
幼馴染としての役割まで奪われたら、私はどうしたらいいの?
サクッと終わる短編を目指しました。
内容的に薄い部分があるかもしれませんが、短く纏めることを重視したので、物足りなかったらすみませんm(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる