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第五章 【魔神】
5-75 面会
しおりを挟む「……よく戻ってきてくれた、二人とも。それに……他の者たちも……礼を言う」
キャスメルは、王からの言葉が胸に突き刺さる。
既にモイスから王には、キャスメルの旅の状況は伝わっていることだろう。
ハルナたちも、この場にクリエがいないことに疑問を感じているに違いない。
しかし、この状況で自分のことだけを話すわけには行かない。
それ以上に何かがこの王国に起きているはずだから……
「キャスメル……あなたも大変でしたね。ですが、今はこの国に迫っている危機について力を貸していただきたいのです……いいですね?」
王の隣にいる母親のローリエンが、キャスメルの苦悩を辛い思いを理解しながらもそれ以上の災害に対して立ち向かう必要がある……そういっているのだ。
これが国の上に立つ者の使命……そうだとしたら自分には向いていないのではないか。
この旅の中で、何度も理由は違うがそう思うことが度々あった。
仲間のことを信頼していなかったり、それが改善に向かおうとしたとたんにクリエが攫われたり。
キャスメルは、自身に降りかかる不幸に嫌気がさしてきた。
王選にしても、自分の代ではなぜこんなにトラブルが起きるのだろう……
(クリエがもし無事に戻ってきたら、王選は辞退して全てをステイビルに任せたい)
王都に戻る道の間、このことがずっとキャスメルの頭の中にあった。
怖いという感情はない、その名の感情は水の町の騒動の時からキャスメルの中から消失していた。
大精霊は、その出来事の際の感情だけと言っていたらしいが、自分の中では何か未知の者に対しても、自分に対し害をなす大きな存在であっても、それが怖いという感情を覚えることはなくなっていた。
もちろん、あの時のことを思い出したとしても。
ただ、キャスメルはその感情が欠如したことにより、何のメリットがあるかわからなかった。
いまも父親である王が、深刻そうな顔でなやんでいることもどうしてなのかが伝わってこない。
キャスメルはそんなことを頭に浮かべていると、グレイネスは次の言葉をつなげる。
「ステイビル……お前の見てきたものを報告してはくれないか?
「はい……父上」
ステイビルは立ち上がり、一つ咳払いをしてから語り始めた。
西の王国で起きたこと、見てきたことを全て。
山脈の麓での出来事、東の国から送り込んだ第一兵団、住民の虐殺、建造物の破壊、王宮での出来事……
そして、その惨劇を繰り広げたのはオスロガルムという名をもつ魔神であったこと。
そのことを証明するかのようにシュナイドもこの場に姿を現し、ステイビルが話したことが正しいことを告げる。
キャスメルは、この場に現れた火の大竜神が現れたことに対し驚きはしない。
だが、ステイビルの周りだけこんなにも神々が集まることに対し、不公平さにたいして怒りが沸き起こってくる。
(どうして自分にはそういうった味方が巡ってこないのか……)
キャスメルの中に、また悪い考えが浮かび始めそうになった時、後ろの扉がノックもなしに開きこの場に新しい存在が登場する。
「あら、皆様お集まりのようね」
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