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第五章 【魔神】
5-40 終えた役割
しおりを挟む「……というわけで、シュナイド様がサナの傍に付いていただけることになったわけです」
ブンデルの説明の内容に対して、事の大きさに誰もすぐに反応することはできなかった。
それでもこの場で何かを言わなければ自分の存在意義が問われると、おかしな使命感からこの場の流れを動かすために何とか無理やりにでもエレーナは発言をした。
「ということは、サナ。あなた火の大竜神……シュナイド様のお願いを受けたってことなのね?」
「そうですね……シュナイド様がステイビル王子の旅に協力してくれるのであれば、これから先の旅に何かっても私たちの危険が減っていいのではないかと思ったのですが……ま、まさか。勝手に決めてはダメでしたか!?」
ステイビルはサナの表情を見て、自分の単独の判断が誤っていたのではないかと怯えているのを感じ取り問題ないことを告げた。
「い……いや、そんなことはないぞ、サナ。というよりも、話を聞く限り我々に協力をしていただけるというよりも、サナのことを……」
『王子よ……ワシはサナとの約束により、お前たちに手を貸す。そのため、お前のその心配は無用だ』
「……あ、ありがとうございます!」
シュナイドは、ここに来るまでにやり取りをした内容が再び繰り返されないように、ステイビルの言葉を遮ってその心配が問題ないことを告げた。
次にソフィーネが今の現状が変化したことによる問題点を指摘する。
「……先ほどのお話ですと、この辺り一帯に覆われていたガスはシュナイド様から流れていたものであると思われます。このガスはいまフレイガルの中で貴重なものとなっておりますが、そちらへの影響は?」
今までフレイガルの町の中では、シュナイドから漏れ出ていたガスを使って生活をしている者たちのことと、それを管理している者たちがいる中でそれぞれが生計を立てている者たちがいる。
この状況が変化すると、その者たちの生活を奪うことになってしまうのではとソフィーネは考えた。
そのことに関しては、シュナイドは問題がないことを告げる。
今までの場所に自分の分身を置くことによって、今までと同じようにガスを噴出できるとのことだった。
これまでは自分の身体の傷口から自然に漏れ出していたものだが、傷が塞がった今でもそれらを創り出して噴出し続けることは可能だという。
ハルナはそのことに対して、ガスは出さない方がいいのではないかと質問をしたが、ソフィーネはそれに対し今まで通りの方がいいとハルナに説明した。
ステイビルもそのような状況の方がよいと提案する。
生活のことは勿論だが、この場所に容易に入り込めない方が今までと同じくる大きな存在の力を犯されないで済むと考えたからだった。
シュナイドほどの存在であれば、何か問題が起きることは少ないと思うが、サヤという存在などを考慮するとそのリスクを減らすためには、何も起きていない今の状況を継続させることの方がよいとステイビルは判断した。
その意見にはガブリエルも賛成し、この一帯は今まで通りの状況にする方がよいということに決まった。
「あの……それでは……」
一通り話が終えた後に、サナが小さな声で最終確認を行う。
その言葉に、ハルナもエレーナも一つ頷いてステイビルに目線を送った。
「では、シュナイド様の同行は問題な……いや、シュナイド様。どうか我々に力をお貸しいただけますようよろしくお願いいたします」
そう告げて、ステイビルは再びサナの方の上にいるシュナイドに対し、片膝を地面に着けて力を貸してもらえることに敬意を示した。
エレーナたちもそれに倣って、ステイビルと同じ姿勢をとった。
『はぁ……これでやっと、あたしの仕事も終りね!シュナイド、もう大丈夫だと思うけどまた何かやらかしたら飛んでくるからね!……サナ、こいつのことよろしくね!』
サナの肩に乗ったシュナイドからは、鼻で笑い嘲る音が聞こえた。
「かしこまりました、ガブリエル様。この度はお助けいただき、ありがとうございました!」
サナとブンデルは、ガブリエルに向かって頭を下げた。
それに対しガブリエルは手をひらひらとさせて、問題がないことを示した。
『……それでは、まずはワシの方から始めるとするか』
シュナイドはそう告げると、サナたちを光で包み加護を与えていった。
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