問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』

山口 犬

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第四章  【ソイランド】

4-135 捜索

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「王子が……ステイビル王子が……見当たらないんです!?」


メリルと行動していたステイビルが、メリルが目を離した隙に消えてしまったという。
開いていなかった建物の扉が開いていたため、中に入って確認をしたがその中にもステイビルの姿は見えなかった。
敵の襲撃を恐れ、ハルナたちは一塊になり他の建物の中も探索する。
だが、どこにも探しているステイビルの姿も、その痕跡も見つけることはできなかった。


「どうしましょう……もしも、王子の身に何かあったら……私……わたし!?」


メリルは両手を顔で覆い、足の力が抜けて膝から崩れ落ちて床の上にへたり込む。


「落ち着いてください!王子は大丈夫です、きっと大丈夫ですから!」


あまりにも取り乱すメリルの肩に手を置いて、安心させるように話しかける。
エレーナも分かっていた。
王子にもしものことがあったなら、一番傍に居た者が責任を感じるだろう。
そして、真っ先に疑われてしまうことも。

ガラヌコアで三組に分かれて、それぞれが探索を行っていた。
他のチームでその姿を見た者はいない、馬車の警備をしていたメイヤもその様子を見てはいなかった。
メリルを落ち着かせている間、メイヤとソフィーネがその周囲を調べて回ったが、砂の地面にステイビルの足跡すら見つけることはできなかった。

ハルナたちは今の状況を整理し、この問題に対する策を練る。
メリルが落ち着きを取り戻したのも、エレーナが掛けた言葉のおかげだった。

この状況はここに居る全員の責任であること、誰にでも起こりえた問題であることを淡々と説明をした。
メリルもエレーナの必死さを目にして、次第に冷静さを取り戻していった。
恐怖に怯えるよりも、まず自分がやれることをするべきだという思いが心の中に浮かび上がらせることができた。


そこからこの村の中の再度の探索と、この町の周囲の探索が必要であるという結論に至る。
その役目を誰にするかという問題については、これ以上の被害を拡大させないために町の周囲の探索についてはメイヤとソフィーネでおこなってもらうことでその案は了承された。

そして、早速行動を開始する。


ソフィーネたちは、馬車から武器を数点取り出し外に向かっていった。
もし万が一、何かが起きた場合や判明した場合、ハルナたちは精霊使いの力を使い空にその力を打ち上げることにした。
ソフィーネとメイヤは、連絡用の花火を打ち上げることで、ハルナたちに知らせることにした。
そして、決して単独では無茶な行動はしないことと約束を交わした。


ハルナたちは、何が起きても大丈夫なようにそれぞれの気配を感じながらまとまって行動をする。


先ほどのこれからの行動を検討する際に、大きな疑問が生じていた。



『ステイビル程の実力がある者が、何一つ痕跡も残せずに失踪した』ということ事実に。



そのことが意味するものは、よほど腕の立つ者か精霊使いのように何らかの異能者であることが考えらえる。
それと、その目的についても意見が交わされた。

殺害が目的ならば、その身を隠したことに対しての関連性は低いというのがメイヤとソフィーネの見解だった。
これについては、暗殺者としての視点からの意見だった。
ステイビルの命だけを狙うのであれば、その場で絶命させるだけで目的は終了する。

身をさらうことは、すぐにはその命まではとられることはなく、交渉や本人から情報を引き出すために行った行動である可能性が高いと告げた。
その言葉にメリルはホッとした表情を見せたが、相手の目的がどのようなものか判らないため楽観できない状況に変わりはなかった。
そこから目的について意見が出始めたが、失踪した時間が長くなるほど追いつくことが難しくなるため、それらを考慮しつつ行動を開始することになった。


ハルナたちは、一つ一つ建物の中や周囲を複数の目でステイビルの痕跡を捜し歩いた。
そして、再びステイビルが姿を消した建物に戻ってきたが、結局何一つその痕跡を見つけることはできなかった。


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