問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』

山口 犬

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第四章  【ソイランド】

4-127 町の巡回

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話し合いを終えた翌日、ステイビルはさっそく行動を開始する。
今まで他の者に任せていたものを取り戻そうとするような、鼻息の粗さを感じ周囲の者は心配した。



ステイビルたちはパインとグラムの申し出により、この屋敷を拠点とさせてもらうことになった。
ポートフ家の屋敷はキャスメルの近くにいる精霊使いが出ている家でもあり、公平であることや変な噂の元にさせないためにも長い間世話になっては良くないという意見も出たため、ありがたくパインの好意を受けることにした。


グラムも、ようやく我が家に帰ることができるようになった。
だが、今は指令本部での仕事が多く、その身を我が家に置くことができない状況が続いた。
それでも今までの廃墟の中に身を潜めていたころとは異なり、状況が落ち着けば仕事を終えて帰宅できるようになるという安心感はグラムの中で力強い希望となり今の状況を乗り越えるための原動力となっていた。

パインも今までできなかった町の改革についてステイビルと相談を始め、再度水の精霊使いの支援を依頼することにした。
メリル一人で町の中の水量を賄うこともできるが、そうなると優秀な人材が他の仕事ができなってしまう。
そのために、王宮精霊使いとなった者の初期に請け負う仕事としておおよそ一ヶ月ほどの期間を交替で支援を行う仕事がある。
その支援を受けたいと、パインはステイビルに相談をした。
当然そのことに関しては問題がないと告げ、ソイランドの大臣として王国に進言する際にステイビルも名を連ねることを約束した。
その他にも早急克つ実現が可能な要望をまとめ、それらと一緒に持っていくための作業にステイビルとパインが中心となり草案を練り上げていった。


ハルナは、ソフィーネ、メリル、アルベルト、ソフィーネと一緒に町の中を歩いて行く。
町の中では未だ、あの日の夜の騒動を知らない者が多い。
徐々にその情報は広がっていくことになる、今までべラルドに抑圧されていた者たちがどういう行動に出るか。
もし、暴動が起きることになればそれを制するために、その姿を控えめにして町の中を歩いていく。
これは、各拠点を襲撃してくれた者たちへの気分転換も兼ねていた。

ちなみにブンデルとサナはこの町の周囲を見てみたいと言って、町の外を歩き回っていた。




ハルナたちは、石畳の公園のような広場で休憩をした。
エレーナはさっそく石のベンチを見つけ、座面に付いた砂を手で払って腰を下ろす。
接地に日の光で熱くなった熱を感じるが、すぐに慣れて我慢するために溜めていた息を吐きながら背伸びをする。



「うぅ……んっと。それにしても、町の中にはそんなに変わった様子は見られないわね」


「町の住人は様々な規則には縛られていただろうが、上手に生活をしていたのかもしれないな」


エレーナの言葉にアルベルトが、自分の感じたことを話した。
確かにこの町の中で、べラルドに逆らうようなことをしなければ特に何も起きていなかった。
ロースト家の私設警備兵でさえ、逆らうことさえしなければその存在を容認されていたのだから。

そうなると町の住人よりも危険なことが起こりやすいのは、廃墟の住人ではないかという意見も出た。
それに関しては、クリミオたちとシーモが一緒に廃墟の中の様子を見てもらっている。



「……どうしたのハルナ?疲れたの?」



エレーナの隣に座り、ぼーっと地面を見ている様子のおかしいハルナに声をかける。




「え?ううん、大丈夫よ。エレーナ……」


「もしかして、あの男……ユウタっていう人のこと考えてたの?」

「うん……どこに行っちゃったんだろうって」




エレーナはハルナが、ユウタという人物に対して恋心以外の心配をしているのだと知っている。
この世界ではない別なところから一緒に来た人物の一人なのだから。
だが、ユウタはヴェスティーユとつながりがあり、ハルナの思っていた以上につながりは強いようだ。
その後ろには小夜がいると思われるが、あの日以来姿を見た者はいなかった。





「……ハルナさまー!!」



遠くから、ハルナを呼ぶ声が聞こえてくる。
呼ばれた方向を向くと、そこにはクリミオとシーモを先頭にして後ろに数人の人影が見えた。






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