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第四章 【ソイランド】
4-84 指令本部での攻防13
しおりを挟む「何がそんなに……可笑しいのかしら?私にも教えてもらえる??」
「精霊使いの姉さん………クリミオってやつはそんなことが出来るようなタマじゃぁないんですよ」
「え_!?どういう……こと?……さっき私を倒そうとしてた時やグラムさんに襲った時も”殺せ”って命令してたじゃない!?」
「それは……あっしらの中では”掛け声”みたいなもんですよ……それにそうでも言わないと相手を脅せないですし……」
「”仲間の信頼も得られない”……か?」
男は言葉を引き継いでくれたアルベルトの言葉に、黙って頷いて見せた。
「そんなモノのために……!?で、でもさっきの女の人……薬漬けになってたようだけど?あれもアンタたちがやったんじゃないの!?」
「そ……それは違うぞ!俺たちは決してそんなことはしない!!」
「何言ってんの!あの様子は、正気じゃなかった!完全に薬によって意識が混濁していたじゃないの!?あなた達のせいじゃないって言うなら誰のせいっていうのよ!!ふざけないで!!」
「あいつは……あの女は元から、中毒者だったんだ」
「うそ!そんなこと……信じられるわけが……!?」
「あぁ、別に信じてくれなくてもいい……俺だって神様とか教祖とかの類は信じちゃいないが、このことは”事実”なんだよ」
そう言ってグラムは、あの女について話し始めた。
彼女は元々薬に溺れていた。
だが、クラッシュアイスは中々手に入り辛く、安い品でもないため何とか楽に手に入れられる方法を探していた。
そこで思いつた事が、手に入れやすい者に近づくことだった。
本来なら、薬の大本の者と付き合うべきであるところだが、そんなものたちを相手にすれば自分の身に起きることが容易に想像できた。
その次に彼女が考えたことは、その者たちと次に繋がっている者たち……警備兵だった。
いきなり全ての力を持つ上層の人間とは接触が不可能と感じた女性は、一番末端の者から繋がっていく作戦を思いつく。
いざとなればこの”身体”を使うことも考えた、いくら多くの人に許したとしても悪党どもよりかは悪いことにならないだろうと踏んで。
しかし、その判断は最終的には謝っていたことになる。
司令部に出入りするものを探り、色仕掛けで落とせそうな人物を探し出した。
その彼は一般兵で指令本部の警備を主な任務としていた。
そのため上層部の者たちの話も聞きやすく、情報を集めることが出来た。
そして、その女性は幾人かの警備兵をたどり、べラルドまでたどり着いた。
べラルドはどんな手段でも使い、自分の元までたどり着いた褒美に、望むだけのクラッシュアイスを渡すようにクリミオに指示し女の管理を任せた。
クリミオはこの女性を逃がそうともしたが、本人がそれを拒否した。
本来の目的である薬を自在に使用していいという環境を捨てることが出来なかった。
その女性は、結局上層部の玩具として扱われることになった。
「……そ、そんな。それじゃさっきのは女性は」
「自分で、そうなることを望んだ結果だ……もう、抜け出すことはできないだろうな」
クリミオたちは扱っている商品の特性は良く知っている、その常用者がどういう結末を迎えるのかも。
だからこそ、クリミオは止めた。
だが、相手はその忠告を拒否して自ら求めた。
「クリミオは、いままで始めて使おうとするやつには売ったことはないんだ。だが、さっきのような奴には売る……それがせめてもの俺たちのケジメだったんだ」
クリミオたちが育った集団の中では、そうしなければ生きていけないことは知っている。
だからこそ、クリミオたちが行ってきた判断は危険な判断でもあった。
そこをうまく生き延びてこれたことからも、クリミオの鼻の良さが伺えた。
今まで黙って聞いていたグラムが、一つ頷いて決断した内容を口にする。
「……クリミオよ。お前たち、俺に力を貸してはくれまいか?」
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