問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』

山口 犬

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第四章  【ソイランド】

4-57 発見

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「……」


「まだ、気持ちが変わらないのか?」


「……」



「あぁ、そういえばいまステイビル王子がソイランドにいるそうだ。王選の途中で寄っているらしいぞ」



「……」




「フン……いつまで、その意地をはっている。はやくいい返事が聞きたいものだな」



べラルドはそういうと、重い鉄の扉を閉め部屋を出ていく。
外からは再び鍵が掛けられ、この空間の中に再び一人きりとなる。
いや、もう”一人”かけがえのないパートナーがいる……パートナーは小さな光を発し自分の周りをクルクルと回って心配する。
会話はできないが、地下に掘られた冷たい湿った気の滅入る空間の中では”一人ではない”ことが、とても心強く感じられる。
べラルドは、一人きりで閉じ込めて精神が弱るのを待っているのだと判断した。
局部しか隠せていない服装でいつまでも放置されて心が折れないでいられたのは、この小さなパートナーのおかげだった。


それでも、”いつまでここに閉じ込められなければいけないのか?”という不安がまとわりついて離れない。
最近は昔のことがよく頭の中に思い浮かぶ、やることがない分そういうところに頭が使われているのかもしれない。

「ビル坊……キャス坊……」


メリルは鎖でつながれた腕で、手を胸に当てて口にした名の者へ思いを馳せる。







真夜中……
月の明かりが周囲を照らすも、この辺りにはこの建物以外に目立った建造物や森など姿を隠せるものはない。
メイヤはカムフラージュ用に布を羽織り、砂とその間から身を伏せて建物の監視を始めてから二日が過ぎた。
その間、二、三台の馬車が近くに停められ、荷物の積み下ろしがおこなわれていた。

その中身がどんなものかまでは確認はできないが、木箱や樽を出し入れしていた。
馬車に詰め込むときには軽く担いでいたので、あの小屋の中で暮らすための食料などが運び込まれていたのだろうと推測する。
しかし、気になるのは”その中で何が行われているのか?”だった。

相手の戦力などが不明のため、何があるのかを探るため二メイヤ一人で乗り込むことは危険だった。



(さて……どうしたものかしらね)


と、その時辺りが次第に暗くなり始めた。
空を見ると、雨は降らないが月の明かりを遮る雲が流れてきて、辺りを闇に包んでいく。


――ガタン……ゴトゴト


素の暗闇を待っていたかのように、見張っていた小屋から一台の馬車が走り出した。
その馬車は今までの荷物の運搬用のものとは異なり、地位が高いものが乗る移動用の馬車だった。



「あら……ちょうどいい、タイミングね」


メイヤはその馬車には、この場所を任されている要人クラスの人物が乗っていると判断した。


メイヤは一日ぶりに身体を起こし、身を低くかがめた。
布で顔を数回巻付け、目だけを隙間から出して顔を隠す。
腰の両側に付けた短剣の一つを手に取り、メイヤは闇に紛れて建物に近付いていく。

移動を開始した同じタイミングで砂漠には風が吹き始め、砂ぼこりが視界を遮りメイヤの姿を隠してくれた。
この建物の外には常時見張りはいないが、定期的に外に出て周囲を簡単に見回っている
その際には犬を連れていた、臭いによって敵の接近を素早く感知するために。


メイヤは犬の存在を知ってから、その対策をとっていた。
この建物の周りに、ある粉を入れた袋を撒いていた。
その袋は、無臭だが犬の嗅覚を麻痺させることのできる粉が入っていた。
人にはさほど影響がないが、人間よりも精度の高い嗅覚を持つ犬には効果が高かった。
これは、諜報員だけに製法が伝えられる道具の一つだった。


これにより、メイヤは怪しまれずに建物に近付くことが可能となった。




メイヤは建物の壁に背を合わせ、周囲を確認する。
そこには気付かれた気配はなく、未だ周囲は雲によって遮られた月光が届かないまま薄暗い闇が続いている。


壁に沿って歩き、今まで見てきた建物の裏側に出た。
そこには少しだけ石の板が地面から浮き出ているような不自然な場所がある。

「……?」



メイヤは警戒しながら近づいて行くと、地面にすれすれの場所に鉄格子の窓が見えた。
微かに漏れる空気に”人の臭い”が含まれているが、その先には誰がいるのか、敵なのか味方なのかもわからない状態。
メイヤは、この状況をどのように扱うべきかメイヤは考えようとした……が、思考は外から止められることになった。



「だれ……そこにいるのは?」


この空間の中にいる者は、音量を落とした声で窓に向かって話しかけている。


「……まず、そちらの名を聞こう」


メイヤは中からの質問に対して、質問で返した。
いまこの場所にいる理由は、ソイランドの周辺についての調査を命令されている。
ある人物の救助ではない。

だが、この騒動に関わる人物の可能性を考慮し、まずは名前だけでも確認をする。
もちろん、望む答えではなかった場合はすぐにこの場を立ち去るもしくは接触した証拠を”消す”つもりでもあった。




「私の名は……メリル。メリル・チェリーと言います。べラルドという男に捕まり、この場所に幽閉されています」







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