問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』

山口 犬

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第四章  【ソイランド】

4-22 ふたたび

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「それでは、明日はハルナの知人を助けるためにユウタという男性ともう一度接触することにするが……それでいいか?」


ステイビルの言葉に一同は頷く。
何が起きても対応できるように、今度は全員で乗り込むことになった。


ハルナはユウタに対して、”特別な感情はない”とステイビルに言い切った。
その言葉の中心にあったものはステイビルへの感情を考慮した発言ではなく、自分の身の潔白を証明するための発言だとエレーナは感じ、ステイビルに同情の気持ちを寄せた。


エレーナもステイビルも……アルベルトさえ、ユウタの話を聞いた際に”助ける必要はない”という意見に達していた。
しかし、ハルナの知人を助けようとする顔を見ると断ることができなかった。
どんなタイプの人間であれ、昔のことを知る人間がこの世界にも存在していることはハルナにとって心強いことだろう。
フユミの話を聞いたときは、エレーナも胸の奥に刺さるような痛みが走っていた。
今回はまだ、助けることができるかもしれない状況であるがゆえに、ハルナの気持ちがそのように傾いていることも十分理解できていた。


こうして、ステイビルたちはハルナの意見と感情を尊重し、ユウタをあの場所から救い出すことが決定した。本人が拒否した場合は、手助けをしないという条件付きで。




ギリギリまで準備を整え、ユウタの居住地に到着したのは翌日の日が落ちる寸前のところ。

ソフィーネが町の者たちに聞いたところ、この時間が一番廃墟の中で人が少ない時間帯とのことだった。
日中の町内活動で出た廃棄物を、廃墟の中の住人が回収しに来るのが日課とのことだ。
町の警備兵も、ある時から町の衛生や秩序が乱れるとして取り締まっていた。
しかし、それを始めると略奪や強奪が増加しさらには、町の中にゴミが溢れることになった。

そのため、ソイランドはこの活動を認めることになった。

廃墟の中で生きる住人はいま、自身や手を組んでいる仲間や家族と一緒になって縄張りで今日の食事を確保しているところだった。






アルベルトとソフィーネは建物の周囲を警戒し、ブンデルとエレーナは建物の中の通路を確保する。
入り口の直前までステイビルと入り、何かあれば中のハルナを助けるという作戦でいくことで決定した。


入り口をアルベルト、裏口をソフィーネがおさえる。
一階の室内をエレーナとブンデルとサナが見守る中、ハルナとステイビルが狭い階段を上がっていく。
上り切った階段に続く廊下を進み、ハルナは扉に手をかけゆっくりと開いた。

その背後には、ステイビルが剣の柄に手を掛けて背後を守っている。


「こんばんは……」


小さな声で、声をかけたがその返事は返ってこない。


「チェイル……さん?……ユウタ……さん?」


ハルナは部屋を区切る布を開き、薄暗い部屋の中を覗き込む。
その奥からは、声にならないうめき声のような声が聞こえてくる。
窓から向かいの建物の隙間から入り込んだ西日がそこにいる人物を照らした。


「――ユウタさん!!」


驚きの声を上げたハルナのことを気遣い、


「……どうした!ハルナ!!」


ハルナの声に応じて外で待機していたステイビルが、剣を抜いて部屋に入ってきた。
だが、部屋の中を見て異常な状況に動きが止まる。


「お前たち……何を!?」



全裸にされたユウタは、机の上で手足を縛られた状態で身動きが取れないように縛り付けられている。
口には汚い布が押し込まれ、言葉を発することが禁じられていた。
そんな身動きの取れないユウタの上に、同じく全裸でまたがり下腹部を合わせて腰を揺らしている見覚えのある少女の姿がある。



「ヴェスティーユ!!!あんた、ユウタさんに何やってんの!!!」


「あははははっ!!なにって、この行為がみえないの!?楽しませてあげてるんだよこの男をね!」



そういうと同時に、ユウタの身体はビクビクと動いて、ヴェスティーユは腰から身体を浮かせた。
太ももからは液体が垂れ、その存在が行為の結果の意味を告げている。


その言葉にイラっとしたハルナは、風のカッターを数個浮かび上がらせた。



「あんた、それでやるつもりかな?……この男に当たらなければいいけど……ねぇ?」



ヴェスティーユは裸のまま、身動きの取れないユウタに覆いかぶさり胸部の突起を舐めまわした。




「何してんの!……とにかく、ユウタさんから離れなさい!」


「何言ってんだ……始めに”手”を出してきたのは、この男なんだよ?そこからずっと面倒見てあげてるのにさ……何か勘違いされているみたいで気分が悪いわねぇ」


ヴァスティーユは不機嫌に起き上がり、自分だけ衣服を身に付け始める。
部屋の中には、独特の匂いが充満している。



「嘘!ユウタさんは……そういう人じゃない!!」


「へぇーアンタこそ、この男の何を知っているっていうの?……あなた達がこんな原因になったのは、この男のせいだって聞いているんだけど?」


「それ……どういうこと?」


「……本当に何も知らないんだね?この男が小夜って言う女を狂わせたことを」



ユウタは必死に抵抗をして暴れていたが、その事実をハルナに告げられて静かになった。









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