問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』

山口 犬

文字の大きさ
404 / 1,278
第三章  【王国史】

3-236 東の王国40

しおりを挟む






「すみません、隠すつもりはなかったのです。ですが、まだ検討の段階でこのことをお伝えするのはどうかと……」


「何を言うか、ブランビート!今回このことをお伝えしなかったのは、我らの責任であろうが!この事は最初にお伝えしておかなければならなかったのだ」


「そうですね、初めに知っておけば今回の対応も少し変わったかも知れませんね……」



二人はエイミの言葉が突き刺さり、胸になんとも言えない痛みが生じた。

エイミが言う通り、始めに知っておけば対応の仕方もかわっただろう。
こちらだってその気がないわけではなかったのだから。

このような状況になってしまっては、万が一これからの想い合う仲になったとしても多少はギクシャクしてしまう部分が残ってしまうことになるだろう。




「でも、反対に考えれば良かったかも……ね」


「え?……あ!あぁ、そうかもね」



セイラの言葉によってエイミの頭の中に浮かんだのは、ニッコリと笑っている自分の父親の顔だった。


「確かにうちのお父様にその条件を知られていたら、こちらの意思に関係なく強引に嫁がされることになっていたでしょうね……」


「そうよ、エイミ。それに今回の建国に協力することだって、もしかしたら”村にはいなかった一緒になってくれる男性を見つけることができるかもしれない!”くらいにしか思ってないかもね」




「いや、あの村長様はそんな方ではないと思うのですが。村民の皆様のことを考えて……」




エンテリアの二人の父親へのフォローの言葉に、エイミもセイラもフルフルと首を横に振った。



「あなた達の目には、そう映ったのでしょうけどね」

「私たちはずっと、お父様のことを見続けていたのよ」




エイミたちの父親は、村民にも慕われていた。
小さい頃は、その姿にも威厳と尊敬の念を感じている部分もあった。
”自分の父親はなんて立派な父親なのだ”――と

だがそれも、小さい頃の間だけであった。


エイミもセイラも成長し、自分たちのことは自分でできるようになった年齢のころ父親の行動が気になり始めていた。
男の友達と一対一で一緒にいると、それを見つけた父親は不機嫌な顔をして近づいてくるのだ。
そういうことが続くと、どの男性もエイミトセイラには近づこうとしなくなっていた。

だが、今では”早く良い相手を見つけて親を安心させてほしい”という。
そのことに腹を立てた娘たちは、昔父親が男友達を拒絶していたことによって誰も近づかなくなったことを告げる。

その答えは”本気でお前たちと付き合いたいかどうかを試していたのだ”という。




当時十歳くらいの子供に対して、全力で大人の力と村長の威厳で迫れば子供は誰も近寄ることはできないだろう。


母親とでかけたときも、”良いお方なんだけど娘さんのことになると……ねぇ”と言われ、困った笑顔の母親の表情は今でも忘れられない。



「そ……そうなんですね」

「そんなことが……信じられない」




食事も一緒に共にしたエンテリアとブランビートが、その話を聞いてまさか……といった顔つきで聞いていた。

そこである考えが、セイラの頭の中に閃いた。



「ねぇ!お二人のお父様ってどのような方なのかしら?」

「……そうねぇ、相手のことを知っておけば何かいい考えも浮かぶかもしれないし!」




エンテリアとブランビートは、顔を見合わせる。
自分たちの父親は、今の話を聞くかぎりエイミたちの父親と正反対な性格であった。



そのことを話すのは、ますます自分たちに協力をしてもらえなくなるのではないかという心配が生じていた。
だが、先ほどのような失敗はもうできない。
すべての情報を提供して、そのうえで協力してくれるかを判断してもらわなければ、これから先も何かを隠していると判断されかねない。


そう判断したエンテリアは、ゆっくりと言葉を口にし始めた。


二人の父親は、厳しい家庭に育ったようだ。
勿論その家族は、代々村を治めてきていた家系であった。


エンテリアたちの父親の話ではこの体制になったのは一世代前から、それも自分の提案によって今の村のルールで行われてきたとのこと。
その方式により村の運営の成功を治め、自身の代になった時には更にルールが厳しくなっていったと聞いたのは村の者からの声だった。


父親はエンテリアたちに対し、自分の命令だけで行動しない様に幼い頃から躾けていた。
常に村の状況を監視させ、何かあった場合には提案をさせるようにしていた。
その案に対して父親が吟味し良い提案については二人に実行させ、悪い提案や同じような過ちを繰り返すような提案については罰まで与えていた。


だが、村の運営は安定していた。
住人からの依頼も息子たちと同じく、良い案であれば積極的に採用していた。
そして武力もある程度保有していたため、反逆を起こそうとしている者はいなかった。




その話しを聞いて、エイミとセイラは一つ気付いた点があった。
そんな父親が”建国”については、条件付きだが許可を出したことだった。


だが、それ以上の抵抗する案が浮かばない。
それはこの四人だけで、エンテリアの父親に対しての抵抗手段が見当たらないということ。



そこでエイミは頭の片隅に、ある案を思いつき口にした。





「ねぇ、お父様に相談してみるのは……どう?」



他の三人は一瞬固まったが、藁にも縋る思いでその案について検討した。







しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……

タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。

俺の婚約者は地味で陰気臭い女なはずだが、どうも違うらしい。

ミミリン
恋愛
ある世界の貴族である俺。婚約者のアリスはいつもボサボサの髪の毛とぶかぶかの制服を着ていて陰気な女だ。幼馴染のアンジェリカからは良くない話も聞いている。 俺と婚約していても話は続かないし、婚約者としての役目も担う気はないようだ。 そんな婚約者のアリスがある日、俺のメイドがふるまった紅茶を俺の目の前でわざとこぼし続けた。 こんな女とは婚約解消だ。 この日から俺とアリスの関係が少しずつ変わっていく。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

転生幼女は追放先で総愛され生活を満喫中。前世で私を虐げていた姉が異世界から召喚されたので、聖女見習いは不要のようです。

桜城恋詠
ファンタジー
 聖女見習いのロルティ(6)は、五月雨瑠衣としての前世の記憶を思い出す。  異世界から召喚された聖女が、自身を虐げてきた前世の姉だと気づいたからだ。  彼女は神官に聖女は2人もいらないと教会から追放。  迷いの森に捨てられるが――そこで重傷のアンゴラウサギと生き別れた実父に出会う。 「絶対、誰にも渡さない」 「君を深く愛している」 「あなたは私の、最愛の娘よ」  公爵家の娘になった幼子は腹違いの兄と血の繋がった父と母、2匹のもふもふにたくさんの愛を注がれて暮らす。  そんな中、養父や前世の姉から命を奪われそうになって……?  命乞いをしたって、もう遅い。  あなたたちは絶対に、許さないんだから! ☆ ☆ ☆ ★ベリーズカフェ(別タイトル)・小説家になろう(同タイトル)掲載した作品を加筆修正したものになります。 こちらはトゥルーエンドとなり、内容が異なります。 ※9/28 誤字修正

「宮廷魔術師の娘の癖に無能すぎる」と婚約破棄され親には出来損ないと言われたが、厄介払いと嫁に出された家はいいところだった

今川幸乃
ファンタジー
魔術の名門オールストン公爵家に生まれたレイラは、武門の名門と呼ばれたオーガスト公爵家の跡取りブランドと婚約させられた。 しかしレイラは魔法をうまく使うことも出来ず、ブランドに一方的に婚約破棄されてしまう。 それを聞いた宮廷魔術師の父はブランドではなくレイラに「出来損ないめ」と激怒し、まるで厄介払いのようにレイノルズ侯爵家という微妙な家に嫁に出されてしまう。夫のロルスは魔術には何の興味もなく、最初は仲も微妙だった。 一方ブランドはベラという魔法がうまい令嬢と婚約し、やはり婚約破棄して良かったと思うのだった。 しかしレイラが魔法を全然使えないのはオールストン家で毎日飲まされていた魔力増加薬が体質に合わず、魔力が暴走してしまうせいだった。 加えて毎日毎晩ずっと勉強や訓練をさせられて常に体調が悪かったことも原因だった。 レイノルズ家でのんびり過ごしていたレイラはやがて自分の真の力に気づいていく。

【完結】婚約破棄はいいですよ?ただ…貴方達に言いたいことがある方々がおられるみたいなので、それをしっかり聞いて下さいね?

水江 蓮
ファンタジー
「ここまでの悪事を働いたアリア・ウィンター公爵令嬢との婚約を破棄し、国外追放とする!!」 ここは裁判所。 今日は沢山の傍聴人が来てくださってます。 さて、罪状について私は全く関係しておりませんが折角なのでしっかり話し合いしましょう? 私はここに裁かれる為に来た訳ではないのです。 本当に裁かれるべき人達? 試してお待ちください…。

崖からポイ捨てされた不運令嬢ですが、銀髪イケメン竜王に『最愛の伴侶』としてスカウトされました!

有賀冬馬
恋愛
不作も天災も、全部わたしのせい!? 「不運な女」と虐げられ、生贄として崖から捨てられたわたし、ミラ。 でも、落ちた先で待っていたのは、まぶしいほど綺麗な銀髪の竜王・アルベルト様でした! 「君がいたから、この国は守られていたんだよ」 えっ、わたしって実はすごい聖女だったの!? 竜宮城で贅沢三昧&溺愛生活スタート! そんな中、わたしを捨てて大ピンチになった元婚約者が「ミラ、戻ってきて!」と泣きついてきて……。

処理中です...